チベットの環境問題

穀倉地帯

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チベットの穀倉地は、その面積として2%に過ぎないが、極めて生産的かつ重要な資源である。

1959年以降のチベットの耕地における中国の侵入により、農地は傾斜のきつい周辺領域にまで拡張され、小麦の作付面積は増大し(中国人は、チベット人の主食である大麦より小麦を好む)、混合種の導入と化学肥料がもたらされた。混合種は水不足に悩まされ、病気にかかり、厳しいチベットの条件により衰弱した。病気は、定期的に新しい小麦の種に影響を与え、1979年には小麦の収穫を壊滅させることになった。

主要な穀倉地帯は、カムの幾つかの峡谷、ウー・ツァンのツァンポの峡谷、アムドのマチュの峡谷といった峡谷に沿った耕作可能なニッチにある。主要な穀物は大麦で、他の穀物、豆類とともに栽培される。伝統的な農業スタイルは、有機栽培に基づくものであり、穀物の輸送、幾つかの穀物の混合、定期的な休閑という脆い山の環境に適した持続可能なかたちのものであった。

チベット農民たちは、無理やり買わされる新種の化学肥料が、収穫を増やすどころか、種子、大地、水を破壊し、土地に棲む動物を殺すものであるとして抵抗している。これら農民は、危険で毒性の高い物質を肥料として使えるか試すモルモットにされている、と信じている。


チベット亡命政権情報国際関係省1992年発行
「チベット環境と開発をめぐって」より

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