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国連人権高等弁務官「中国の新安全保障法は曖昧すぎる」

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2015年7月8日
ジュネーブ(2015年7月7日)

 

ゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権高等弁務官は火曜日、中国が7月1日より施行する新しい国家安全保障法の人権に関する項目について深い懸念を表明した。

新しい保障法は環境、防衛、金融、情報テクノロジー、文化、イデオロギー、教育、宗教など広範囲を包括する内容である。また同時に国家の安全保障については非常に広く定義され、政府や主権、統一、領土の保全、人民の福祉、経済ならびに社会の持続可能な発展その他、主要な事項が比較的安全に保持され、国内外からの脅威を受けない状態、とされている。

これについて、ゼイド高等弁務官は次のように述べた。「この法律は、非常に包括的であると同時に、文言や定義が曖昧であるため、中国国民の人権や自由をさらに制限でき、国家当局による人民社会に対して現状より厳しい縛りを課すことが可能になる」

国家安全保障法は、個人が自身の言動に対してどのような処罰が課せられるか明確に規定されている必要があり、また同時に国家当局による任意的または差別的な権限施行から個人を保護するものでなければならない。ゼイド高等弁務官は、「安全保障法は国家の安全に対する脅威とはどういったものか明確に、より具体的に定義し、そうした脅威に対して常識的に適用する適切な対応策を規定すべきである」と述べた。

非公式の翻訳によるものから例を挙げると、この保障法の条項は、当局への安全保障への脅威に対する防衛や対処の目的で市民の動員を想定しているが、国家の安全に脅威となるとされる言動がどういったものかは定義されておらず、包括的な判断の余地があるため、法律が濫用される恐れがある。

またこの法律には、個人や組織は国家の安全に脅威を与える言動を行ってはならない、国家の安全に脅威を与える個人や組織を支持または支援してはならない、とあるが、正確にはその範囲が特定されていない。

ゼイド高等弁務官は、新しい安全保障法が、憲法、法の支配、人権の尊重や保護について特に言及していることについては歓迎したが、独立した監視機関が存在していないことを懸念していると述べた。

「国家にはその統治下にある者を保護する義務がある。だが同時にその人権の尊重を保証する義務もある。表現の自由、平和的集会の自由の権利を規制するのではれば、それは合法的な目的にかない、必要性があり、妥当性がある必要があり、執行機関を監視する独立機関が存在すべきである」

ゼイド高等弁務官はさらに、中国の全国人民代表大会は近い将来、中国で活動する諸外国のNGOを規制する法律や、テロ対策に関する法律の制定も検討するだろうと述べた。

「国家安全保障対策を、表現の自由、平和的集会の権利の規制や、人権擁護者や批判の声を鎮めるために利用する政府が世界中で増えている。安全保障や人権は相反するものではない。ふたつ相補的であり、相互作用があるのだ。人権を尊重し、国民の公的な集会への参加を尊重することが、法治国家や国家安全保障の成功のカギである」


(翻訳:植林秀美)