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チベット人権民主センター 2000年上半期報告 「中国、チベットの宗教弾圧を強化」

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2000年8月

中国政府は、チベットのすべての地区、特に宗教活動の中心地であるラサにおいて宗教的行為に対する政策をさらに厳しくしてきている。ここ数ヶ月に発令された大規模なキャンペーンは、チベット在住のチベット人の自由に深刻に影響している。中国公安当局は、宗教的美術品やダライ・ラマ法王の写真を狙って、チベット人家庭に対して広範囲の家宅捜索を行っている。この取締り以降、ラサの周辺部は以前にまして緊迫した状況である。

家の中にダライ・ラマ法王の写真を飾っていたために、現在までに450人のチベット人が500元の罰金を科せられた。二人の学生が祈りを捧げていたため、学校から追放されたという報告もある。ラサの西にあるトゥールン・デチェンのナンカ村では、ダライ・ラマの写真が焼却された。タンカの絵、像、祭壇といった宗教に関するものが、チベット人の家々から没収され、キチュ川に投げ込まれた。

ラサ市人民政府、ラサ市情報局、ラサ市規律検閲委員会、ラサ市司法局、ラサ市国家及び宗教問題委員会の5つの政府機関は、2000年3月に共同で法令を発行した。その命令はラサのチベット政府労働者や党員に向けて、ダライ・ラマの写真を掲げること、祭壇を設けること、伝統的な祈祷の旗を揚げること、焼香のためのビャクシンの火鉢を備え付けることなどを禁じたものである。その上、ラサに住む学生は、寺院を訪れたり、宗教的な集まりに参加したり、神聖な都市であるラサの周りをまわることも禁じられている。

2000年6月、チベットオペラ協会のチベット人メンバーの18家庭で行われた捜索で、中国政府職員は強制的に宗教的所持品を差し押さえた。それらは、祭壇、タンカの絵、像、宗教的用具などで、最終的にキチュ川の近くで処分された。約450人のチベット人が、ダライ・ラマ法王の写真を家に飾っていたという理由で、それぞれ500元罰金を科せられた。突然の役人による捜索の後、多くのチベット人労働者は恐れて、自分たちの祭壇や宗教的物品を安全に保管するため、近くの修道院に移したと言われている。

2000年3月には、ラサ市当局の役人が、ジェムガン小学校の教師と生徒をミーティングに召喚し、「寺院を訪れたり、宗教的会合に参加したりした者は誰でも停学処分になる」と警告した。試験の成功を願ってダズィ(Drazhi)女神に祈りを捧げて逮捕された二人の学生は、放校処分となったと言われている。サガ・ダワ(仏陀の生誕月)の間は、夜を徹しての警戒がリンコル地区で強化された。多数の公共保安局員、人民武装警官や他の地区保安部隊が駐留し、チベット人の動きを監視したのである。中国政府役所や学校のスタッフは、中国人役人が、ラサ市内や周辺で巡回する一般のチベット人や学生の身元確認をするのを助けた。

2000年3月に行われたトゥールン・デチェン人民政府内の町村の長による会合では、地方の農民や遊牧民に対して、ダライ・ラマ法王の写真を飾ることを禁止する法令が発行された。郡や町村の権力者で構成されている検閲委員会のメンバーは、トゥールンの住民に事前通知無しの家宅捜索のことを警告していた。
トゥールン・デチェンから最近やって来たチベット人難民によると、トゥールン・デチェンの官僚と、各市町村長による検査委員会が2000年6月に作られ、広範囲にわたるダライ・ラマ法王の写真の没収を引き受けることになった。 ダライ・ラマ法王の写真のチベット人家庭からの強制没収はトゥールン・デチェンで10もの町村で行われている。 それはリウ、マ、グルム、ジャラック、ネチュン、ラモ、デチェン、ヤダ、トンカ、ナンカである。

2000年6月の第3週、委員会のメンバーは押収したダライ・ラマ法王の写真をナンカ村で焼却した。検査委員会は、ダライ・ラマ法王の写真が家の中から見つかったときは、法的捜査を行うと土地のチベット人たちを脅した。

中国政府は、宗教施設に対してより大規模な調査と取締りを行うよう指導する旨の通知を、関係の中国政府事務所に配布したと伝えられている。寺院に対してかつてないほどの厳しい制限と大規模な取締りが行われた。そのキャンペーンの一環として、2000年7月15日にラサの中心の聖堂であるツクラカンから、30人の僧が追放された。

2000年6月22日発行の「チベット文化に関する白書」の中で、中国政府は抗議を行ったが、チベットの人々の権利を明らかに侵害する厳しい宗教政策がとられているという現実とはなはだしく矛盾している。

2000年3月17日、ラサ市規律検閲委員会は第6回総合主幹集会において、人々、献身的な信仰、ダライ・ラマの崇拝、ダライ・ラマの運営する学校に子供たちを留学させること、そしてダライ・ラマの教えに従うこと、これらを禁止した。そしてさらに強調しているのは、定められた法律に違反したものは、厳しい取調べの後に厳罰に処されるということである。

中国政府は宗教施設にも監視の目を向けている。1996年の宗教施設における「徹底攻撃」キャンペーンの発端以来、中国政府は愛国的再教育を導入し、それにより政治的運動家と僧や尼僧は分離された。このキャンペーンの結果、11,847人の僧侶と尼僧が追放され、565名近くが逮捕され投獄されたのである。

Source : TIBETAN CENTRE FOR HUMAN RIGHTS AND DEMOCRACY, Dharamsala