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地球に影響を及ぼすチベット高原の温度上昇

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(2007年2月2日 PTI)

(北京)中国の科学者達は、脆弱なチンハイ−チベット高原の温度上昇が氷河の溶解を速め、揚子江やブラフマプトラ川のような主要な河川を干上がらせ、干ばつや砂漠化を誘発するため、中国、さらには地球全体により多くの災害を引き起こす可能性があると警告した。

“世界の屋根”として知られるチンハイ−チベット高原の温度上昇は気候や環境の変化に波状効果をもたらすと、中国の研究者達は言う。
科学者達は、チンハイ−チベット高原から集めたデータを引用し、この地域の温度が1980年代から10年毎に最高0.42℃ずつ上昇したと述べた。

「私達は、この温度上昇を受けて、この変化が周辺地域、中国の他の地域、さらにはアジアや世界の気候にどう影響するのか?といった一連の疑問への答えを探し始めました」と、“チャイナ・デイリィ(中国日報)”は中国気象科学研究院の主席研究員、徐祥_氏の発言を引用した。

徐氏の警告が発せられたのは、約500人の科学者や当局者がパリに集結して「世界がいかに速く温暖化しているか」「地球の温暖化がいかに深刻であるか」「人間の責任がいかに甚大であるか」についての報告書を取りまとめた際であったと、公報は伝えている。

「何十年にわたる高原に関する調査を通して、高原上空の水蒸気や雲の変化や動きが、中国の他の地域、さらには世界にまで直接的または間接的に影響を与えることが判明した。」と徐氏は述べた。

例えば、中国の科学者は、ここ数十年間で最悪とされる1998年夏の洪水の原因となった雲クラスターを、衛星データの解析に基づいて追跡した。そして、その洪水が、同年7月の高原上空の雲の激しい動きに端を発するものであることを突き止めた。

研究者達は灼熱の気候は、高原の温度にも原因の一端があるとしている。国立気象センターの報告によれば、2005年から06年かけての冬の温度は、例年より2℃から4℃高く、高原の雪積は例年に比べ最大10パーセント減少した。

徐氏は、高原の温度上昇によって引き起こされる最悪の事態の一つとして、山岳地帯に水源を持つ揚子江や黄河、ブラマプトラ川や他の河川に流れ込む水量が劇的に変化することを挙げ、チンハイ−チベット地域の気象データは十分ではないと付け加えた。

中国と日本は、今後起こりうる気候災害を予測するため、高原とその周辺に次世代観測所を建設する4年間の気象調査プロジェクトを共同で進めている。

「中国は、日本以外に、米国、韓国などの国々とも高原の気候変化の理解を深めるために
活動してきました。」と、中国気象局の成都高原気象研究所長の李姨青氏は言う。

チャイナ・エアロ・ジオフィジカル・サーベイ・アンド・リモート・センシング・センター・フォー・ランド・アンド・リソーシィズ(China Aero Geophysical Survey and Remote Sensing Centre for Land and Resources−中国国土_源航空物探遥感中心)の研究者たちは、すでに高原の氷河が過去30年間で年平均131.4平方キロメーターずつ溶けていることを発見している。