ニュース

中国によるダルギェ師の強制失踪と判決

2026年4月9日

 

――202648日、チベット国際キャンペーンによる報告

チベット自治区並びに近隣地区では、中国からの弾圧と非公開の法的判断が増加を続けています。チベット国際キャンペーン(ICT)は、今回その具体例として、63歳のチベット僧、ダルギェ師の中国政府による拘束と非公開判決を取り上げています。ICTに寄せられた信頼できる情報によると、ダルギェ師は4年以上に渡る隔離拘束の末、7年の懲役を言い渡されました。このケースは、中国当局が平和的な仏教の宗教信仰を組織的に犯罪化していること、そして基本的権利を常態的に侵害していることを浮き彫りにしています。

連行と強制失踪

ダルギェ師の苦難は2021年8月5日、ラサでの中国警察による逮捕で始まりました。彼は親族のツェリン氏と尼僧のチョエキ氏と共に拘束されました。ツェリン氏とチョエキ氏は数カ月後に解放されましたが、ダルゲェ師は拘束されたままであり、その後、2025年秋にダルギェ氏の消息に関する情報が少しずつ明らかになるまで、強制失踪の状態に置かれました。

4年以上の間、ダルギェ師の家族は彼の行方も知らされないままでした。2021年の逮捕直後から、家族はラサの中国当局に連絡を取っていましたが、ダルギェ師は元気ですぐ釈放されるという、事実とは異なる回答だけでした。こうした虚偽の情報は家族に早期帰還への誤った希望を与え、国際社会に彼の拘束問題を提起することを躊躇させる結果となりました。

起訴内容と判決

ダルギェ師の判決に関する情報が明らかになったのは、2026年1月末に入ってからでした。チベット国際キャンペーン(ICT)は、彼がダライ・ラマ法王にチベット仏教の伝統的な金銭供養(キャブテン སྐྱབས་རྟེན་ とゴテン བསྔོ་རྟེན་)を行ったとして起訴されたと考えています。当局はまた、彼がチベットからの脱出を試みたチベット僧侶たちの手助けをしたとして告発したと報じられています。

一連の法的措置は、全て水面下で行われました。ダルギェ師の家族は、彼の罪状、裁判期日、どこに拘留されているかを正式に知らされもしませんでした。面会は一切許されず、高齢であることから、親族はダルギェ氏の現在の健康状態を深く懸念しています。

逮捕からほぼ一年後の2022年8月、中国当局はダルギェ氏の兄弟であるツェドゥ氏と他4名のチベット人を別件で拘束しました。5人は、伝統的宗教行為である山の神々への煙の献上や祈祷儀式を行ったとして逮捕されました。5人のうち一人は激しい暴行により死亡し、残りの4人は懲役2年を言い渡されました。

法的基準への違反

 チベット国際キャンペーン(ICT)の分析では、中国当局のダルギェ師の事件への対応は、明らかに中国刑事訴訟法と国際人権法に違反しています。条項85にあるように、当局は家族に逮捕理由と拘束機関の所在地を24時間以内に通達する義務があります。国連のあらゆる拘束と拘留に関する人権擁護原則(総会1988年12月9日に採択された決議43/173)の16番、ネルソン・マンデラ規定58番、及び強制失踪に関する人権擁護法17と18条項においても、各国に対し、失踪者の消息と所在などの基本情報の迅速な家族への伝達が求められています。時間制限付き等を除き例外は殆ど認められません。ダルギェ師を5年もの間隔離拘束したのは、例外規定からもかけ離れており、中国は自国の法的枠組みと国際法に違反しています。

さらに、伝統的仏教における布施を犯罪とみなすのは、チベット仏教の思想の中核を揺るがすものです。チベット仏教においては伝統的に、布施は宗教指導者への基本的な信念の表明です。キャプテンは宗教指導者に帰依の意を伝える供物であり、ゴテンは、特に亡くなった人々や現在病床に伏している人々に良いカルマを生み出すための捧げものです。中国政府の掲げる”平和と安定維持”政策においては、このような精神的指導者への供物は、「分離主義の扇動」あるいは「国家権力の転覆」とみなされます。

ダルギェ師に対する不透明な判決は、チベット内の宗教の自由を著しく踏みにじる中国当局の行為の典型例と言えるでしょう。執拗な監視体制と計画的な強制失踪をもって、中国共産党は宗教の自由を抑圧し、チベットの人民とその囚われた指導者達との精神的な絆を絶とうとしています。司法制度の透明性の欠如は、こうした散発するチベット人弾圧の実情を覆い隠しています。

ダルギェ氏は、1962年アムド地方ウルシュル県ゴロクのセルタで、チョエペルとチョエルハの息子として生まれました。タルギェ氏は、1736年に創立され、新旧の仏教を共に伝導するセルタ・セラ僧院で僧侶となりました。逮捕されるまではラサに在居し、地域のチベット人信者のために、宝物、経典、仏塔などの奉献儀式を頻繁に行っていました。

オリジナル論文


                             (翻訳:K)

ニュース

最新ニュース

これから開催するイベント