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中国が欧州議会を非難 「チベット独立を支援している」

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2000年7月15日
北京(ロイター)

中国政府は、チベットでの中国の政策に対する欧州議会の決議に憤慨し、欧州議会がチベット独立のためにダライ・ラマに協力していると非難した。7月15日付の中国国営新聞が伝えたところによれば、人民代表大会のメンバーらが、「中国事情に対する中傷」や 「残酷な干渉」などの強い表現を使い、欧州議会の決議を糾弾した。

中国政府が欧州議会のどの決議について言及したか、直接的には明らかでないが、貧しい漢族農民を伝統的にチベット族が居住している土地へ移住させるための、今や論争の種となっている中国の入植計画が非難されたことに対して言及したことは明白である。新華社通信の紙面いっぱいに載せられたくどい記事によると、中国が「占領」した「国家」としてのチベットについて言及した決議に最も関心があるようだ。「そうすることによって、欧州議会は明らかに、中国分裂させる為、ダライ・ラマに先導された少数の分離主義者の支援をしようとしている」とその記事にある。

中国政府は、チベット仏教の精神的指導者で亡命中のダライ・ラマが、チベットを中国から分離させるため国際的な活動の先頭に立っているとして、徹底的に非難している。これに対し、ノーベル平和賞受賞者でインドでチベット亡命政権を統治しているダライ・ラマは、チベットの独立を求めているのではなく、チベットの完全自治と宗教の自由を求めているだけと述べている。

◆◆ 世界銀行が融資を断念 ◆◆

中国は、世界銀行が6万人の貧しい漢族農民をチベット人居住地域に移住させるため4千万ドルを融資する計画を断念したことに感情を害している。

中国西部青海省の遠隔地への入植計画融資は、チベット支援活動家らの激しい反対を受け、アメリカ合衆国政府や世界銀行債権国等からの圧力により、7月初めに断念された。

中国側の声明は、「移住計画はチベット人を同化させる企て」と欧州議会決議が非難したことを否定したものだった。中国政府は漢族とチベット族の両方の貧困を緩和させる合理的な方法であると主張。

多くの国際的な専門家が、アメリカ合衆国の今回の融資反対を非難した。「いずれにしても中国は自国の予算で計画を進めるであろうし、西部地域の貧困に喘ぐ人々は世界銀行の管理下の方が暮らし向きが良くなる」、というのが彼ら専門家の弁である。

◆◆ 「全くのうそつき」!? ◆◆

「欧州議会の今回の決議や過去におけるこのような事例が、中国とヨーロッパとの関係にダメージを与える恐れがある」 「欧州議会のこうした言動は中国人の感情を大いに害するだけでなく、中国とヨーロッパの関係の健全な発展に深刻でマイナスな影響をもたらすだろう」と中国の声明。

また声明は、チベット亡命政権と中国との長期にわたって凍結している対話がすぐに再開される可能性をくじくものであるとして、「全くのうそつき」としてダライ・ラマをも攻撃した。

チベットは20世紀前半まで独立国であったが、1951年、中国軍に併合された。その2年後、共産党のリーダー、毛沢東が中国の権力を掌握。1959年、中国人民解放軍に対する防衛に失敗した流血のチベット民族蜂起後、ダライ・ラマは側近たちと共にインドのダラムサラへ亡命した。