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声明: 中央チベット政権内閣 、中国政府に対し、デルゲでの抗議活動で拘束されたすべてのチベット人を直ちに釈放し、チベット人の権利と願いを尊重するよう要請

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2024年3月7日

ダラムサラ:中央チベット政権は、中華人民共和国(PRC)当局がチベットのデルゲ(中国語:徳格)にて平和的に抗議活動を行っていたチベット人に対して残忍な弾圧を行い、その結果、多数のチベット人が恣意的に拘束され負傷したことを非常に懸念しています。先月より、チベット人は、先祖代々住み続けた村からの強制移住や、仏陀の古代遺跡や壁画が多く残る13世紀に建てられた僧院が破壊されることになる水力発電ダムの建設計画を中止するよう訴えています。

2024年2月14日、少なくとも300人のチベット人が、カム地方(現在は四川省に編入)のカンゼ・チベット自治州デルゲ県の政府庁舎前で平和的抗議活動を行い、水力発電ダム建設の中止とチベット人への移転命令の撤回を訴えました。1週間後の2月20日と21日、県職員と警察官がウォンポトゥ(チベット語:དོན་པོ་སྟདྟ 中国語:汪布頂)郷の2つの僧院(ウォント僧院とイェナ僧院)に大挙して到着し、取り壊しの準備を始めました。その際に、多くのチベット人がひざまずき、泣きながら、中国当局に取り壊しを止めるよう必死に訴えました。2月22日、中国警察当局は、武器を使ってチベット人を激しく殴打し、平和的抗議に参加した多くの人々が入院を余儀なくされる怪我を負い、また、大規模な逮捕・拘束が行われました。

ウォントク(中国名:岡托)水力発電ダムの建設は、長江上流の川として知られるディチュに建設が計画されている13のダムのうちの6番目のもので、カンゼ・チベット族自治州デルゲ県ウォンポトゥ(現地では略してウォントゥと呼ばれている)郷とチベット自治区チャムド(中国名:昌都)市ジョムダ県シェパ郷の2つの村が水没します。 川岸にはイェナ僧院、ウォント僧院、ハルド僧院、ラブテン僧院、ゴンサール僧院、タシ僧院の6つの僧院があり、さらに、ウォント僧院とイェナ僧院は、歴史的・宗教的に重要な古代遺跡や壁画の修復不可能な破壊の危機に直面しています。

抗議活動に参加したチベット人たちは、中国当局が、伝統的な生計活動や日常生活を営む地元のチベット人と合法的な協議を行わず、彼らにはなんの発言もさせないダム建設計画によって、彼らの生活が完全に破壊される危機に直面していることを懸念しています。110万キロワットの発電能力を持つこの水力発電ダムの巨大な電力は、超高圧送電システム「西から東」(中国語:西電東送)を通じて中国の都市にのみ送られ、チベットには水力発電ダムの恩恵は一切ありません。

中央チベット政権のペンパ・ツェリン主席大臣は、「デルゲでの非暴力の抗議活動に対する弾圧、および中国当局によるチベット人の基本的権利の無視は、あらゆるレベルにおいて容認できない。これらの懲罰的措置は、中国がチベット人の基本的人権の確保や擁護よりも、共産主義イデオロギーや経済的利益を優先していることを示している。私たちは中国政府に対し、デルゲ抗議行動で拘束されたすべてのチベット人を直ちに釈放し、チベット人の権利と願いを尊重するよう求める。世界がチベット人の声を聞き、チベットにおける中国の悪政の現実に向き合うことが急務である。」と、述べています。

私たちは、すべての外務省、国連機関、関連機関に対し、直ちに注意と行動を起こすよう強く求めてきましたが、中国政府に対し以下のことを要請するよう、国際社会に改めて訴えます。

  • 基本的権利を行使して不当に拘束されたチベット人抗議活動参加者を直ちに無条件で釈放し、怪我をしたチベット人に対する適切かつ適時の治療を確保すること。
  • 地元住民の同意なく、また生態系への影響を考慮することなく進められる、チベットにおける 巨大水力発電ダムの建設を直ちに中止すること。
  • 現行の弾圧や先祖伝来の土地からのチベット人の強制的かつ不本意な集団移転をやめ、いわゆる経済開発プロジェクトを実施するための、チベット人の同意なしの強制移転させることをやめること。
  • チベット仏教と伝統ある僧院を守り、信仰するチベット人の宗教的感情と権利を尊重すること。
  • 複数の国際規約や条約に署名している中国政府は、チベット人の権利と要望を尊重しなければならない。

ダラムサラ、2024年3月7日

オリジナル記事


 (翻訳:稲田かおり)