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北京に釘をさす:人権と軍事統制は重要な問題

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2001年10月22日
ロンドン インターナショナル・ヘラルド・トリビューン

上海でのジョージ・W・ブッシュ米大統領はその姿勢を決して崩すことがなかった。彼は江沢民中国国家主席に対し、対テロリスト戦への支持に謝辞を表し、コリン・パウエル同様、現在の中国と米国は友好関係にあると述べた。しかし、ブッシュ氏とパウエル国務長官の両人は、北京の行動を無条件に認めているわけではないと明言した。

「テロリズムへの戦いを支持したからといって、少数民族を圧迫してもいいということにはならない」ブッシュ氏は言う。「特に、大量破壊をもたらし、ミサイル技術を利用した武器の蔓延はなんとしてでも阻止する必要がある」

その歯に衣を着せぬ語り口で、ブッシュ氏は中国の体制における根本的な誤りを2点−国内では人権を侵害し、国外ではテロリスト国家へ武器を供給する中国を−攻撃した。

中国はいかなる意味においても、アメリカとの強力な軍事同盟関係にはない。実際のところ、両国にはかろうじて結びつきがあるにすぎない。今回、ブッシュ氏が中国に要求したのは、アフガニスタンに根を張るタリバンのネットワークとタリバン自体を攻撃することへの承認だった。中国が沈黙することも等しく重要だった。他の独立国に侵入することに対して、今度ばかりは口を挟まないよう中国を説得する必要があった。だから、上海でのブッシュ大統領が、対テロリスト戦への支持について江主席に謝意を表明したのは当然のことであった。彼が謝意を述べたのは、中国が「テロリスト」と「分離主義者」への支援を要求しているのを知ってのことだ。これは、北西にある新疆ウイグルのイスラム教徒のことと、おそらくはチベットのことを指していたに違いない。

中国は、アメリカがこれ以上、数々の人権侵害を批判することをやめ、あわよくば、中国の武器取引についても目をつぶってくれることを期待した。中国には、世界的と言わないまでも地域的な情勢不安を引き起こしかねない巨大さと潜在性がある。そのため、他国となら公に対決することでも、北京の場合はとにかく舞台裏で対峙しなければならない、という路線を支持するアメリカ人が存在する。これは恥ずべきことであり、得策ではない。中国の情勢不安はその支配層が原因となって引き起こされているのである。国内では、北京は長きに亘って国民の多くに「恐怖政治」を行ってきた。ここではあえて「恐怖政治」という言葉を使う。国民を脅かして服従させるために、選択的に暴力を行使してきたからだ。

中国ではいかなる形であっても組織化した反対運動を行うことは許されていない。ただし、最高指導者や支配党である共産党が対象でなければ、個人またはある種の公による批判は認められている。だが、共産党の様々な「愛国的」機関のもとで活動することを拒んだ宗教集団の場合、カトリック教徒、プロテスタント、仏教徒、イスラム教徒に関係なく、法輪功のように犯罪者扱いされる。こうした政策は中国に存在する数百万人の信者に影響を与え、多くの聖職者、僧侶、イマーム(イスラム教の導師)が投獄されている。

中国民主党の指導者の全員が獄中につながれており、その他大きな影響力を持つ反体制の人々は、ダライ・ラマを含め、亡命生活を送っている。特に新疆では、800万人のウイグル族の大多数は穏健なイスラム教徒で、真の自治を望んでいる。テロリストはごく少数で、伝え聞くところによるとアフガニスタンとチェチェンで訓練を受けている。北京はこのような戦闘的な者たちの存在を理由に、新疆における宗教儀式をほぼ完全に禁じている。

ハワイ大学のウイグル民族の専門家、ドリュ・グラドニーによると、北京は「アメリカ人がいかに西部に定住し、インディアンを虐殺していったかを研究している−中国人はアメリカ人と同じ過ちをあえて犯そうとしている」。中国は海外で、軍事的技術と武器、時には核を、何年間もシリア、イラク、イラン、リビア、パキスタンに供給してきた。ワシントンは、命取りとなる国際テロリズムの支援をやめるよう繰り返し北京に警告してきたが、中国はそのたびに、テロリズムを支援していることを否定するか、あるいはそのような支援を中止すると偽ってきた。

中国は国際システムとの絡み合いを増しながら、2008年のオリンピック開催国となり、まもなく世界観光機関に加入する。また、人権と軍事統制に関する国際協定に自ら参画したが、その一部に関しては、ワシントンはいまだに中国の参画を認めていない。

中国が策略とモラル面について、万里の長城の裏でいかに画策しようとも、すべてお見通しなのだとブッシュ氏はしっかり釘をさすことができた。