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中国政府による誤ったゼロコロナ政策によってチベットでのチベットの人々の生活が危機に瀕している

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2022年9月26日
中央チベット政権内閣(カシャグ)発表の記者声明
スタッフレポーター

2022年9月26日、ダラムサラ:チベットでの新型コロナウィルス感染症患者の増加を受けて中国政府は、明らかにその有効性に比べて大きな弊害を引き起こしているゼロコロナ政策を強制する厳格な措置を採用し続けています。チベットで発生した新型コロナウィルス感染爆発に対する失策は、中国政府の政策が失敗した結果として、チベット人の生活が危機に陥っていることを暴露しているに過ぎません。中国政府は、新型コロナウィルスの感染爆発を封じ込める政策の手本を自ら示そうとして、医療的支援や新型コロナウィルス感染症の治療を必要とするチベット人の安全や予防措置を完全に放置しており、そのことは厳格なロックダウン措置によって悪影響を受けた多くのチベット人が、SNSを通じて報告し、暴露されていることからも明らかです。チベットの人々は、隔離施設での過密状態や食糧不足、医薬品の欠如、そして非衛生的な生活環境について苦痛を訴えています。また一部のチベット人は、このような状況について囚人よりも劣悪であるとし、また、他のチベット人は、ロックダウン下の悲惨な生活状況に抗議したことで、酷い目に遭わされたとしています。
令和4年8月8日、中国は、チベットで最初となる新型コロナウィルス感染拡大について公式に報告し、チベット自治区のラサ及びガリ地区において22名の新型コロナウィルス陽性者が発生したとしています。これは、2020年初頭から「チベット自治区」におけるゼロコロナ政策を公式に発表してから後、チベット自治区で初となる陽性者の公式発表です。その後数週間以内に、少なくとも3,627名が、検査の結果陽性と確認され、急速に感染者が増加したことが指摘されています。チベット自治区に位置するナクチュ市(中国名:那曲)、チャムド市(中国名:昌都)、ロカ市(中国名:山南)及びニンティ市(中国名:林芝)に隣接する各地域から陽性症例が報告された後、中国政府による厳格なロックダウン措置が、ラサ市(中国名:拉薩)、シガツェ市(中国名:日喀則)及びガリ(中国名:阿里)地区において速やかに実行に移されました。現在、推定で53,076名が「チベット自治区」の隔離施設への収容を余儀なくされています。その一方、カム地方、アムド地方、カンゼ地方及びガバ地方を含む「チベット自治区」範囲外の多くのチベット地域において、散発的なロックダウンにつながるおそれのある新型コロナ陽性者症例が日々報告され続けており、中でも成都市は中国四川省で最も大きな被害が生じた地域となっています。

一方で、中国のプロパガンタ組織は、積極的にこのような状況を隠蔽しています。中国国営メディアは、最近のチベットでの新型コロナウィルス感染拡大の最中、ゼロコロナ政策の実施に不十分な点はないと主張しています。新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、中国当局は、BA.2.76系統のウィルスについて「国外から侵入」したものであると分類した上で、高品質の医療サービスと時宣にかなった必需品の供給を実施したとする虚偽のメッセージによって国民を欺いているのです。8月9日、「チベット自治区」ネットワーク・インフォメーションセンターは、「パンデミックの風評を拡散する」人々に対し、「徹底的に攻撃」するよう呼びかけを行っており、「犯罪者」は厳しく対処されると警告しています。さらに、幾つかのプロパカンダ映像では、中国共産党の高官を「新型コロナウィルスとの厳しい戦い」の英雄として描かれていました。
中国政府による隔離施設の窮乏した状況や、ゼロコロナ政策の実体について真実を語るチベット人らの切羽詰まった必要性こそが、当局によるメッセージが偽りであることを暴露したのです。インターネット上では、過密状態で当座しのぎの病院や、これらの施設に大勢の人々を輸送するバスを映像で流しています。実際には、こうした施設には、清潔な飲料水、食糧、保健施設そして健全な環境等の生活に必要不可欠な基本的なものが備えられていないのです。最近、ラサ市の住民らは、市内の現状を2ヶ月もの間、ロックダウンによって飢えに苦しむ上海の最悪の日々と比較しています。新型コロナウィルスの蔓延は、感染者と非感染者を隔離しないという当局による誤った管理によって急激に増加し、警察官からボランティアまで社会のあらゆる段階でウィルスの拡散をもたらたしたのです。
様々な形での政治的な報復を受ける危険性があるにもかかわらず、チベット人は、ソーシャルメディアを基盤として利用されるSNS等を通じて彼らの境遇を暴露すると共に、新型コロナウィルスに感染したか否かに関わらず、隔離施設に閉じ込められたチベット人のニーズに直ちに応じるよう地元当局に対して訴えたのです。
またある者は「私たちは、新型コロナウィルスに感染していないにも関わらず、当局者は私たちを隔離したのです。誰が責任に問われるのでしょうか。」と訴え、さらに別の者は、「隔離施設において不潔で腐敗した食糧を摂取することはとても適切とは思えません。彼らは患者であり、囚人ではないのです。仮に彼らを看護することが出来ないのであれば、このような遺憾な状況下で隔離されるべきではありません。」と訴えています。当局によるこうした冷淡な対応は、公然と批判されました。また他のチベット人は、「私たちは他800名の人々と共にいました。食糧も医薬品もそして医療スタッフも私たちを看護するには十分ではありません。食糧がなければ餓死しかけている子どもたちはどのようにして生き延びられるのでしょうか。」と訴えています。

チベット人の勇敢さと、ここ最近の残虐な状況に対する批判の高まりを受けて、ラサ市のドラドゥル副市長は、つい最近のマスコミへの説明会において、自ら進んで市政府による感染拡大への取り扱いミスを謝罪し、当局による著しく誤った管理や新型コロナウィルス感染拡大の危機的な状況に対する一般大衆からの激しい抗議の正当性を示したのです。
中央チベット政権は、中国政府に対して、十分な設備等の欠如に対して本音で不満を表明したチベット人による批判を適切に認めると共に、中国政府の誤った管理に対する彼らの正直な意見に対する報復的措置を行わないように求めます。

チベットでの新型コロナウィルス感染拡大に対する誤った政策は、来る中国共産党第20回全国代表大会に関連している可能性があると考えられます。習近平国家主席が優先したゼロコロナ政策は、最も重要な会議の開催に先立って、いわゆる反対派を逮捕して抑圧するために利用されている可能性があります。しかしながら、中国政府が、国際的な義務の下でチベット人の権利を尊重すると共に、彼らが敬意をもって扱われ、ゼロコロナ政策の下で適切な医療施設と基本的な必需品を利用できることを保証することが必要不可欠です。
こうした困難な時期に、中央チベット政権(CTA)は、中国政府に対し、新型コロナウィルスによる危機を克服するため、医薬品や生活必需品という形で時宣にかなった支援をチベット人に提供するよう要請しています。CTAは、中国政府がチベットにおける新型コロナウィルス感染拡大防止に取り組むために、我々の技能や専門的知識を役立たせることを容認することを望んでいます。我々は、追加免疫等のチベットの医薬品、医療機器、看護師及びボランティアといった形で、チベットが、新型コロナウィルスの感染拡大と戦うのを支援するために躊躇したり再考したりすることなく、あらゆる支援の手を差し伸べる体制を堅持しています。

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