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チベットの人権問題が中国新体制下で悪化――フリーダム・ハウスの報告

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(2015年1月14日)

 

ダラムサラ: 米国に本部を置き、民主主義、政治的自由、人権問題の調査を行うNGO団体フリーダム・ハウスが中国に関する報告書を発表した。これによると、習近平中国国家主席の新体制下で、チベットをはじめとする同国内での人権の弾圧にあたる件数が増加していることが報告されている。火曜日に公開された『中央政治局の苦境』とされる報告書の中でフリーダム・ハウスは、中国がチベットと新疆ウイグル自治区の問題を重要視していることに着目している。

 

「チベットで2008年、新彊で2009年に、それぞれ反政府抗議活動に対する弾圧と民族同士の紛争が始まったが、同時に拉致、投獄、拷問、処刑が新たに行われるようになり、場合によっては数百人、数千人が巻き込まれている。

中美対話基金会による公式統計によると、2008年以降、国家の安全を害したとされる裁判や起訴の件数が急激に増加した。このうち有罪となり処罰の対象になった多くはチベット人とウイグル人であると見られる。」

また、報告書では2009年以降チベット全土に広まった焼身抗議の波に対する中国政府の厳しい対応にも触れている。

「2012年11月に焼身抗議者数がピークに達し、その後も周期的に発生しているが、抗議者に対する中国政府の対応は強化された。団体処罰という形で、焼身抗議を手助けした者には殺人罪が適用された。

 

2013年後半の取り締りにより、1つの郡だけで身柄拘束が58件以上、最高18年の禁固刑15件となった。明らかになっているだけでも、2013年には著名な宗教指導者を含む2人の僧侶が、拘束されて数週間のうちに撲殺された。」とフリーダム・ハウスは報告している。

しかし、中国政府が取り締まりを強化しても、同政府の抑圧的な政策に対するチベット人の抗議活動は強まっていると、同報告書は伝えている。

「迫害された宗教団体や民族集団が直面する厳しい弾圧を考えると、静かな抗議活動でさえ、そのリスクは高い。それでも、抗議活動は広く行われている。多くのチベット人は、処罰の脅威にありながら、また『愛国教育』運動で、彼らが尊敬する精神的指導者ダライ・ラマを非難するよう要求されても、その肖像を所持し続けている。」

報告書によると、中国で特に検閲の対象になっている項目の中には、長年にわたってタブーとされている内容が挙げられている。著名な反体制派、共産党指導者についての否定的な内容、チベットと新疆の自治拡大の呼び掛け、台湾の独立と民主主義、法輪功に関係する記載などである。


(翻訳:植林秀美)