(1997/02/24)
何年も以前から、私は、台湾の仏教団体、その他の諸団体より招聘状をいただいておりました。そしてこのたび、中華民国の中国佛教会が、本年3月に台湾を訪問して説法を行うようにと招請なさっていたことに対し、前向きに善処できる運びとなり喜ばしい限りです。
台湾には、仏教徒が大勢おられます。私はごく自然な流れとして、そうした方々にお目にかかりたいと強く希望しております。また、我々チベット仏教に伝わっていない比丘尼の具足戒の相承を、唯一中国仏教だけが守り伝えているようなので、私はこれについてさらに学び、チベット仏教界へ導入したいという念願を抱いているのです。そしてもちろん、台湾の兄弟姉妹の皆様と、友好・相互理解の精神から手を携えてゆけることを、私はとても楽しみにしております。
地球規模の平和や理解をもたらすのに適した雰囲気を醸成するため、個人対個人のレベルの人間関係を育んでゆく点がとても大切だと、私は常々考えて参りました。だから私自身も、1チベット人として、中国の人々と−国内在住者と海外在住者の別なく−親交を深めることを、とりわけ重視してきたのです。チベット人と中国人との間で理解が深まれば、双方の利益になります。いずれにしても、私たちは共存してゆかなければならないのです。
私の台湾訪問は完全に宗教的なものとなるはずですが、1部の人たちは、これを政治的に解釈したがっています。それゆえ、私はこの機会に、再度次の点を繰り返して表明するつもりです。チベット人の運動は、反中国人とか反中国というような趣旨ではありません。過去何年もの間、私は北京の中国指導部との交渉を通じて、チベット問題を平和裏に解決しようとして参りました。そして、チベットの自治を目指した交渉の枠組みも提案いたしました。こうした働きかけは、真摯な和解と歩み寄りの精神に基づくものです。けれども、中華人民共和国政府は、今までのところ前向きな反応を見せておりません。鄧小平氏亡き後のこれから、チベット人にとっても中国人にとっても、新しい機会が訪れてそれを生かすことができるようになると、私は信じております。
相互に受け入れ可能な形でチベット問題の解決を探るため、私は中道的な道筋を辿るという姿勢を堅持しております。そして、北京から前向きな反応があり次第、真摯な交渉に入りたいのです。これが私の一貫した立場であり