ダライ・ラマ法王

ダライ・ラマ法王

最新ニュース

これから開催するイベント

普遍的立場

普遍的立場

ダライ・ラマ法王は、こうした憂慮すべき事態に1日も早く終止符を打つため、前向きかつ柔軟な提案を次々に行ってきた。チベットへ真の自由をもたらすための運動をすすめてゆくにあたり、あくまで非暴力に徹するという強い信念を法王は堅持している。「中国側がチベット人に加えてきた様々な攻撃やおびただしい弾圧についてもそのような事実を明らかにすることはどうしても必要であるが、中国人そのものに対する憎悪の念を抱くことは決してない」というのが、法王の基本的な考え方である。法王は、まさしく「平和の人」である。1989年、法王はノーベル平和賞受賞の栄誉に輝いたのは、祖国チベットに自由をもたらすための運動を通じ、決して暴力に訴えることなく平和的手段を貫いてきたことが、国際的に高く評価された結果に他ならない。いかに理不尽な攻撃に直面したときでも、法王は一貫して非暴力政策を提唱し続けてきた。また、法王の受賞理由の1つには、地球環境問題への取り組みも挙げられており、これはノーベル賞の歴史で初めてのことである。

ダライ・ラマ法王ノーベル平和賞受賞スピーチ 1989/12/10

法王が自らについて語るとき、いつも「一介の仏教僧侶」という言い方をする。法王の講演や世界各国の訪問を通じて出会う人が誰でも法王の純真さと誠実な心の暖かさに深い感銘を受ける。法王のメッセージは、愛と慈悲、そして寛容… これらを身をもって説くことに他ならないのである。

チベット問題に解決をもたらすのは、平和裏の包括的な交渉「対話」を通じてのみ可能であるとの立場を、法王は常に鮮明にしている。中国側に対して対話の開始を呼びかけている法王の政治的立場は今日、米国や欧州連合をはじめ世界各国から広い支持を得ている。

ところが、中国側はチベット問題の所在を法王個人のチベット本土帰還にのみ限定し、交渉開始の前提条件として、法王がチベットを中国の不可分の領土だと認めることを強く求めている。交渉の開始以前にこのような前提条件を一方的に設定するのは、事実上の対話拒否に等しいもので、チベット問題の現状凍結、或いは解決引き延ばしを狙ったものとしか考えられない。そのように時間稼ぎをしている間にも、中国人のチベットへの大量流入、チベット人に対する人権侵害、チベットの環境破壊は続いている。チベット人のアイデンティティー、民族文化、そして自然環境を守り抜くために、もはや一刻の猶予もない。これはダライ・ラマ法王とチベット亡命政権の立場であり、チベットを支持する広範な国際世論の共通認識となっている。