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チベットハウス・ジャパンのアリヤ代表が、韓国民主党議員のチベットに関するコメントに対して遺憾を表す

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2023年6月26日

6月17日(土)に開催された中国西蔵観光文化国際博覧会でスピーチを行なった民主党のド・ジョンファン議員は、ステージを降りた後、中国政府関係者や他の出席者へ一礼した。民主党の代表7名ほどが中国政府の招待を受け、中国へ向かった。(聯合ニュース)

アリヤ・ツェワン・ギャルポ著【*】

ごく最近、韓国の政治指導者7名ほどが中国政府からチベット訪問に招待されたと報じられた。彼らは、チベット国内外のチベット人、チベット支援者、そして世界中の仏教徒の感情を深く傷つけるコメントを行った。彼ら指導者はチベットにおけるいかなる人権侵害もその存在を否定しており、70年前にチベットで何が起こったかについての議論は国益にならないと述べていた。この視察において中国政府が旅費全額を負担したのは言うまでもない。なんと嘆かわしいことだろう。

自由主義諸国家の指導者たちは中国のプロパガンダをオウム返しにすることで、中国政権による人権侵害と弾圧統治を正当化することに利用されている。韓国指導者の一人は、チベットでの出来事に関する「否定的な世論」についての知識を有しないと述べたようだ。そのような指導者に対して、チベットで何が起きたか簡単にお教えしよう。

チベットは古(いにしえ)より独立した平和な国家だった。共産党指導下の中国は1950年にチベットに侵攻し、その後力尽くでこの地域を強権的に占領し続けている。

ダライ・ラマ法王と多くのチベット人は1959年にチベットを脱出し、避難先をインド、ネパール、ブータンに求めた。亡命チベット人たちは世界中の支援者の支援を受け、チベットに自由と平和を取り戻すため日夜全力を尽くしている。

中国によるチベット占領により、120万人以上が死亡し、6,000以上の仏教関連施設が破壊された。中国はチベットをダライ・ラマ政権から解放し、チベットは社会主義の楽園になったと主張しているが、これはすべて虚偽の主張であるとともに、中国のプロパガンダである。これが真実であるなら、当然中国は国際外交官、国連特別報告者、メディア関係者を自由にチベット訪問させているだろう。

人権侵害、宗教弾圧、中国文化への同化促進はこの70年間ずっと続いており、チベット国民は今も残忍な中国政権下で苦み続けている。中国の弾圧に対し国際社会の注目を集めるために、2009年以来157人以上のチベット人が抗議の焼身自殺を図った。

残念ながら、韓国のような自由主義諸国家の指導者たちは中国の政治的圧力を受け、チベット国民の苦しみを軽視しているのだろう。中国とチベットでは情報の自由は全くない。しかし、韓国は自由の国なので、情報はいつでも入手できるはずである。自由主義諸国家の指導者たちの無知が誤解を招き、中国共産党のような専制的政治体制の存続を許している。

ある指導者は、70年前に起こった出来事に関わることは国益にならないと言ったようだ。これは大変不適切で無責任な発言である。それは70年前にチベットで起こったことだが、未だにチベットの人々に自由はなく、共産党政権の下で苦しみ続けているのだから。

私たちは、なぜクアッド(日本、米国、オーストラリア、インドの首脳や外相による安全保障や経済を協議する枠組み)指導者の一角をなす日本と韓国が、インド太平洋地域と南東シナ海の平和と安定を維持するために団結する必要があるのかを知るべきである。それはすべて、隣国共産主義者による絶え間ない軍事的脅威が太平洋地域を危険な戦争地帯にしているからだ。

韓国仏教の代表的宗派である曹渓宗が韓国民主党議員の無知で無責任な発言を非難する声明を発表したことを高く評価する。声明では「我が国の仏教徒のみならず、韓国国民ひいては世界の全ての人々の普遍的常識である人権問題を無視した、あるいはチベットで起こっていることを過去の歴史として無視した(民主党の)発言に対し、驚きと深い遺憾を隠せない」としている。私たちは、曹渓宗の指導者と僧侶の真実に即したこの力強い発言に感謝する。

チベットの人々は中国統治下のチベットで苦しみ、そして今も苦しんでいる。 2021年12月、中国はチベットのカム地方にある高さ99フィートの仏像、45個の巨大摩尼車、僧院学校を破壊した。中国がラルンガルやヤルチェンガルを含めチベット各地の僧院学習センターを破壊し続けていることは世界中でもよく知られた事実だ。

それゆえ、私たちは韓国民主党議員に対し、抑圧的な共産主義政権下でのチベットの人々や他のコミュニティの苦しみに注意を払い、より責任ある発言をするよう要請する。昨日はチベット、今日はウクライナ、そして明日は韓国かもしれません!

【*】アリヤ・ツェワン・ギャルポ博士は、ダライ・ラマ法王日本・東アジア代表部事務所の代表です。表明された見解は、必ずしも代表部事務所の立場を反映しているわけではありません。

 

オリジナル記事


(翻訳:Samsara)