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第53回国際連合人権理事会:国連高等弁務官と加盟国、チベットにおける中国による人権侵害に注意喚起

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2023年6月30日

ジュネーブ:世界の人権状況を注視する中で、国連加盟国はチベットにおける中国による継続的人権侵害に懸念を表明した。

国際連合人権理事会の包括的最新報告の中で中国に言及しつつ、高等弁務官はチベットの人々のアイデンティティを損なう同化政策を含む中国による諸権利の侵害についての条約機関の調査結果を強調した。高等弁務官はまた、高等弁務官事務所が中国に初めてとなる国連人権事務所の設立を含む中国との更なるコミットメントを求めていく事を理事会に報告した。加えて高等弁務官は中国に、特別手続任務保持者としての専門性を得るよう務める事を要求した。

高等弁務官の包括的報告に続いて、オーストラリア、チェコ、ドイツ、スイス、スウェーデン、イギリスを含む加盟国がそれぞれの声明でチベット問題を取り上げた。

国連人権理事会の中国での国連人権事務所設立の提案を歓迎する一方、チェコは、中国に国際的責務を果たすこと及びチベットでの現在進行中の重大且つ組織的な人権侵害を停止することを含む個人の普遍的な権利の保護を強く促した。同様に、イギリスは中国に対し、国際的義務を守り、チベットで現在行われている深刻かつ組織的な人権侵害を終わらせる等、すべての個人の普遍的人権を守るよう求めた。

さらに、スイス、スウェーデン、ドイツは、チベットでの人権状況に深刻な懸念を表明し、人権擁護運動家への迫害を含む一連の問題を提起した。「女子に対する差別撤廃委員会」(CEDAW)が報告した、中国による人権侵害に関する調査結果を受けて、オーストラリアは、チベットにおけるチベット女性の不当な扱いについての懸念を取り上げた。

アメリカ合衆国は65か国の加盟国を代表して共同声明を発表し、しばしば安全上の脅威を鎮静化する目的で行われる、宗教的、言語的、国家的、民族的少数者に属する人々に対する、国家による嘆かわしい人権侵害に注意を喚起した。アメリカ合衆国による共同声明は、特に少数派に属する人々のアイデンティティや文化的生活の部分を成す習慣に対する法律的、政治的抑圧を含む一連の人権侵害を取り上げた。当局は文化遺産、墓地、崇拝の対象とされる場所を破壊し、言語の使用を禁じ、教育を通じて子供たちを強制的に同化させている。その様な場所では移動に厳しい制限を加え、生計を立てる手段や教育、医療へのアクセスも限られている。

加えて、具体的な主要課題についての相互対話の中で、アメリカ合衆国は、国連教育特別報告者がチベットにおいて中国政府が運営する寄宿学校について注意を喚起した事を賞賛した。チベットで中国政府によって運営されている強制的な寄宿学校は、多くの子供たちを意思に反して家族から引き離しており、深刻な人権問題であるとアメリカ合衆国は言明した。

チベット事務所と被抑圧民族協会は協同で、チベットにおける中国による抑圧に焦点を当てるサイドイベントを開いた。さらに、中国によるチベット女性への差別的な扱いとチベットにおける中国政府運営の植民地的な寄宿学校が、第53回国際連合人権理事会で取り上げられた。

-チベット事務所ジュネーブ支局

オリジナル記事


(翻訳:Makoto Kiminami)