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スイス外務省、チベットの現状を憂慮

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(2011年11月22日 チューリヒ)

チベット内部でチベット人による焼身自殺が相次いで起きていることに関してスイス外務省は『大いに懸念している』と発表した。21日に出された声明によれば、スイスと中国の政府間では中国内の人権問題、特にチベット民族問題がしばしば論じられているという。

21日朝、主席大臣ロブサン・センゲ博士はスイス外務省の高官らとスイスの首都ベルンで会談した。

チベットの民族衣装を纏った40名余りのチベット人がベルンに到着した主席大臣を歓迎した。

センゲ氏はスイス外務省の高官らに対しチベット内部の現状を説明した。今年3月16日以来11名のチベット人が焼身自殺を図っている。これは単なる数字ではない。11名の尊い人命、11名のチベット人の命だ。「人は選択を与えられるなら誰もが生きることを選ぶだろう。しかし中国の支配の下チベットは非常に厳しい状況におかれている。その絶望的な状況が今のチベットの悲劇を生んでいるのだ。」

センゲ氏は、1960年以来チベット民族を支援し続けてきたスイス政府および赤十字に対して謝辞を述べた。スイスはアジア以外の国では初めてチベット亡命者を受け入れ国だ。現在もスイスにはヨーロッパ最大のチベット人コミュニティーがある。さらにセンゲ氏は、スイス政府の人権問題への取り組みに対しても感謝の言葉を述べた。

会談の中でセンゲ氏は、彼が主席大臣に選ばれたということはチベット民族がこれまで通り中道のアプローチを支持していく意思を持っていることの現れだと語った。
中国人との交渉について同氏は、ハーバード大学での16年間で彼が中国から学者らを招いて主催した五つの会議について言及した。そのうちの二つの会議にはダライ・ラマ法王も出席されたという。

「私には中国人と対話をしてきた実績がある。彼らと交渉するには、忍耐と辛抱、そして思いやりの心が必要だ。」「時間が経てば人も変わる。この変化がもたらされるような環境づくりが必要なのだ。」

センゲ氏は、新しいチベットの政治的指導者として役目を果たすことは困難であり障害も多い、と語った。「私たちチベット人が何とかしなければならない。チベット内部のチベット人は命を犠牲にしてまでチベット問題に立ち向かっているのだ。」
チベットの政治的新リーダーはアラブの春の話題に触れ、中東に訪れた変化によって自由と人権がより普遍的なものになった、と語った。

さらに彼は、スイス国会内のチベット対策チームの副会長であるマヤ・グラフ氏と個別に会談した。中国はチベット民族の基本的人権を尊重するべきだと彼女は主張する。そして、スイスと中国が自由貿易の合意をするにあたっては人権問題と環境問題に関する規制が盛り込まれるべきだと意見を述べた。

記者会見の場で両氏は、中国と取引のある国々が利益を得るどころか貿易赤字に苦しんでいる事情に触れ、各国が中国の人権問題についてもっと問いつめていくよう要請した。

チベット内部の声なきチベット人の代弁者として主席大臣は、スイス政府もチベットの現状に対する憂慮をさらに強く示して欲しいと希望を述べた。
同時にセンゲ氏は、チベット民族が中国人や中国という国家に否定的な感情を抱いているわけではないことを強調した。「私たちが抵抗しているのは中国政府による我々への強硬政策だ。チベット民族にも信教の自由、人権、そして表現の自由を享受する権利がある。」

明日(11月23日)、主席大臣はドイツの首都ベルリンを目指す。そこでドイツ国会議員らとの会談がもたれる予定だ。現地のチベット人コミュニティーとの交流も計画されている。


(翻訳:中村高子)