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米国務省 トゥルク・テンジン・デレクの裁判に懸念を表明

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(2004年11月18日 ラジオ・フリーアジア(RFA))

米国務省は、チベットの僧トゥルク・テンジン・デレクに対する非公開裁判について重大な懸念を表明した。トゥルク・テンジン・デレクは、あと3週間足らずで死刑執行の猶予2年の期限が切れる。

「合衆国政府は、(中国に対し)全ての重要な裁判の事例について、正確な情報を提示すること、有罪の証拠をはっきりと提示することを強く要求し、トゥルク・テンジン・デレクの裁判について世界で懸念が高まっていることを示唆した」とジョーダン国務省報道官はラジオ・フリーアジア(以下、RFA)に語った。

2002年12月6日、中国四川省の西部で、トゥルク・テンジン・デレクは、「一連の爆破事件に関与したこととチベットの独立を支援した」罪で、2年の執行猶予期限付きの死刑判決を受けた。侍従のロプサン・トントゥプは同じ罪で死刑判決を受け、2003年1月26日に死刑が執行された。両名とも関与を否定していたこの一連の裁判は、国際世論から強い抗議を受けることになった。

「重大な懸念」

二人に対する判決は国際的な世論の猛反発を受けることになり、人権団体などは公開の再審を要求している。トゥルク・テンジン・デレクの2年の執行猶予期限が切れるこの3週間、人権活動家らは釈放を強く求めているところである。

「米国は、中華人民共和国に対する重大な懸念を繰り返し表明する。トゥルク・テンジン・デレクが非公開裁判で容疑を否定し、中国当局は繰り返し再審を保証したにもかかわらず、上級人民法廷で再審は行われなかった。パウエル国務長官とアーミテージ国務副長官は、中国首脳との会談でこの問題を出した。我々米国は、共にワシントンで、トゥルク・テンジン・デレクの状況についての深い懸念を、ワシントンの中国大使館、北京にある中国外務省、トゥルク・テンジン・デレクが投獄されている四川省の当局に、表明したばかりである。我々は、明白な情報を提供する必要性、全ての重大な訴訟について納得できる有罪証拠をあげることを強調し、さらにトゥルク・テンジン・デレクの今回の判決について国際的な懸念が高まっていることを挙げた。チベット人を含む全ての中国国民の人権に多大な敬意を払うようにさせることが、中国に対する米国の外交政策の鍵のひとつである。表現の自由における大綱についての米国政府の立場は、全く明らかである。自分の意見を表現したり、合法的な活動を平和的に従事したりした個人を拘留すべきではない」

数々の人権団体が集結

「私たちは、トゥルク・テンジン・デレクを政治囚と見なしている」とアムネスティ・インターナショナルのワシントン支部のT.クマールは、続けて言う。
「アムネスティ・インターナショナルは、全ての死刑執行をやめるよう、特にテンジン・デレク・リンポチェ(トゥルク・テンジン・デレクの尊称)のような政治囚の死刑をやめるよう、中国当局に強く要求する。私たちは、中国が2008年のオリンピックが決まって新しい方向へ進むことを願う。テンジン・デレク・リンポチェの死刑中止、及び無条件に早期釈放することを願う」

■ 正当な裁判を拒否された人々

米国は2003年度の世界人権白書において、数々の発展がみられるものの、中国でいまだに貧困が続くチベット人居住区での中国政府が行っている内容を報告した。ロプサン・トントゥプとテンジン・デレク・リンポチェは、非公開の法廷に隔離され、正当に裁判を受けることも、正当に陳述することも拒否された。

「ロプサン・トントゥプの死刑は、四川省の地方上級人民法廷での控訴の日当日に執行されたばかりでなく、外国の高官に約束した国家レベルでの最高人民法廷で再審するという約束も反古になっており、国際社会において憂慮ならぬ懸念が高まっている」—米国政府発行2003年度世界人権白書より

■ 録音テープが密かに持ち出される

2003年1月、トゥルク・テンジン・デレクは、自らの潔白を繰り返し述べた内容を録音し、そのテープはRFAが頼んだチベット人を通して密かに刑務所(四川省ダルツェンド)の外に持ち出された。

「当局がなんと言おうと、何をしおうと、私は全く潔白である。私は、いつも真心で接するよう、常に他者を気遣うよう人々に強調してきた。誰もが、私が繰り返しのべ、実践してきたことは知っている。四川省の爆破事件については友人から聞いた。その中には、爆弾が仕掛けられたというような話もあった。しかし、私は冤罪だ。なぜなら、私は常に誠実であり続けているし、チベット人への利益と幸福のために献身してきたからだ。中国は私のこうした言動が気に入らなかったのである。私が逮捕された理由はそれだけである」
—録音テープの一部より

トゥルク・テンジン・デレクは、チベットの精神的指導者ダライ・ラマが亡命するインドで学んだ。ダライ・ラマのチベット亡命政権は、トゥルク・テンジン・デレクとロプサン・トントゥプ両名ともが正当な裁判を受けずに出された判決は不当であるとして、二人の死刑判決差し戻しを要求している。