ダライ・ラマ法王来日レポート 2003年10月31日〜11月11日
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
10月31日朝、ついに待ちに待ったダライ・ラマ法王の来日である。法王は空港で出迎えの支援者たちに満面の笑顔で手を振り挨拶した。今回の来日は、日本の国会議員の超党派で構成されている「チベット問題を考える議員連盟」による招聘で、文化講演、宗教関係者たちとの対談を目的としたものである。同日夕方、東京永田町のホテルで歓迎レセプションが行われ、約500人が参加し、3年ぶりの法王の来日を共に祝った。「チベット問題を考える議員連盟」の発起人で代表の牧野聖修議員が挨拶した後、法王は30分近く参加者たちにお礼を述べ、チベットの現状や展望について語り、どのような状況でも「慈悲」と「対話」が大切であることを強調した。サックス奏者の渡辺貞夫氏がチベットへの想いで作ったという自身の作曲のソロ演奏が行われ、法王はじめ参加者たちは熱心に、叙情的で静謐な音楽に耳を傾けた。
11月1日両国国技館で、主に若い世代を対象とした一般無料講演「慈悲の力」が行われた。司会は音楽評論家のピーター・バラカン氏、開会のスピーチに作家の吉本ばなな氏、そして閉会に若い世代を代表してカタを捧げるのが女優の宮沢りえ氏という豪華な顔ぶれとなった。
翌日2日も同じく両国国技館で、午前に法話「心を訓練する八つの教え」、午後にノーベル物理学賞受賞者で東京大学名誉教授の小柴昌俊博士とDNA研究の世界的権威で筑波大学名誉教授の村上和雄博士を迎え、「科学と仏教の対話」と題した対談が行われた。 「主体」と「客体」で考える科学、すべてを「客体」で考える仏教の独自性に触れる小柴昌俊博士、遺伝子を解読しているうちにそれを書いた何か「サムシング・グレート」の存在を認めざるをえないことを述べる村上和雄博士、そして仏教僧の立場で科学へアプローチするダライ・ラマ法王、時にユーモアで笑いを誘う新世紀にふさわしい非常に興味深い内容となった。
これら二日間の講演には、それぞれ約5千人近くが参加した(※講演内容は2004年春、春秋社から出版予定です)。
法王は4日に伊勢神宮、5日朝は奈良ホテル内で行われた非公開のフォーラム『智恵と実践』に出席、各宗教の専門家と交流を深めた。
興福寺と東大寺を訪れ、宗教関係者たちと交流を深めた。法王は、偶然居合わせた修学旅行の学生たちや参拝者たちの歓声に応え、にこやかに握手を交わしていた。5日、奈良県文化会館で来日記念講演が行われ、満席となった。
法王は、東京及び関西の訪日日程を終えた後、金沢での数日間の静養、11月11日朝、亡命先のインドへ向け日本を発った。