ニュース

ニュース

最新ニュース

これから開催するイベント

予定されている「ミス・チベット」が論争を巻き起こす

Print Friendly, PDF & Email

2002年5月3日 ワシントン(ラジオ・フリー・アジア)

チベット亡命者のあるグループは今年、「ミス・チベット」美人コンテストを開催して、チベット問題に対する注目を集めたいと願っている。しかし、中国の支配するはるか彼方の地域に目を向けてもらうには、これはお粗末なやり方だと批判する声もあると、ラジオ・フリー・アジア(RFA)は伝えている。

「我々は別の方向から、チベット問題にアプローチするべきだ」インド北部のダラムサラ市に拠点を置くフリージャーナリストで、コンテストを開催しようと活動しているロプサン・ワンギャルがRFAのチベット部局へ言う。「不定期に開催する集会とデモだけが我々の問題を前進させるための手段ではないと、いつも思ってきた」

「もしチベットの女の子が一人、「ミス・ワールド」コンテストにエントリーすれば、それがどれだけ問題の解決に貢献するか想像がつくだろう。十億の人々がそれを見る…。世界中の人にチベットのことを知ってもらう一つの方法だ」

ダラムサラに拠点を持つ6人のチベット人チームは「シャンバラ・ミス・チベット」コンテストを2002年10月12日に開催する予定であり、9人の若い女性が応募済みだと、ワンギャルは言う。全員が国外移住者だが、彼は変化が起こることを期待している。

シャンバラはチベット仏教伝承集の中の伝説の王国である。「我々は、チベット国内からの参加者を集めようと努力している。中国はコンテストに反対するだろう。彼らが来れば、かなりの摩擦が起こる。だけど、彼らにも関与してもらうよう頼んでみたいと思っている。実現すれば、このイベントは本当に意義深いものになるし、彼らにかかる費用はこちらですべて持つつもりだ」

チベット仏教は内面的な美に重きをおいているが、外見の美は、チベット国内の590万人のチベット人と、故国から逃れた14万人のチベット人を代表する若いチベット人女性を選ぶ上で重要になるだろう。ワンギャルによれば、18歳〜26歳のチベット人の未婚女性で、身長約165cmの人がエントリーできる。

優勝者、2位、3位の人は奨学金5000米ドルの賞金を分配する。3位内に入賞しなかった人たちは、シャンバラ・ミス・タレント、シャンバラ・ミス・パーソナリティ、シャンバラ・ミス・ビューティスマイル、シャンバラ・ミス・ビューティフルスキン、シャンバラ・ミス・ビューティフルヘア、シャンバラ・ミス・フォトジェニックなど複数のタイトルを競い合うことができる。

4月の終わり、コンテストのWebマスター、テンジン・ナムギャルはホームページ(www.misstibet.com)を開設した。Webサイトには、コンテストの主な目標として、「中国占領下のチベットで暮らすチベット人の窮状に国際的に注目してもらう」ことが挙げられている。そのモットーは「世界の屋根の賢明な女性たち」である。

ただし、チベット人全員がこのアイディアに感心しているわけではない。

RFAのチベット語電話インタビュープログラムに参加していた博士号取得希望者のロプサン・ラブギャルは、「ミス・チベット」コンテストを性差別主義的で効果がないと批判した。

「このコンテストが良い影響をもたらすとは思えない。女の子は全員美しくなければだめで、男の子は勇敢でなくてはならないという印象を与えるのは間違っている。これは家長制社会が作り上げた誤った考えだ」とラブギャルは言う。Tibetan Webサイト、(www.phayul.com)にメッセージを残しているインターネット利用者は、この問題について明確に意見がわかれている。

「「ミス・チベット」コンテストは必要ない。必要なのは自由のために戦う人たちだ」とある人は書いている。「くだらない『ミス・チベット』を誕生させるよりも、国のために役立つことにエネルギーを使いたい…。良識のあるチベット人女性は誰も参加しないだろう」

こう書いている人もいる。「美人コンテストを開くという考えは本当に素晴らしい…。そのような場は、これから出てくる新しい世代の洗練されたチベット人の女の子にとって完璧な機会を提供してくれる」

「ミス・ユニバース」コンテストも「ミス・ワールド」コンテストも現在のところ、中国から分離している省と見なされている台湾や、1951年に中国に併合されて以来厳しい支配下にあるチベットからはまだ一人も候補者が出ていない。

亡命中のチベットの精神的指導者、ダライ・ラマと、同じく亡命中のチベットの新首相サムドン・リンポチェはこの事について正式なコメントは発表していない。

ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、自分の国のメディアでは十分かつバランスの取れたレポートを定期的に得ることのできないアジア中のリスナーに向けて、ニュース、情報、文化プログラムを発信している。放送と電話インタビュープログラムを通じて、アジア中の人々に対して、世界と互いを結ぶ手段と声を提供して、彼らの間にある大きなギャップを埋めることを目標にしている。

1994年に国会で設立され、1996年に法人化されたRFAは現在、ビルマ語、広東語、クメール語、韓国語、ラオ語、標準中国語、呉語(中国語の一方言)、ベトナム語、チベット語、ウイグル語で放送されている。彼らは最高水準のジャーナリズムを信望としており、正確さ、バランス、公正さに従って内容を編集することを目指している。