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亡命政権予備選挙の妨害に関して、ネパールを非難

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(2010年10月4日 ダラムサラ(テンジン・ツェリン Tenzin Tsering))

世界中のチベット難民と複数の活動グループが、ネパール政府を強く非難した。ネパール警察が、10月3日(日)のチベット予備選挙を妨害したためで、これはネパールの中国に対する「服従の極み」であると見られている。

次期首相と亡命議会の予備選挙の為、カトマンズの3か所の投票所に、ネパール在住のチベット人数百名が集まる中、暴動鎮圧用の完全装備のネパール警官隊が現れた。警官隊は、投票が完了する1時間前に、投票箱を持ち去った。

チベットの青年活動グループである「スチューデント・フォー・チベット」(SFT)と、ニューヨークとニュージャーシー地域の「チベタン・ユースコングレス」(TYC)は、「我々の投票箱を返せ!」と題する抗議活動を、10月4日(月)にニューヨークのネパール領事館前で行う予定である。

「我々は、ネパール在住のチベット人に対するあからさまな人権侵害行為の中止と、平和的な集会を行うチベット人の基本的な権利と投票権を尊重するようネパール政府に強く要望する。また、我々は国連を含む国際社会に対し、この事件への即時介入を求める」と、チベタン・ユースコングレス(TYC)の代表であるツワング・リグジン(Tsewang Rigzin)氏は語った。TYCは、中国からの完全独立を求める最大規模のチベットNGOである。

約2万人のチベットが在住するネパールは、2008年以降チベット難民に対するスタンスを硬化させている。これは、中国との関係強化の傾向が一因と見られている。

「ネパールの人々は、彼らの指導者達が、昨日、白昼堂々とカトマンズのチベット人から投票箱を奪うという犯罪行為をおこなったことにショックを受けているだろう。」と、詩人で、チベット独立運動家であるテンジン・ツンヅエ氏(Tenzin Tsundue)は語った。また、この行動はショッキングであり、非難されるべき行為であるともコメントした。「ネパールは、この“犯罪行為”の報いから逃れることができない。我々は投票箱の返還を求める。また、ネパールは、数世紀に渡るチベットとの信頼関係を忘れず、また、その関係が中国からの硬軟あわせた圧力により奪われるものではないことを認識すべきである。ネパールは、自由と民主主義が、国内と国外から試されている今こそ、その強さを維持すべき。」とつけ加えた。

チベット亡命政権の選挙管理委員長であるジャンペル・チョサン氏(Jamphel Choesang,)によれば、在ネパールのチベット亡命政権代表部の責任者である
テンレィ・ギャッオ氏(Thinley Gyatso)は、選挙プロセスに関して、事前に地区当局への正式な通知を行い、許可を得ていたという。

チョサン氏によれば、この事実にも関わらず、ネパール警察は、内務省の指示により、少なくとも2か所の投票所(ボダナートとスワヤンブナート)に現れ、投票箱を没収したという。

「我々は自由に政治的な指導者を選ぶチベット人の民主的な権利を踏みにじるネパール政府の悪質な弾圧行為を非難する。ネパール在住のチベット人は、過去数10年に渡り、妨害されることなく、チベット亡命政権の民主的プロセスに参加したきた。そして、今後も同じことが許されるべきである」と、SFTのディレクターであるテンジン・ドルジェ氏(Tenzin Dorjee)が、プレス向け声明で表明した。

ネパール在住のチベット人は、ネパール警察による、チベットに敵対する行動に対し、ショックと無力感を感じている。

「我々は皆ショック状態で、何もすることができませんでした。私が投票しようとしたボーダの投票所に、銃と警棒で武装したネパール警察が現れた時、まるで戦場にいるように感じました。警官が投票箱を没収するのを止めさせようとしたチベット人男性が、逮捕を逃れるために壁によじ登るのを見ました。」とボーダ在住のテンジン・ナムギョル氏は語った。彼女は投票することができなかった。

「ワン・チャイナ」政策を進める中国政府を常に支持するネパール政府は、今年7月にチベットのリーダーであるダライラマ法王の誕生日を祝うことを禁止した。また、その1か月前、ネパールに入国したばかりのチベット人難民3名を、強制的に中国政府に引き渡した。

最近、中国政府は、ネパール内務省に対し、ネパール国内での「反中国活動」を抑制することを目的に、警察装備拡充費用として、毎年147万ドル(約1億2千万円)の資金援助を行うことを発表した。


(翻訳:川崎正和)