ニュース

ニュース

最新ニュース

これから開催するイベント

日本チベット国会議員連盟のメンバー増、世界最大の議員連盟

Print Friendly, PDF & Email

2018年2月20日
日本、東京

チベット亡命政権ロブサン・センゲ主席大臣が日本の国会を訪問。2018年2月20日、日本、東京

チベット亡命政権ロブサン・センゲ主席大臣が日本の国会を訪問した。センゲ主席大臣は、日本チベット国会議員連盟のメンバーが87人から90人に増えたことに賛辞を送った。日本チベット国会議員連盟は世界最大のチベット支援議員連盟だ。日本チベット国会議員連盟に所属する国会議員の政党の内訳は、自由民主党が49人、日本維新の会が7人、希望の党が7人、無所属が1人、立憲民主党が1人、日本のこころが1人となっている。

国会に到着したセンゲ主席大臣は、下村博文日本チベット国会議員連盟会長ら執行部から温かい出迎えを受けた。下村会長は自民党議員で、元文部科学大臣である。

センゲ主席大臣が講堂に入ると、集った議員がスタンディングオベーションでセンゲ主席大臣を出迎えた。室内には、日本国旗とチベット旗が掲げられていた。

開会の辞で、日本チベット国会議員連盟事務局長の長尾たかし氏(自由民主党)は、チベット亡命政権ロブサン・センゲ主席大臣が日本の国会を訪問されることは名誉なことだと述べた。

長尾氏は、チベット問題を中道政策を通じて解決することを目指して、チベット人を支援し、チベット人の苦難を和らげるための具体的かつ意義ある方策の立案が必要だと述べた。

講演を行う下村博文日本チベット国会議員連盟会長。2018年2月20日、日本、東京

下村会長は次のように語った。
「チベット人は、数千年の歴史の中で育んできた行動規範である平和と非暴力を貫いています。世界が戦争と暴力的対立に直面する中、チベット仏教文化は世界の平和と非暴力に大いに貢献することができます。」

下村会長は、中道政策を通じてチベット問題を解決することを目指して日本チベット国会議員連盟の力を強めることが必要だと強調した。また、今後、チベットの状況に関心や懸念と抱く議員は増えていくだろうとも語った。

また、国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長は、チベット問題解決のための支援の必要性を強調した。
「チベットの文化と仏教は、世界の平和と非暴力の啓蒙に大きな貢献をすることができます。」

櫻井理事長は、日本がチベット人と仏教文化を共有しており、チベットを支援するための大きな可能性を持っていると語った。そして、チベットを支援することは、日本が平和と非暴力の原則を支持していくことにもつながる、とも述べた。

センゲ主席大臣は次のように語った。
「下村博文氏、櫻井よしこ氏のチベットに対する心温まるご支援に感謝します。下村博文氏におかれましては、日本チベット国会議員連盟の会長をつとめてくださっていることに感謝の意を表します。日本チベット国会議員連盟は世界最大のチベット支援議員連盟です。」

日本の国会を訪問したロブサン・センゲ主席大臣の話に耳を傾ける日本チベット国会議員連盟の議員。2018年2月20日、日本、東京

直近の選挙で安倍晋三首相が率いる自由民主党が勝利した後、日本チベット国会議員連盟のメンバーが87人から90人に増えたことをセンゲ主席大臣は祝福した。現在、メンバーのうち49人は自由民主党議員だ。

「日本チベット国会議員連盟は最大のチベット支援議員連盟であるだけでなく、メンバーの力も強くなっています。欧米を訪問した際、日本が世界最大のチベット支援議員連盟を持っていることをいつも誇りを持って語っています。」

センゲ主席大臣は、アメリカがチベット政策法案を可決し、ヨーロッパ議会もチベット人のアイデンティティの保存、そして、チベットの高度な自治を目指すダライ・ラマ法王特使と中国政府との対話を支持するための決議をしていると語った。チベットの高度な自治を目指す中道政策は、1つの中国政策と相反するものではない。センゲ主席大臣は、日本の国会議員に対し、チベット人の文化と教育の保存、中道政策を通じたチベット問題の解決のため、ダライ・ラマ法王特使と中国政府の対話を支持するための決議に向けて歩を進めていくことを求めた。

センゲ主席大臣は、悪化するチベットの状況、中国政府によるチベット仏教施設ラルン・ガルとヤチェン・ガルの破壊について、詳細に語った。

「中国がチベットを侵攻した際、世界は沈黙しました。今、中国は、チベットのみならず、南シナ海、東シナ海、尖閣諸島、ドクラム(訳注:インド、ブータン、中国が国境を接する地域)にも手を伸ばそうとしています。また、人権や正義の価値観を支持してきたスウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オーストラリアなどの国々は、ますます中国政府から圧力を受けるようになっています。このような状況を鑑みると、すべてはチベットから始まったと言うことができます。」

ロブサン・センゲ主席大臣と日本チベット国会議員連盟の執行部。2018年2月20日、日本、東京

「ですから、世界に他の選択肢はありません。中国を自由な民主国家とするか、みなさんの国が中国のようになるかのどちらかなのです。」

センゲ主席大臣は、中国政府が主導する一帯一路が、中国共産党が最初にチベットにやって来た時のやり方と似ていると語った。
「中国共産党は当初、チベットの平和と繁栄という名目で、チベットにやって来ました。中国共産党は1つの道をつくるとチベット人に約束しました。そして、その後、私たちは国を失いました。中国共産党は道路建設を行うために、チベット人に銀貨を支給しました。その後、中国政府は建設した道路を使って、トラック、銃、戦車を持ち込み、その結果、私たちは国を失ったのです。」

フリーダムハウスが発表する世界自由度指数では、チベットはシリアに次いで最低となっている。また、国境なき記者団の報告書では、ジャーナリストがチベットに立ち入るのは、北朝鮮に立ち入るのより難しいとされている。

センゲ主席大臣は、中国政府がどれだけセンゲ主席大臣に圧力をかけようとも、民主主義・人権を広めるため、再び来日すると語った。
「正義、民主主義、人権は日本が重きを置く価値観です。これらの価値観を保存していかなければなりません。」

下村博文会長に記念品を贈呈するロブサン・センゲ主席大臣。2018年2月20日、日本、東京

「チベットで起きたことが日本で起こらないことを願います。そのことを皆さんに伝えるために、私はまた日本にやって来ます。」

センゲ主席大臣は、チベット人が非暴力を通じて、正義、自由、民主主義、自然環境保護のために邁進していることから、チベットへの支持はこれらの価値観を支持することになると語った。
「チベットを支援するということは、非暴力を支持するということです。チベットを支援しないということは、世界の対立解決のための暴力的なアプローチを支持するということです。」

センゲ主席大臣の講演の後、馬場伸幸日本チベット国会議員連盟幹事長が閉会の辞を述べた。馬場氏は、チベットへの支援のための取り組みを広げていくことを議員に求めた。

また、自由民主党の松川るい議員は、中国政府が世界中の国々に圧力をかけているというセンゲ主席大臣の懸念に同調を示した。


(翻訳:亀田浩史)