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ダライ・ラマ法王14世ノーベル平和賞受賞30周年を記念してのカシャック(内閣)の声明

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2019年12月10日
カシャック

30年前の本日、ダライ・ラマ法王14世は、チベットに暮らすチベット人の自由を平和的に取り戻すための確固とした取り組みが評価され、ノーベル平和賞を受賞されました。中央チベット政権第15代カシャック(内閣)は、ノーベル平和賞受賞30周年を記念して、我々チベット人が最も尊敬する偉大なる指導者ダライ・ラマ法王14世に深い敬意と感謝の念を表します。また、この機会に、カシャック一同より、チベット内外のチベット人の皆さま、ご出席の来賓や高位の皆さま、世界各地のチベット支援者の皆さまにご挨拶申し上げます。

ダライ・ラマ法王は、すべての人類の平和と調和を達成するために、慈悲、寛容、思いやりの心を持つことの大切さを伝える活動を着実に実行してこられました。異宗教間の調和が大切であること強く唱えられ、いかなる紛争も対話をもって解決することを提唱してこられました。迫害のなかにあってもなお、チベット問題を非暴力で解決しようと不断の努力を自ら実践してその模範となり、世界を率いてこられました。

世界で最も敬愛される指導者のひとりであり、ノーベル平和賞受賞者であるダライ・ラマ法王は、より平和な世界を築くために長きにわたってリーダーシップを発揮されました。それによりチベットの主張が世界から注目され、支持されるようになりました。

本日は世界人権デーでもあり、世界人権宣言71周年記念日でもあります。しかしながら、今日のチベットでは、この画期的な宣言に挙げられた基本的人権は中国共産党に踏みにじられています。チベット人は、宗教の自由、言語の自由、環境の保護など、中国の憲法に認められた権利を求めて声を挙げれば、厳しい抑圧を受けています。

チベットでは、中国政府の抑圧的な政策に対するチベット人による抗議活動が続いています。11月26日にはチベット東部のンガバでヨンテンという名の24歳のチベット人が焼身抗議を行いました。2009年以降、チベットでは154人のチベット人が、チベット人の自由とダライ・ラマ法王の帰国を求めて焼身抗議を行っています。

中国政府がチベット人の苦境に真摯に対処することはなく、政府の締め付けはさらに厳しくなりました。2018年に中国の公安局が22種の違法行為を挙げて配布した文書では、環境や言語の保護を地域が先導して取り組むことや、中道のアプローチを支持すると何らかの意思表明を行った場合には、組織的犯罪としてみなされます。2008年以降、チベット人はチベット内外での自由な移動がより厳しく制限されています。

つい最近、キルティ僧院の36歳の僧侶ロブサン・ドルジェ氏は、国際社会と通じているという容疑で1年以上も外部との接触を断たれて拘束されたのち、3年間の禁固刑を科せられました。別の件では、22歳の僧侶ソナム・パルデン氏が罪名不明の状態でキルティ僧院の自室から強制連行され、その後の消息はわかっていません。今月初旬には、セルシュルのシェドルップ僧院のチベット人僧侶6名が、中国のチベット支配に対する抗議を行ったとして逮捕されました。その3日後には20代前半のヨンテン氏とチョーギャル氏のチベット人2名が、同様の抗議を行った罪で逮捕されました。

こうした現在も横行するチベット人への抑圧は、国際連合人権理事会でも報告されているほか、欧州連合からアメリカ合衆国まで多くの決議事項にも挙げられています。近年では毎年、フリーダムハウスの報告書に不自由な国としてシリアに次いで二番目にチベットが挙げられています。

先ごろ行われた119会期の国連人権委員会の強制的・非自発的失踪に関する作業部会では、中国はパンチェン・ラマ11世とその家族の消息について専門家たちの質問に答えましたが、お決まりの立証不能で不十分な情報を提供するのみでした。中国はパンチェン・ラマとその家族を、そしてチャドレル・リンポチェや他の政治犯を、すべて解放すべきです。

さかのぼること1969年、ダライ・ラマ法王は、ダライ・ラマ制度を継続するか廃止するかはチベット人が決定すべきことであると表明されました。10月に開催された第3回特別総会および11月に開催された第14期チベット宗教会議の場で、チベット人はダライ・ラマ制度の存続を心底から望んでいることが表明されました。また、輪廻転生に関してはダライ・ラマ法王が唯一の権限を有すると宣言されました。

チベット人の願いはその決議に明確化され、2019年10月に中央チベット政権本部に正式訪問した米国務省の国際信教の自由担当大使サムエル・デール・ブラウンバック氏がこれを読み上げました。大使は「米国政府はチベット人、ダライ・ラマ、チベット仏教の制度に帰属するダライ・ラマの後継者の認定におけるダライ・ラマの役割、そしてその他チベット仏教指導者たちを支持する。これはそれ以外のいかなる政府や団体に帰属するものではない」と表明しました。

ダライ・ラマ法王の過去60年にわたるたゆまぬご尽力は、亡命チベット人社会の確立、民主的な政権の樹立、チベット語、宗教、文化の復興、チベット人の子どもたちへの現代教育の提供、チベット人の主張の世界的ステージへの向上として、結実しました。こうしたダライ・ラマ法王のご尽力とご献身を称え、2020年はダライ・ラマ法王感謝年といたします。

ダライ・ラマ法王への感謝を示し、私たちはますます価値のある行動に身を投じ、皆でよいカルマを積まねばなりません。ダライ・ラマ法王が使命とされている活動を再認識し、その達成に向けて取り組み、また、私たちチベット人の主張を一丸となり達成する努力が、私たちに求められています。私たちは、ダライ・ラマ法王感謝年とする一年間、そういった目標に向かってあらたに様々な取り組みを重ねてまいります。

この場をお借りして、インド国家とインド国民の皆様の優しさに感謝し、またチベットの主張を支持し、チベットに平和と自由を取り戻すために惜しみないご尽力を下さる世界中の国々、指導者、支援者の皆様に深い感謝の意を表します。

最後に、ダライ・ラマ法王のご長寿を私たちは祈り続けます。法王のすべての聖なる望みが叶いますように。チベットの非暴力の正義が勝利を得ますように。

カシャック

2019年12月10日


(翻訳:植林秀美)