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チベット:仏教僧のための新しい再教育プログラム

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2022年9月27日
スタッフリポーター

ラサ近郊の仏教僧たち。
苦い冬-2022年9月27日、ロプサン・グルン氏撮影

「三つの意識キャンペーン」は、中国共産党がチベットの非暴力抵抗運動の成功を懸念していることの表れである。
すべては5月に始まった。チベット自治区(TAR)全域の仏教僧が召集され、「三つの意識」(国家意識、公民意識、法治意識)を教える再教育コースに参加するよう要求された。「国家意識」とは、中国のチベット統治を支持し、「分離主義」を非難することであり、「公民意識」「法治意識」とは、中国共産党・中央委員会・習近平に疑問なく服従することを学ぶことだと、僧侶らはプログラムが始まる前から分かっていた。

逃げ場のないチベットの僧侶たちは、これまでにもいくつかの再教育プログラムを受けたことがあるが、今回のプログラムはいささか新しいものだという。何を教育されるかは明白であったが、今回は特に4つの運動が非難され、放棄するよう要求された。
まず、ツェタル(放生)、つまり屠殺される予定の動物を解放する仏教徒の習慣が非難された。環境保護運動家の間は、大自然に放たれた動物が生態系のバランスを崩すと批判している。しかし、中国共産党が問題にしているのは、ツェタルの宗教的意義と、これが当局の厳格な規制の外で実践されているという事実である。

ツェタル(放生)。 赤いリボンは、その動物が殺されることなく、自然な形で死することができるようにと配慮されている印。Facebookより。

第二に、僧侶はサカダワ(チベット暦4月)の断食をしないようにと要求されている。サカダワとは、釈尊の生誕・成道・涅槃を祝う祭典であるウエサク祭の前後の聖なる月間である。多くのチベット人は2日間(または3日間)断食し、その月の間は肉を控える(しばしば西洋で誤解されていることだが、多くのチベット仏教徒は菜食主義者ではない)。

第三に、僧侶はチベットの新年であるロサルを祝うように要求され、一般の仏教徒にも同じようにするように勧められている。ロサルはチベットの典型的な祭であり、チベット暦とも結びついており、チベット人のアイデンティティを強め、中国化に対する抵抗力強化となりえるので、そんなお祭を中国政府が勧奨することに外部の人は違和感を覚えるかもしれない。しかし、2008年の大規模な騒動による流血の弾圧の後、中国の国境内にいるチベット人はロサルのお祝いを控えることで抗議してきた経緯がある。

インド亡命中のチベット人、ロサル祭の準備中。 クレジットはこちら。チベットでは、中国への抗議として、多くの人がロサルのお祝いを拒否しています。

2009年に始まったこの運動は、チベット人の自発的な動員により、大きな成功を収めた。中国共産党は、ロサルを祝わない者はチベット僧に操られているとしばしば主張してきた。毎年、僧侶が逮捕されている。中国共産党は一方ではチベット文化を組織的に破壊し、他方では僧侶にロサル祭を推進するよう要求し、ロサル祭に参加しないことは中国に対する抗議と受け取られ、極めて矛盾した状況が続いている。

第四に、僧侶は「農民ストライキ」に反対する立場をとるよう教育されている。農民ストライキとは、チベット語や文化の弾圧に抗議するために農民が自分の土地を耕すことを拒否する、非協力の抗議活動の一つである。この抗議は、(現在、中国の四川に含められているが)元々は歴史的にチベットの一部であった地域で始まった運動で、やがてチベット自治区(TAR)にも拡大した。

これらはすべて非暴力による抗議活動であり、中国共産党を特に不安にさせるものである。中国当局は、さらなる抗議を引き起こすことなく対応するにはどうしたらいいか、しばしば分からないようだ。中国当局は、チベット人の抗議はすべて僧侶によって組織されているという自分たちなりの「神話」を信じているようで、そのため、「協力しなければ、さもなくば」と僧侶たちに詰め寄るのだろう。しかし、僧侶を黙らせたところで、民族全体による非暴力抵抗運動のますますの成功を止めることはできない。

原文はこちらをご覧ください。

オリジナル記事


(翻訳:石田 一規)