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ラサは「まるで巨大な刑務所のよう」

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(2012年9月19日 ラジオ・フリー・アジア)

2012-08-23
あるラサの住民が8月23日木曜日にラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによれば、中国の治安当局はチベットの首都にボディスキャナーを設置し、電話の通話内容を盗聴している。ラサでは大規模な警備上の弾圧が行われており、警察隊が流入し、人通りの多い中心地域では、空港にあるようなボディスキャナー付の検閲所を設置している。

「ラサの街は巨大な刑務所になった。ライフル銃、棍棒、消火器を装備した10人以上の集団の警察隊がいたるところにいる」、とラサ在住チベット人の1人がRFAのチベット担当に語った。

RFAに語った他の女性の話では、人気の観光エリアであるパルコル市場とラサの中心地であるジョカン寺の周囲を巡る巡礼路には、警察によって歩行者用の検閲所が設けられているという。「ボディースキャナー付の検閲所が至るところに設置されていて、チベット人は日常的に検閲とスキャンの対象となっている」、とその女性は語り、亡命したチベットの精神的指導者、ダライ・ラマのかつての邸宅であるポタラ宮殿の周りにもボディスキャン用ゲートが設置されているとも述べた。

もう1人のチベット人住民は、ラサ市外から来たチベット人は街に入ることを許されないが、同様の措置は、2006年に青蔵鉄道が開通して以来、ヒマラヤ地方に流入中の漢民族系中国人には適用されていない、と語った。

その男性は、「警察はチベット人をゲートで止めるが、中国人の移動は自由で、どこからでもラサに入れる。ラサ地区の農村地域のチベット人はYukhu橋やKuru橋を通って街に入れない。だから、真の犠牲者はチベット人だ」、と語った。

高まる緊張

その男性は、「中国南西部のチベット人居住地区から来たチベット人で、ラサの居住許可証がない者は放逐され、故郷に送還された。許可証のない人は全員、故郷に送り返された。ラサは中国人であふれており、チベット人は中国人とかかわることを許されていない」、と語った。男性によれば、武装治安部隊によって実現している秩序とは裏腹に、水面下では民族間の緊張が高まっている。

「どんなチベット人も争いに巻き込まれたら必ず負ける。中国人と話をして言い争いになろうものなら、『分離に向けた政治活動だ』、と言われる。弁護士を使うことはできない。中国人の弁護士はチベット人の訴訟を引き受けることを恐れている」。

3人目のラサ居住チベット人も同様に語った−−「今や、ラサとその周辺地域はまるで巨大な刑務所のようだ。われわれは手も足も出ない」。

その男性によれば、当局は外国からラサへの電話の通話内容を全て盗聴しており、それが一時的措置かどうかは不明だという。

「もし外国在住のチベット人がラサ地区の親族に電話をすれば、ラサの警察の盗聴担当部署で赤い警告ランプが点り、会話は録音される」、と男性は語った。

漢民族も検閲対象に

しかしながら、ラサ在住の漢民族系住民によれば、漢民族もまた厳重な警戒対象となっている。

「こうした警備用スキャナーが設置されたから、スキャナー上を歩かなければならない。身分証明書などの書類もチェックされる。とくにジョカン寺とパルコールに行くのであれば。われわれは基本的にこの2日間、ずっとレストランに残り、外出しなかった」、とヤオと呼ばれるラサ在住の移民労働者は述べた。

今月は毎年恒例のショトン・ヨーグルト祭が祝われる月だが、複数の住民によれば、ラサの厳重な警戒はもはやこのような特定のイベント時に限ったものではないという。
「この2日間にこんな風になったわけではありません。いつでもこのような感じです」、と先ほどのチベット人女性は語った。

「大変、厳重ですが、今や、ここはいつだってこんな風です。慣れなければね。当局は人々が街で集わないようにしているんです。ましてや、チベット人と漢民族の間には、どんな衝突だって起きないように。検閲、検閲、検閲…….誰もが検閲対象です。当局はパルコール市場近くでは、通行人を警備ビデオで探索しているんです」、とその女性は述べた。

標的となっているそれ以外の地域

最近の取材によれば、厳重な警備はラサだけに限られたものではない。
今週入った地元筋の情報によれば、3月以来、不穏な状態にあるチベット人居住地域では1,000人以上が当局によって拘置されており、その対象は主に、チベット語とチベット文化の復興を謳う教育水準の高い若者である。

チベット自治区(TAR)那曲地区Driru郡では3月に示威行動があった後、多数の治安部隊が配置され、取り締まりが実施されたと地元住民は語った。
チベット人居住地域で中国の支配への反対の波は高まっており、2009年2月以降、49人のチベット人が焼身行為に及んだ。こうした激烈な抗議行動のほぼ全てがチベット人が住む中国西部の省で起きている。

ラサでの焼身抗議が最初に起きたのは今年5月。厳重な警備が敷かれる街の中央広場でチベット人男性2名が自らに火を放った。支配者である中国共産党は、今年後半に開催される第18回共産党大会での指導者交代を前に、活動家、異端者、そしてチベットのような潜在的な政治的火種となる地域や北西部の新疆地区のような問題地域をその標的として、この数ヵ月、全国的な「安定」活動をスタートさせている。


(翻訳:吉田明子)