ニュース

ニュース

最新ニュース

これから開催するイベント

長寿祈願法要

Print Friendly, PDF & Email

2024年1月1日
シェア
インド、ビハール州ブッダガヤ

今朝、ダライ・ラマ法王は、サールナートの高等チベット学中央研究所(CIHTS / Central Institute of Higher Tibetan Studies)とその卒業生、そしてパオンタ・サーヒブのチベット人居住区の人々からのリクエストによるダライ・ラマ法王の長寿祈願法要に出席するため、ガンデン・ペルゲ・リン(ナムギャル僧院)からカーラチャクラ・グラウンドへと向かわれた。黄色い三日月形の帽子を被り、ホルンを演奏する僧侶たちが法王の歩かれる道を先導した。頭上には、金色の傘がはためいており、法王は沿道に並ぶ人々に微笑みながら手を振られた。

カーラチャクラ・グラウンドへの沿道に並んで、長寿祈願法要に出席されるダライ・ラマ法王の到着を待つ僧侶たち。2024年1月1日、インド、ビハール州ブッダガヤ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

法王は檀上から、集まった人々に向かって再び微笑んで手を振られ、その多くの人々が法王に手を振り返した。そして、法王は高僧たちに挨拶され、法座の後ろの大きなタンカに描かれたナーランダー僧院の17人の成就者たちと、その前に置かれた仏陀釈迦牟尼像に礼拝されてから法座に着かれた。ガンデン僧院座主によって主宰されたこの法要は、ナムギャル僧院の経頭により先導され、“世界を鎮める者” である仏陀への礼拝で始まった。次に、チベットにおける観音菩薩の一連の生を呼び起こす祈願文であるトゥルシク・リンポチェの『神饌なる祝福の雲(Clouds of Ambrosial Blessings)』が唱えられ、この長寿祈願法要は白ターラー菩薩を中心に行われた。その後に、ガンデン僧院座主が法王に長寿の杖を贈り、法王はそれを受け取られた。七支供養が唱えられ、トルマと呼ばれる大きな供物の菓子が法王に捧げられた。その一部を印として法王が受け取られ、そして経頭が長いマンダラ供養を捧げた。次に、ガンデン僧院座主が仏陀の身口意の象徴、水瓶、五智如来、7つの王者の宝、8つの吉祥なるもの、8つの吉祥文様の象徴などを捧げた。供養が行われる中、支援団体に所属する人々の行列が、経典を中心とした贈り物の数々を抱えて、法座の前を通り過ぎた。その中には、最近、パーリ語やサンスクリット語からチベット語に新たに翻訳された本も見受けられた。

カーラチャクラ・グラウンドでのダライ・ラマ法王の長寿祈願法要の最中に、儀式の供物を捧げるガンデン僧院座主。2024年1月1日、インド、ビハール州ブッダガヤ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

ガンデン僧院座主、ジャンツェ学堂法主、サキャ・コンマ・リンポチェに続いて、支援団体の代表者が法座に近づき、敬意を表した。法王はその一人ひとりに、カタと呼ばれる白い絹のスカーフと守護の赤い紐を手渡された。法王の二人の家庭教師とジャムヤン・ケンツェ・チューキ・ロドゥ師によって作られたダライ・ラマ法王の長寿祈願文が読経された後、法王は参列者に向けて話をされた。「今日、釈尊が悟りを開かれた金剛座があるこの聖地に集まり、私に長寿祈願法要を捧げてくださった仏法の兄弟姉妹の皆様、僧侶、尼僧、在家者の方々、そして仏陀の教えに関心を持つ皆様に、私の人生を振り返り、私がこの世界で為し得たことの喜びをお伝えしたかったのです。さらに私は100歳を超えるまで、有情を利益し続けるつもりでいます」「最近、隣人たちがお互いを “私たち”、“彼ら” という視点で見るようになった結果、ロシアの周辺や、世界の他の地域で紛争が勃発しています。これは分断を生み出し、人間として私たちは皆、一つの人間家族に属しているのだという事実を見落としてしまいます。人類としての一体性を正しく認識し、私たちは皆、人間として同じであるということを理解することができれば、私たちは調和と友情の中で生き、お互いに助け合うことができるようになるでしょう。そして、このことを人々に知らせることが私の責任であると考えています」

カーラチャクラ・グラウンドで行われた長寿祈願法要で、聴衆に向かって話をされるダライ・ラマ法王。2024年1月1日、インド、ビハール州ブッダガヤ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

さらに法王は次のように話を続けられた。
「私たちは皆、生まれた時から母親の愛情に包まれて育ち、また母親は、私たちに母乳を与えて育ててくれました。そして成長するにつれ、私たちは皆、幸せになりたい、苦しみや痛みをさけたいと望むようになります。それゆえ、私たち一人ひとりにとって、愛情がどれだけ大切かを忘れてはなりません。だからこそ私たちは、できる限りお互いに助け合う必要があるのです」「“私たち”、“彼ら” という視点に基づいて、分断を生み出す必要はなく、私たちは、共に平和に暮らさなければなりません。私たちが人間として全く同じであるということに比べれば、肌の色や信仰の違いなどは大した違いではなく、私たちが生まれた時には、国や宗教というレベルで分けられることもありません」「今日は元旦ですので、皆様に『タシデレ』とご挨拶したいと思います。昨年起こった問題や対立にこだわるのをやめて、今年はより平和な年になるよう努めなければなりません。私たちは、今を生きている80憶人すべての人々が一体であるという感覚を育むことで、今年の始まりを良きものにすることもできるのです。仏教徒として、私たちはすべての有情の幸福を祈りますが、少なくとも私たちは、この世界の生きものを助けるために、できる限りのことをするべきです。何よりも大切なことは、仲間を同じ人間として認識することであり、そうすることで、より平和な世界を築くことができるのです」「私たちは今にも増して、異常気象に直面することになるでしょう。暑すぎる場所もあれば、洪水に見舞われた場所もあり、干ばつに見舞われた場所もあります。私たちは、これらの災難が収まるように祈らなければなりません」

カーラチャクラ・グラウンドで行われたダライ・ラマ法王への長寿祈願法要で、儀式を見守る人々や通訳を聴く人々。2024年1月1日、インド、ビハール州ブッダガヤ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

「私はよく、温かい心を持つことがいかに大切かを指摘していますが、私たちの善良な心は、智慧と良識によって導かれなければなりません。それには、短期的な目標だけでは不十分で、長期的に何が最善かを判断する必要もあります。有意義な人生を送る鍵は、できる限り他の人々を助けることです」最後の感謝のマンダラ供養に続いて、無量寿仏への祈りが捧げられた。最後に、法王の3日間の教えと本日の長寿祈願法要を支援するために何を受け取り、何に費やされたかの収支報告が、チベット語、そして次に英語で読まれた。ノルブ・ツェリン氏の家族、ニャナン・タシ・トンドゥプ氏の家族、ソナム・ギャツォ氏の家族、ラデン神変祈願大祭基金が法話に多大な支援を与えてくれた。高等チベット学中央研究所とその卒業生、シャル僧院、パオンタ・サヒーブのチベット人居住区、ゲルク派大学、ラデン神変祈願大祭基金は今日の法要に大きく寄与してくれた。法王が説かれた法話に感謝するとともに、地元のブッダガヤ行政、警備にあたった地元警察、そして広範囲にわたり貢献したナムギャル僧院のメンバーに感謝の意を表した。また、名前を挙げればきりがないほど多くの人々の協力により、すべてがスムーズに進んだことにも感謝が述べられた。『菩提道次第広論』と、法王が創作された『教えが興隆するための祈願文』(ロサン・ギャルテンマ)、『真実の言葉の祈願文』(デン・ツィク・モン・ラム)にある廻向文を着実に唱え、最後に『普賢菩薩行願讃』を唱えて、法要の幕が閉じられた。

カーラチャクラ・グラウンドで行われた長寿祈願法要を終え、ゴルフカートに乗って聴衆に手を振りながらチベット僧院に戻られるダライ・ラマ法王。2024年1月1日、インド、ビハール州ブッダガヤ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

法王は聴衆にもう一度手を振り、仏像に礼拝されてから、ゴルフカートに乗って僧院に戻られた。

声明の全文はこちらからご覧いただけます。