ルンタ

魔除けと祈りの旗「ルンタ」


風に舞うルンタ(タルチョー)© Ian Cumming

チベット人は、日常、家の屋上、寺の中央、山頂、峠、橋や水辺などに、経文を印刷した魔除けと祈りの旗「ルンタ」(別名「タルチョー」)を掲げ、「ラーソル」(土地の精霊や仏を拝み焼香すること)の習慣がある。「ルンタ」は、自然災害、不作、家畜や人間の伝染病、旅、巡礼、新築、結婚式、新年の祭りや宗教的な行事などの時に、その土地や家の悪霊や災難を祓い清め、すべての生きとし生けるものが平和で幸福と健康に恵まれて過ごせるようにという祈願が込められている。

「ルンタ」の変遷 ―土地精霊崇拝から仏教的なものへ―


ルンタ

「ルンタ」の起源は、チベットに仏教が伝来する以前、ボン教の時代に遡る。
最初の「ルンタ」は、「ギャルダル」(勝利旗)、「マックダル」(軍旗)、「ルダル」(軍隊や遊牧民が団体で移動する時の旗印)として、テリトリーを象徴し、悪霊を祓い土地の精霊に祈願するものとして用いられてきたようである。チベットに仏教が伝来し信仰が浸透するに連れ、ルンタも少しずつ仏崇拝と融合し、仏教的な象徴として使用されるようになった。そして、旗の形や模様も変化し、それに対する考え方も徐々に変わったようだ。

「ルンタ」のデザイン


五色のルンタ

旗の中央には「風」「速さ」を象徴する馬が描かれている。これは、願いごとが早く成就することを意味する*。馬の周りに虎(タク)、雪の獅子(センゲ、日本語では「麒麟」と呼ばれる架空の動物)、鳳凰(キュン)、龍(テゥク)が描かれている。生命力を高め、幸運、富、健康に恵まれるようにという願いごとがチベット語で書かれている。タラ菩薩の真言、観音菩薩の真言「オムマニペメフム」などが印刷されているものもある。ルンタは、主に青、白、赤、緑、黄の5色で、青が空、白が雲、赤が火、緑が水、黄色が土を象徴している。

*日本の神社の絵馬も馬が使われている。馬は成就祈願の象徴。

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