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偉大なるダライ・ラマ14世法王の80歳の誕生日におけるカシャック(内閣)の声明

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2015年7月6日

 

偉大なるダライ・ラマ14世法王の80歳の誕生日というこの喜ばしき日に、内閣ならびにチベット内外のチベット人を代表し、ダライ・ラマ法王に深い敬意を捧げます。われわれチベット人は、法王のご長寿を祈念するとともに、法王への揺るぎない忠義と帰依の念をここにあらためて表明いたします。チベット内外のチベット人、そしてダライ・ラマ法王の平和と非暴力のメッセージに共鳴する世界中の人々が、この特別な日を大いなる喜びとともに迎えています。

この特別な日に、ダライ・ラマ法王の今は亡き父君チョキョン・ツェリン様と母君デキ・ツェリン様に対し、ラモ・ドンドゥプという尊き御子息をわれわれに授けてくださったことへの深い感謝の念を捧げます。

ダライ・ラマ法王は、1935年7月6日、チベット北東部アムド地方のタクツェル村の農家にお生まれになりました。5歳でダライ・ラマ14世法王として即位され、11年後、わずか16歳でチベットの宗教と政治両面の最高指導者として全権を引き継がれました。チベットが中華人民共和国による不法な侵略に見舞われるという惨事の中で、法王は少年らしい生活とは無縁の少年時代を送られました。チベット人のアイデンティティー、宗教、言語、文化の存続が、そしてチベットの未来のすべてが、若き法王の双肩にかかっていたのです。法王は、中国人とチベット人が平和的に共存できるよう万策を尽くされましたが、24歳の時にその望みが断たれ、余儀なくインドに亡命されました。

ダライ・ラマ14世法王は、歴代のダライ・ラマ法王の中でも類まれな指導者としてチベット人から尊ばれています。チベットが歴史に葬り去られずにいられるのは、ひとえに法王のご献身のおかげです。亡命生活でのさまざまな困難を解決するために法王が第一に取り組まれたのは、チベット人学校を設立し、未来を担う世代が現代教育と伝統教育の両方を学べる体制を築くことでした。このような教育体制の下で、多くの亡命チベット人がチベット人としてのアイデンティティーを育み、現在では、亡命社会で生まれ育った新世代がチベット人コミュニティや中央チベット政権のリーダーとしての役割を果たしています。

またダライ・ラマ14世法王は、チベット人独自の宗教文化を守り伝えていくという目的の下でニンマ派、カギュー派、サキャ派、ゲルク派というチベット仏教の四大宗派とボン教の僧院を亡命地に再建されました。以来、異なる宗派が互いを尊重しながら調和を育んできました。同時に法王は、チベット人難民が小さなコミュニティの中で安定した生活を送れるようにチベット人居住区を設立されました。また、偉大なるダライ・ラマ5世が設立された歴代のダライ・ラマが宗教と政治両面の最高指導者としての役割を継承するという自然継承型政体の改革に取り組まれ、政治的指導者として全チベット人をひとつにまとめる代表者を選挙で選ぶ真の民主政体を亡命政権に確立されたことは、ダライ・ラマ14世法王のきわめて重要な功績です。法王は、政治および宗教両面の最高指導者としてわれわれチベット人を56年間にわたって賢明かつ巧みに導いてくださいました。その不断のご献身に対し、われわれチベット人はどれほど感謝を尽くしても足りません。

ヒマラヤ全域に関して述べるなら、ダライ・ラマ法王は、ヒマラヤ地域の民が共有する宗教文化の伝統に新たな自信と誇りをもたらしてくださいました。さらに広く世界に目を向けるならば、世界中の数百万の仏教徒が法王を慈悲深き観音菩薩の化身として尊び、非仏教徒もまた、法王を全人類の希望の光の象徴として仰いでいます。

とりわけチベット人にとっては、ダライ・ラマ法王はチベットならびにチベット人の「いのち」です。ドルギャル教団(シュクデン)による根拠のない非難にもかかわらず、法王のご指導の下、われわれチベット人はかつてないほどの宗教的調和と協調を育んできました。これほどの調和と協調は、千年以上前にチベットに仏法を確立された偉大なる三人の仏教王の御治世以来なかったことです。

ダライ・ラマ法王は、心のよき本質を高めること、異なる宗教間の調和を高めること、チベットの仏教文化を保護・促進することの三つをご自身の使命とされ、これらの使命を果たすために不断の努力を重ねておられます。そのご献身ゆえに、世界中の人々が法王を称賛し、敬愛しています。ダライ・ラマ法王は、これまで6大陸67カ国を訪問されました。そしてノーベル平和賞や国連地球賞、米国議会名誉黄金勲章、テンプルトン賞をはじめとする150以上の章を受章されました。国籍や人種、宗教の違いを越えて、じつに世界中の人々がダライ・ラマ法王のことを平和と正義の象徴として敬愛しています。

ダライ・ラマ法王の道徳的名声が世界中で高まるにつれて、世界中の方々がチベット問題を理解し、支援してくださるようになりました。

チベット本土のチベット人は、希望と勇気を持ち続けています。チベットを愛し、その足で力強く立ち、ダライ・ラマ法王に最上の敬意と信頼を捧げています。ダライ・ラマ法王のチベット帰還とチベットの自由を求めて焼身抗議を行なったチベット人は140人に上ります。われわれの頼みの綱は、中国指導部が、中国とチベットの双方にとって有益な解決策である中道のアプローチを早急に受け入れ、チベット問題を解決できる唯一の方法であるダライ・ラマ法王の特使との対話を継続することです。

第14期内閣がこれまで責任を果たすことができたのは、ダライ・ラマ法王の恩恵とチベット内外のチベット人の支援のおかげです。内閣は、2014年を「偉大なるダライ・ラマ14世法王の年」とし、さまざまなイベントを行ないました。ご協力、ご参加いただいた皆様に謝意を申し上げます。2014年中には、インドや欧州、米国においてチベット人が主催するさまざまな機関をはじめ、世界中のボランティア団体がダライ・ラマ法王への深い感謝の念を表明する活動を立ち上げました。また去る6月21日には、アムド・チベット人会ならびにゲルク国際財団と協力して、チベット暦の法王の誕生日にダラムサラで祝賀式典を開催することができました。これは中央チベット政権にとって大きな喜びです。

チベット本土のチベット人は、さまざまな規制があるにもかかわらず、祈願や読誦、生きものの命を救うなどして、ダライ・ラマ法王の80歳の誕生日を熱い気持ちを込めて祝しています。このような行ないはよきカルマ(業)として蓄積され、やがてチベット内外のチベット人がともに暮らす助けとなるはずです。

内閣は全チベット人の皆さんに、ダライ・ラマ法王の願いに矛盾しない行動に努め、チベット人が伝統として育んできた内面的価値を絶えず守り、高め、これに基づいた行動に努めるよう強くお願いします。

また内閣は、この特別な日を迎えた機会に、インドの中央政府ならびに州政府、長年にわたり絶えずチベットの大義を支援してくださっている世界中の平和を愛する皆様に感謝の念を捧げます。

最後となりましたが、われわれはこれからも絶えずダライ・ラマ法王のご長寿をお祈りいたします。

ダライ・ラマ法王のすべての願いが実現しますように。そして、非暴力というチベットの大義の道が花開きますように。

 

2015年7月6日

チベット亡命政権内閣
主席大臣 ロブサン・センゲ


(翻訳:小池美和)