ダライ・ラマ法王

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(1998/10/04 東京)

マルチメディア — インターネットやEメールについて

近年確かに、いわゆる「私たち」とか「彼ら」という考え方は無くなりつつあります。過去においては、他者を破壊することは最終的に戦争につながることでした。今日、世界はグローバル化し、他者の興味は私たち自身の興味につながっています。ですから、他者を破壊することは、私たち自身を破壊することになります。他者に関心を持ち配慮することは、私たち自身の未来を気遣うことでもあるのです。

インターネットにより、世界のどこであっても、お互いが密接に連絡できるようになり、感覚的にも世界の場所は近くなりつつあります。そういうわけで、インターネットやEメールはこの世がより平和になるために有効なものである、と私は考えます。

友情について

真の友情とは、深い人間的な心情でのみ築くことができるもので、お金や権力で作れるものではないと信じています。

報道メディアについて

私がよくメディアの人に言うことですが、今日、メディアは非常に重要な役割を担っているだけでなく、メディアの人たちは、健全な方法で世界を築くという大きな責任があるのです。その理由として、私はメディアがいつも不幸な出来事、——殺人とかスキャンダルといったようなことをよくピックアップしているような気がします。そして、そのような出来事を新聞などで読んだ人々は、こう考えるでしょう。「ああ、悪いことが起きた」そしてまた、彼らはテレビを見、不幸な出来事を目にします。こうして、人々は、人間の本質がネガティブなことに感じてしまいます。私は、こういった概念や印象を助長させることは破壊的と考えます。希望や決意なしでは、よい未来も実現することはできません。それで、ポジテイブなこともまた、同じようにメディアが取り上げることが大変必要なのです。メディアが現実を伝えるにあたり、私は、メディアの好奇心を、また誠意のある真実を追求する取材活動を、心から応援します。これは、とても大切なことです。メディアは、宗教機関であろうと、政界であろうと、ビジネスの世界であろうと、腐敗をチェックできるほどの力のあるものになりうるのです。腐敗を知り、建設的でポジティブな方法でクリアにし、大衆に正しく真実に即した情報を伝えることの全責任が、どのメディアにもあるのです。

幸福、心の平和について

幸福、喜びの究極の源、それは1人1人の心の平和にあり、その心の平和とは1人1人の温かい心にあるということを確信しています。もし、あなたが思いやりの心を持っていれば、心の内なる平和にさらに強さを自発的にもたらす術を身につけていることになります。

楽天的であることについて

私は、悲観的であるより楽天的である方がよいと考えます。あなた方も、その方が心が穏やかでいられるでしょう。苦しみのみを考えたり、全てを悲観的にとったりすれば、あなた自身の心の中は不幸のままでしょう。

時は常に流れる 非永続性

時は常に流れています。時が止まることはありません。誰にも時を止めることができません。お釈迦様であろうと、時を止めることはできないのです。私たちができること、それは私たち自身の手中にあることですが、この時を有意義に過ごすか、無駄に過ごすかということです。私たち次第です。そういうわけで、私はできる限りよい心を保とうといつもしています。そして、この心の温かさを兄弟、姉妹の皆さんたちと共有することが、幸福と成功の種になると信じています。

思いやりの心

信仰している人もそうでない人も、学歴のある人も無い人も、富んでいても貧しくても、西洋人でも東洋人でも、私は、各人がよい心の種になるものを持っていると信じています。そして、努力をしていてもしていなくても、気づいていてもいなくても、よい心を発展させる潜在能力を誰もが持っています。

私は、人間の思いやりの心がいかに価値のあるものかをすすめていきたいし、どれだけよい心を持つことが有益なことかを明確にしたいと常に努力しています。そして、愛と思いやりが普遍的な信条であると信じています。

調和 相互理解

こうしたことから、私は、相互理解、相互尊重をふまえて、様々な宗教間の調和を推進する努力をしています。

微笑み

微笑むことは、人間の特徴の1つと思います。動物の中には笑っているといわれるものもありますが、一般に本当の微笑みとは、作り笑いや嘲笑ではなく、心から微笑むことは人間だけに備わったユニークな特徴であると考えています。故に、私は微笑むことは大切であり、人間の美しい微笑みを生かすことは特権であると考えます。