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国連、拘束下のキルティ僧院僧侶300人の消息を明らかにするよう中国に要請

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(2011年6月9日)

国連人権委員会は、強制的失踪が報告されているチベット人僧侶たちの安否を強く懸念。
ジュネーブ:国連人権理事会の強制的失踪に関する作業部会(The United Nations Working Group on Enforced or Involuntary Disappearances)は水曜日、強制的失踪が報告されているチベット人僧侶たちの安否について深い懸念を表明し、中国当局に対し、消息不明中のキルティ僧院の僧侶をはじめ、中国で強制的失踪中の全員の所在を明らかにするよう求めた。

四川省ンガバ(Ngaba)郡のキルティ僧院では、2011年4月21日に300人以上の僧侶が拘束され、10台のトラックで連行されたまま行方がわからなくなっている。僧侶を拘束したのは、武装警察、公安、人民解放軍と伝えられている。

これについて国連の強制失踪作業部会は次のように訴えた。
「われわれは中国当局に対し、失踪に関するあらゆる情報を提供するよう求めている。

中国当局に対し、今回の強制的失踪の全容を明らかにすべく調査を行ない、関与した人物の責任を追及し、裁判を受けさせて罪の重さに応じた罰を受けさせるよう呼びかけている。

強制的失踪のような悪しき行為はいかなる地域においてもあってはならず、強制的失踪を正当化できる例外などひとつもない。

行方不明者の消息については速やかに親族に伝えられるべきであり、強制的失踪を被った本人には完全な賠償がなされるべきである」と訴えた。

さらに強制失踪作業部会は、「中国には、人権という最も厳しい基準を甘んじて受け入れる義務があるのであり、国連の特別処置ならびに作業部会に協力的に応じるべきである」と繰り返した。

強制失踪作業部会はまた、中国に対し、「公民権と政治権利国際公約(International Covenant on Civil and Political Rights)」を批准するという約束通りに「強制失踪防止条約(International Convention for the Protection of all Persons from Enforced Disappearance)」を批准し、この条約に述べられているように強制失踪作業部会の権限を受け入れ、失踪者の家族の代表者として作業部会が折衝を行なうものとみなすよう求めた。

強制失踪作業部会は、世界各国の専門家5人で構成されている。部会長は南アフリカ人のジェレミー・サルキン(Jeremy Sarkin)氏で、メンバーはアルゼンチンのアリエル・ドゥリツキー(Ariel Dulitzky)氏、ボスニア・ヘルツェゴビナのジャスミンカ・ズムル(Jasminka Dzumhur)女史、レバノンのオスマン・エルハジ(Osman El-Hajje´)氏、フランスのオリビエ・フロウヴィル(Olivier de Frouville)氏。

強制失踪作業部会は1980年に国際連合人権委員会(United Nations Commission on Human Rights)が設立。身内が強制的失踪者となり、その行方を捜している人たちを支援するための機関として設立された。法の保護の外に置かれている失踪者の所在を明らかにするという目的の下、失踪者の家族と該当政府の橋渡しとなるよう、また、該当政府が事件の調査を確実に行なうよう尽力している。

強制失踪作業部会の人道的権限から考えるなら、行方不明者の消息が明らかになれば事件の全容も明らかになる。

強制失踪作業部会は、強制的失踪の解明に向けて懸命に取り組み続ける。また同時に、「強制的失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(the United Nations Declaration on the Protection of All Persons from Enforced Disappearance)」が履行されるよう支援していく。


(翻訳:小池美和)