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ダライ・ラマ法王79歳誕生日 カシャック(チベット亡命政権)の声明

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(2014年7月6日)

ダライ・ラマ法王の79歳の誕生日をお祝いするこのおめでたい日に、カシャックはチベット内外のチベット人を代表して心からの敬意を表します。私たちはダライ・ラマ法王を慕う世界中の何百万人という人々と共に法王のご健康とご長寿をお祈りしたいと思います。1953年7月6日、チベットのアムド地方タクツェ村で自作農を営む一家にお生まれになったご子息ラモ・ドンドゥプを私たちに授けてくださった法王の亡きご両親、チョキョン・ツェリンさま、そしてデキ・ツェリンさまにも深い感謝の気持ちをお伝えします。

カシャックは今年2014年を『偉大なるダライ・ラマ14世の年』として、チベット問題のため、そして世界平和や宗教間の調和、人間性の向上のために尽力されてこられたその偉大な功績を讃え、年間を通じて世界中でさまざまなイベントを行っています。21の主要なイベントをCTA(中央チベット政権)が主催し、その中に300ほどの小規模なアクティビティが計画されています。さらにその先、2015年6月21日はチベット暦5月5日のダライ・ラマ法王の80歳のお誕生日にあたりますが、カシャックは法王の長寿祈願祭でお祝いをする予定です。今回の79歳の誕生日の祝賀会には幸運にも、ラダックで第33回カーラチャクラ灌頂をお授けになっていたダライ・ラマ法王ご自身のご臨席を賜ることができました。ラダックは、宗教・文化をチベット民族と深く共有している地方です。

64年前の1950年、中国によるチベット侵略後の危機的状況のなか、チベットの宗教および政治的権限が当時16歳だったダライ・ラマ法王に委任されました。前途多難な状況にあっても、ダライ・ラマ法王はこの60年近く、その限りないご慈悲と知恵、勇気によってチベット民族を導いてこられました。中国の支配下にありながら、今日チベット民族が地域や宗教の違いを超えて鉄の玉のごとく団結しているのは、ひとえにダライ・ラマ法王の賢明なご指導の賜物です。今日のチベット民族の団結力は近世のそれを遥かに上回るものであり、それは3人の仏教王がチベットを支配していた時代に匹敵するほどだと言われています。

亡命社会において法王は、古い伝統と新しいものの両方を重んじる、強く結束したチベット社会の構築を心に描かれました。その手始めに、インド、ネパール、ブータンにまたがってチベット人居住地を確保することでチベット民族のアイデンティティーを守り、生活手段のための強い基盤を作られました。同時に、次世代のチベット人が伝統的な価値観に根ざしつつ現代の教育を受けられるようにチベット独自の学校制度の確立に着手されました。現在のチベット人指導者らは、亡命チベット人を過去50年にわたって教育してきたそれらの機関で育てられた人たちです。

ダライ・ラマ法王のご指導と英知によって一連の組織的、制度的な改革が導入され、亡命チベット社会における政治形態は真に民主的なものになりました。長年にわたる民主改革により、亡命チベット社会全体が民主主義的価値と文化に深く根ざした社会へと変貌を遂げたのです。その結果、チベット民族は六大陸に分散しながらも活気あふれる団結した社会を保ってきたのです。今日の亡命チベットの政治形態と社会が模範的であると見なされているのもまた、将来の展望を備えたダライ・ラマ法王と先輩方のご指導とたゆまない努力のおかげなのです。

チベット宗教の保護と促進のため、占領下のチベットで破壊された主たる僧院のほとんどがダライ・ラマ法王のご指導のもと亡命社会で再建されました。チベット仏教全四宗派およびチベットの土着宗教ボン教の教義と実践の中心であるそれらの僧院は、亡命チベット社会によみがえっただけでなく今大いに栄えているのです。それら僧院の学僧や高僧がチベット仏教の普及を助け、今ではチベット仏教の寺院が世界各地に作られています。

実際、ダライ・ラマ法王は、ヒマラヤ地方に住む人々に彼らの持つ文化遺産の価値を再確認させ、その結果土着の伝統・習慣の復活に多いに役立つことになったのです。法王は世界中の仏教徒たちのガイダンスと癒しの源であり、チベットからもたらされた仏陀の教えを保護し、その発祥の地であるインドをはじめ、六大陸67カ国での普及に大いに貢献されているのです。

ダライ・ラマ法王は宗教間の調和を絶えず唱えられ、あらゆる宗教の指導者らと交流をしてこられました。世界の第一線で活躍する科学者たちと僧侶間の対話を先導され、科学・宗教双方に大きな実りをもたらしたのもダライ・ラマ法王です。さらに、世界に世俗倫理の向上を訴え続けたご努力が認められ、宗教を超えて世界市民の尊敬と賞賛を得てこられました。

このように多様かつ継続的な貢献をされてきたことは150を上回る賞や名誉学位が授与されていることからも明らかです。中でも特筆すべきなのは、1989年のノーベル平和賞、1991年の国連アースプライズ、2007年の米議会名誉黄金勲章、そして2012年のテンプルトン賞です。チベット問題に対する世界的な意識の高まりの原動力になっているのは、まさにダライ・ラマ法王が国際的に認められてきたそのご威光なのです。

ダライ・ラマ法王の影響力と名声を考えると、それを中傷しようとする人たちが現れるのも仕方のないことかもしれません。特にドゥギャル信奉者は、宗教の自由と人権保障の名の下にダライ・ラマ法王を中傷する政治的なキャンペーンを行っています。宗派主義や狂信は、現在保たれている宗派間の調和と団結を危機にさらすものですが、ドルギャル信奉者はまさに宗派主義を主張し狂信に走り、中国共産党の政治的手先となってしまっています。

仏教にとって大切なものは何か、そして何よりチベット民族の存続が危機的状況にあることを踏まえて、私たちは真実と虚偽、正当と不正を賢く見極めなければいけません。

より大きな意味でのチベット問題についてですが、これは中国政府との対話によってのみ解決されるものだということを、カシャックは念を押して申し上げたいと思います。中道のアプローチこそが双方にとって実りある解決策であるという事実に、中国の新指導部が気づくことを望みます。中道のアプローチは、これまで世界各国政府および中国人民を含む国際社会の支持を得てきました。CTAはさらなる支持を求めて大規模な世界的なキャンペーンを展開しています。その一環として、中道のアプローチに関する詳細な情報と資料がウェブやSNSを通じて他言語で配信されることになります。地元でも中道のアプローチに対する認識を高めるために、大臣やCTAのメンバーがチベット人居住地を訪問する予定です。チベット人が総出でこの重要な取り組みに協力してくれることを心から願っています。この60年間、チベット内では恐怖と抑圧で息の詰まるような状況が続いてきました。それにも拘らずチベットの人々は断固として希望とプライドを持ち続けてきました。彼らはダライ・ラマ法王に希望を託し、法王のご帰還を心待ちにしています。ダライ・ラマ法王のご帰還と自由を希求する彼らの強い訴えは、中国の抑圧的支配に対し焼身抗議を行った130人に共通のスローガンでもあります。極端な行動を避けるようにと私たちは繰り返し呼びかけをしてきましたが、胸をえぐられるような焼身抗議はチベット中至る所で起こり、チベット民族の真の望みが中国政府だけでなく世界中に知れ渡ることになりました。

団結、革新、そして独立独行を指針の原則として、チベット内部のチベット人そしてチベットの自由回復を切望しながら逝ってしまったすべてのチベット人の願いと、ダライ・ラマ法王のビジョンを現実のものとしていくことを私たちは固く誓います。

最後になりましたが、チベット問題を支持し、チベット宗教および文化の保護・促進のために協力してくださるインドおよびヒマーチャル・プラデーシュ州政府の皆さま、そして世界各国政府の皆さまに心からの感謝の気持ちをお伝えいたします。

ダライ・ラマ法王のご長寿を願い、法王の希望が叶えられますことをお祈り申し上げます。チベット問題の解決が一日も早く実現しますように。


(翻訳:Takako Barker)