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展覧会中止の要請にギャラリー側が反発

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2002年3月1日
ヨハネスブルグ(メール&ガーディアン)

中華人民共和国のダーバン総領事館は、今週から開催されたチベット写真展、「チベットの真実」に対して、検閲をかけようと試みた。

ユ領事の苦情は、地方政府に展覧会の中止を求めるなど、ギャラリーに対する公式な形をはるかに超えたものとなった。ナタル・ソサイエティー・オブ・アーツ(NSA)の会長であるジェーン・ドゥ・ランド女史は、地方の役人もまた、彼女に電話で展覧会の中止を要請したと語った。

メール&ガーディアンは、総領事館からクヮズル・ナタルMECの教育文化課のガブリエル・ダバンダバ氏に宛てた、「貴方の影響力の行使と、時機を見計らった有効的な判断をもって展覧会を中止せよ」と要請された無署名のファックスを入手した。

伝えられるところによると、領事館からのプレッシャーに屈服したダバンダバ氏は、スタッフのメンバーにギャラリーの担当者を訪問させ、展覧会が火曜日の夜に開催される前に中止するよう依頼させることで展覧会の中止を試みたということである。

しかし、NSAギャラリーの展覧会主催者達は、展覧会中止の要請を軽蔑し、彼らは「検閲されることはない」と述べた。「政府の行動は驚くべきものである」と、ギャラリー学芸員のストーム・ハンス・バン・レンスバーグ氏は述べている。

ドゥ・ランド女史は、彼女のスタジオにクヮズル・ナタルの教育文化課の芸術文化部局長であるエマニュエル・カンイル氏が訪れたと語った。「彼は中国領事館からのファックスを見せて、展覧会を中止するように要請した」

カンイル氏は問題についてコメントすると宣言し、ダバンダバ氏は報道陣の質問に対する答弁に失敗した。

展覧会が、中国政府を「敵意をもって中傷している」というユ領事からの激しい批判の真っ只中、展覧会は火曜日の夜に予定通り開始された。

「NSAは、南アフリカ憲法に定められた言論の自由の条項との一致という点からも、この展覧会を開催する権利がある」バン・レンスバーグ氏はこのように述べている。

ギャラリー側は文化的な興味により、その企画を受け入れたと語っている。「我々は、もしも我々が展覧会を中止するならば、それは検閲のためであると感じるだろう。これは、言論の自由の問題である」と、彼は言っている。

領事は、先週行われたバン・レンスバーグ氏との会見の中で、展覧会に対し、中国の公式見解を持ち出し、「チベットは中国領土の中で譲渡不可能な部分である」とし、正式な抗議に乗り出した。

領事のスポークスマンである王氏は、その展覧会は「真実を歪める」ものであると言い、さらに中華人民共和国と南アフリカの「友好的な関係の方向性を円滑に推進させるものではない」と述べている。

又、彼はドゥ・ランド女史に対し、「領事館はこの問題に目を光らせている」と警告した。

「我々は、政府とギャラリーが、お互いの関係のためになることを行って欲しいと願っている」今週の始め、王氏はメール&ガーディアンに対してこのように伝えた。

チベットは1960年初頭に中国政府が地域の神政政治を弾圧し、共産主義の管理下に置き換えて以来、中華人民共和国にとって悪名高い、神経質な要素となった。その自治と容認を求めて運動を進めているチベット人達は、現在では中華人民共和国の目にはテロリストと して映っている。

ユ領事はダバンダバ氏への要請の中で、チベット人達の指導者はダライ・ラマであり、「海外の反中国勢力は分裂活動を行っており、中国の平和と国家の統一性を妨害している」と述べている。

この展覧会を計画した南アフリカのチベット人協会は、これは政府にとって「デリケートな状況である」としながらも、彼らは展覧会を主催する権利のためにはどんな制約も持さないとしている。「これらの写真が真実かそうでないかは、観客が自分達で判断できることである」と、協会代表のレナト・パルミ氏は言っている。

展覧会の写真の中には、1959年のラサの蜂起−中国人との衝突の中で、何千人ものチベット人が死亡した−から、その地域の今日の状況まで、中国からひそかに持ち出されたものが含まれている。

「チベットの真実」展は3月10日、ダライ・ラマ法王が中国から亡命した43周年記念の日まで開催されている。