チベットの核

プラマプトラとヤンツェの上流爆破計画

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1997年11月30日、新華社通信は、中国はここ数年内に核爆発を利用して、ブラマプトラ川とヤンツェ川の流れの向きをロプ・ノール湖へ変える計画があることを報道した。この工事により砂漠地帯の緑地化が可能となり、人間が居住できる環境作りができる、としている。ロプ・ノール湖が利用される範囲は、北朝鮮の面積に相当する広大な土地にまで及ぶとのことだ。

このプロジェクトの主導者である中国科学アカデミーのフー・ツーシュ(Hu Zuxue) は、チベットはロプ・ノール湖より海抜が高いため、この2つの川が分岐する崑崙山脈にトンネルを掘れば元の源流はロプ・ノール湖へとその流れを変えるだろう、と主張している。崑崙山脈は、世界でも最高峰の山脈の一つである。新華社通信の報道によると、この山脈に何千キロメートルものトンネルを掘るには核による爆破以外に方法はない、とのことである。死の灰が降ったり、近隣諸国への水の流れが減少したりすることは容易に予想されるが、核による爆破計画がもたらす危険はこれだけにとどまらないことは言うまでもない。中国は、このような重大な環境破壊を問題視していないようである。

過去40年間以上、ロプ・ノール湖は中国にとって、人の目にさらさずに最高機密扱いする必要がある場所の一つであった。そこは核兵器製造用地であり、ほとんどの中国核実験はここで行われてきた。この地域の砂漠に人が居住することはできない。核廃棄物が投棄されるこの地域に新しい水路を引くということは、新しく川が流れるところではすべての地域に放射性廃棄物が浸出する、ということを意味している。

ブラマプトラ川は、ベンガル湾に注ぎ込むまでチベット、インド、そしてバングラデッシュの広大な面積を流れている。その全長は、2,896キロメートルに及ぶ。ブラマプトラ川は、インドの水資源全体の20パーセントをまかなっている。この川はまた、東南アジア諸国の経済を発展させ自然環境を安定させるのに密接な関わりをもっているため、遅かれ早かれ、国際的な論争を避けることはできないであろう。21世紀に政治的に利用される産物として位置付けられるものは、石油ではなく水なのである。


チベット亡命政権情報・国際関係省環境開発部(EDD)発行
「グリーンチベット」1998年ニュースレターより

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