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透明性の向上と報道の自由の保障が民主国家への第一歩 ダライ・ラマ法王の中国人社会への呼びかけ

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(2011年6月13日 メルボルン)

6月12日、ダライ・ラマ法王はメルボルンの中国人コミュニティーの集会において、報道の自由の保障と情報管理における透明性の向上が中国を民主国家に導くと述べられた。

メルボルン訪問4日目、法王は多くの中国人の若者や仏教徒、そして民主化運動家らと交流された。その多くは前回の訪問の際に法王によって提案され設立された、在メルボルン中国−チベット親睦会の会員である。

チベットと中国の友好の歴史は千年以上続いている。「仏教はチベットよりも先に中国で栄えた宗教であり、その意味では中国人の方が仏陀の弟子としては先輩ということになる」と法王はおっしゃった。

政治的な立場に関しては、これからも中国内での自治を要求していく意向を改めて表明され、「私たちは友好と相互協力によって問題を解決していくべきだ」と述べられた。

チベット人社会が真の民主主義を実現させたその素晴らしい成果を中国政府にも示すことができたことを誇りに思っていると法王はお話しになり、次は60年間政権を握り続けた中国共産党が引退する番だ、と付け加えられた。

しかし法王は中国が一晩で民主国家に変わることを期待しておられるわけではない。

「中国は大国で、民主主義にも馴染みがない。だから徐々に民主化の道を進むのがいいだろう。その第一歩として透明性を向上させより開いた社会の実現を目指すことだ。まずは報道の自由を保障し、偽情報を吹聴するのを止めなければならない。」

中国人コミュニティーの温かい歓迎に法王は感激されたご様子であった。中国人の女性たちが法王のためにチベット語の祈りの歌を披露した。それは法王がご幼少の頃から一日も欠かさず朗唱してこられた祈りであった。

この集会に先立ち法王はチベット、モンゴルそしてブータンのコミュニティーとも会合をもたれ、そこで次のようにおっしゃった。「私たちは21世紀の仏教徒でなければならない。つまり仏陀のダルマを完全に理解していなければいけない、ということだ。」

さらに法王はオーストラリア在住のチベット人に対し、チベット文化保護のために更なる努力をするように呼びかけられた。「私たちは自然災害や国内紛争を理由に亡命したわけではない。私たちは自国を外国に占領され国を後にしたのだ。チベット古来の豊かな文化遺産を守るのは私たちの義務なのだ。」政治的権限を移譲されることについて法王は、政治的に引退するからと言ってチベットのことを諦めたわけではない、とチベット人に向けて明言された。「私はチベット民族の未来のためにこの決断を下したのだ。」

その後法王は『入菩提行論』についての法話、二日目のプログラムに臨まれた。第9章『智慧』について話された後、第1章(菩提心から得られるもの)、第4章(善の心、不放逸)そして第8章(禅定)を解説された。
法王はそのお話の中で空、涅槃、四諦などの仏教の中心概念を時間をかけて詳しく説明され、難解なそれらの概念をチベット人にだけでなく、現代社会にも大いに有意義なものとしてお説きになられた。チベット語と英語を交えたその法話で、ダライ・ラマ法王はまたその導師としての素晴らしいさを私たちに見せてくださったのであった。


(翻訳:中村高子)