チベットの核

結論


チベット高原は、中国が近視眼的な国防計画を追求し、チベット人の生命、幸福やチベットの環境というものをまったく無視した結果、武装化の道を歩まされた。中国の核廃棄管理の記録がずさんであること、そして核廃棄物を保管するための技術がないことを考えると、チベット高原での核保有化が実施されるということは、チベット、中国、そして近隣諸国にとって非常に警戒すべきことなのである。

チベット高原の核武装化は、地域的、そして国際的にも重要な問題である。なぜならチベット高原は、インド、中国、ネパール、ブータン、パキスタン、ミャンマー、バングラデシュ、タイ、カンボジア、ベトナム、そしてその他の国々に流れ込む主要な河川の源となっているからである。チベット高原の生態系のバランスが崩れると、その上空を流れるジェット気流もその影響を免れることはできない。この影響は、アジア大陸全体の環境、そして地球上の気候パターンへと連鎖的に及んで行くが、後戻りさせることは不可能なのである。

地球の聖地であるチベット高原を、核のホロコーストから守らなければならない。この責任は、中国政府、チベット人、そして国際社会が平等に負うべきである。手遅れになる前に立ちあがらなくてはならないのである。ダライ・ラマ法王は、非暴力を擁護し、1987年9月21日、ワシントンで発表した「五項目和平プラン」において、中国政府がチベットを平和地帯とするよう提案している。

中国政府は、自国が核兵器の先制不使用国となること、そして核廃絶に対して積極的に取り組むと公式に明言することを、幾度も誓約している。1998年4月27日、ジュネーブで開催された核拡散防止条約の加盟国による2000年再検討会議の準備委員第二会議において、中国代表団のリーダーであった沙組康は、生物化学兵器禁止会議と同様に、核兵器全面禁止の早期締結を目指して会議を開催するよう呼びかけた。これらは、明るい兆しといってよいだろう。

中国政府が、このような意向を現実化することに真剣であるなら、その善意の第一歩としてチベット高原の核兵器解除を実施し、チベットを平和地帯として宣言するべきである。また、チベットが、世界でもっとも多くの人口を持つ二つの国家、中国とインドの間で、緩衝国として果たしてきた伝統的な役割をふたたび担うことができるようにするべきである。このような行動は、チベット、インド、そして中国にとってだけではなく、アジア大陸全体、さらには地球上の無数の人々にとっての利益となるだろう。そしてそのような行動を具体的に率先して起こすことが、我々の子供たちが、生きとし生ける生けるものたちと共に生きていけるような、敵意のない慈愛に満ちた世界を築き上げることにつながっていくのである。


チベット亡命政権情報・国際関係省環境開発部(EDD)発行
「グリーンチベット」1998年ニュースレターより


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