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第9回チベット支援団体国際会議 (2024) の声明

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2024年3月6日

第9回チベット支援団体(TSGs)国際会議がヨーロッパ連合(EU)の首都ブリュッセルで開催され、世界40カ国から170人以上の代表者が参加しました。

前回(2019年)ダラムサラ会議以降、世界の平和と安全保障に対する中国の脅威への理解が深まり、その結果、チベット問題の解決を唱える政治的機会が増えました。まず、会議参加者はこれまでのキャンペーンの成功と目標達成を祝いました。その多くは2019年ダラムサラ会合のアクションプランの優先項目だったものです。具体的には、米国連邦議会議員超党派によるチベット法案の下院通過(2024年)、チベットにおける抑圧的な植民地主義的寄宿学校制度の即時停止を求める欧州議会決議(2023年)、国連人権委員会による対中普遍的定期審査(UPR)における各国政府のチベットへの言及が倍増(2024年)、主要国連委員会、特別報告者による中国によるチベット政策への非難声明の増加、2022年北京冬季オリンピックにおける外交的ボイコット、世界で数百にのぼる孔子学院の閉鎖、主要メディアによる中国をスポンサーとする記事のキャンセル、そして最近ではサーモフィッシャー・サイエンティフィック社によるチベットにおけるDNA検査キットの販売停止決定などがあります。

会議はまず、暴力的な紛争で深く傷ついた世界において、ダライ・ラマ法王の指導下でチベット人が非暴力と民主主義にコミットして長年にわたり自由と人権のための闘いに取り組んできたことに敬意を表しました。

国際社会はチベット・中国問題の非暴力的な解決を目指すべきだとの強い信念を会議参加者は表明し、この目標に対する深いコミットメントを宣言するとともに、目標達成に向け、東トルキスタン、南モンゴル、香港、台湾の勇敢な人々、中国国内の無数の人権と民主主義擁護者、とりわけ2022年の白紙革命に触発された新世代の活動家と戦略的な協力関係を強化していくことを宣言しました。

会議では、目標を共有する世界中のさまざまなチベット支援団体のスキル、経験、視点が活用されました。会議参加者のなかには、1987年のチベット騒乱以降、一貫して活動にコミットしてきた多くの人々がいます。熟練した献身的なチベット活動家である彼らは今、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オーストラリアで新世代の運動家の育成、指導を行っています。今回の会議には、これらの地域で活躍する数十人の新世代のチベット活動家も参加しました。また、東トルキスタン、南モンゴル、香港、台湾の活動家による参加も歓迎し、自由と正義を共通目標に掲げて連帯を表明しました。

ダライ・ラマ法王はいつでも本会議のインスピレーションの源です。参加者は法王のメッセージ、とりわけ「チベットの支持者はチベット人を支持しているのではなく、正義を支持しているということをわたしは信じています」という声明に励まされています。

会議はダライ・ラマ法王代表部ブリュッセル代表のリグジン・ゲンカンによる、全参加者を歓迎する挨拶で始まりました。次に欧州議会内チベット・グループのトップであるミクラシュ・ペクサ氏、元欧州議会議長のハンス・ゲルト・ポッターリング教授、チベット亡命議会のケンポ・ソナム・テンペル議長、チベットのためのフランス議会グループの議長であるユスターシュ・ブリニオ上院議員、チベット亡命政権情報国際関係省のカロン、ノルジン・ドルマによる挨拶が続きました。

チベット亡命政権のペンパ・ツェリン主席の基調講演では、チベット亡命政権による中道アプローチへのコミットメントが再確認され、中国が捏造した虚偽のチベット史にに対抗し、中道アプローチに付加価値を与えるべくチベットの独立国としての歴史的地位を強調する必要性が表明されました。

会議参加者はチベットで続く人権抑圧についての詳細な説明に対し、重大な懸念をもって耳を傾けました。会議では、中国政府によるチベット独自の民族・文化的アイデンティティを消滅させるための体系的取り組みである植民地主義的寄宿学校制度に言及しました。現在、この制度により、4歳以上のチベット人児童の4人に3人が親元から引き離され、自らの言語と文化で教育を受ける機会を奪われています。

会議は、今も続くチベットの宗教の自由への抑圧、とりわけ転生の認定プロセスを支配しようとする中国の企みを非難しました。具体的にはチベット仏教の制度運営の権利はチベット人にあり、ダライ・ラマ法王と、法王から委託された人物だけが転生認定プロセスを決める権利を持つことを再確認しました。

会議は、中国当局の手により6歳で失踪したパンチェン・ラマを含むチベットの全政治囚の即時釈放を求め、人権擁護を訴えるすべてのチベット人、とりわけ最近起きたゴンポ・キーの拘留をはじめとした、あらゆるチベット人の拘留と虐待を非難します。

また会議は最近、デゲ(徳格県)における水力発電用ダムの建設計画に平和的に抗議したかどで1,000人以上のチベット人が不法拘束され、強制移住といくつかの寺院の破壊につながったことに警戒を示しました。会議は全拘留者の即時釈放と、農村部のチベット人の強制移住の停止を求めます。

さらに会議は、世界的に重要性の高いチベットの脆弱な環境に中国の政策が及ぼす壊滅的影響に深い懸念を抱いています。とりわけ、アジアに流れる国際河川へのダム建設、環境破壊につながる鉱山採掘活動、遊牧民の強制定住政策などが、チベット高原の気候危機と環境破壊と地域の安全保障の不安定化につながると考えています。会議はチベットの脆弱で重要な環境の保全に対する共同責任を認識するよう国際社会に呼びかけます。

会議は、チベットの人権侵害の停止を求める各国政府による個別および共同の支援声明を称賛し、大いに歓迎します。チベット人の権利を尊重する国際法上の義務を果たし、ダライ・ラマ法王の代表との対話を通じてチベット問題を互恵的に解決するよう中国政府に圧力をかける多くの議員や政府関係者に感謝します。

会議の参加者は、チベット人の自由、自決権、人権の尊重、そしてチベット高原独自の環境の保全に対するコミットメントを新たにしました。チベット人が満足できる解決策が実現するまで支援を続けることを誓います。

会議はまた、来年、2025年にダライ・ラマ法王の90歳の誕生日を祝うことを楽しみにしています。法王が生涯を通じて行なってきた人類とチベット人の幸福への貢献を強調するべく、法王の風格に見合った活動を展開し、平和、非暴力、思いやりのメッセージを広める予定です。

オリジナル記事


(翻訳:下山明子)