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中国人民60年の苦しみ – チベット内閣主席大臣は語る

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(2009年10月1日)

チベット亡命政権内閣主席大臣、サムドン・リンポチェはアジアニュースに寄稿し、中国の経済ブームに対し批判的な見解を述べるとともに、中国共産党統治下で虐げられてきた多くの人々にとってこの60年間がいかなるものであったかを語った。

「中華人民共和国建国以来60年間、その社会体制のもとに多くの中国人民およびチベット人をはじめとする少数民族が苦しい生活を強いられてきた。私たちに対する抑圧が緩和される兆しはなく、この苦しみは永遠に続くようにも思われる。中国は建国60周年を迎えるが、苦しみの中にある者たちにとってこの記念日は決して喜ばしいものではない」と内閣主席大臣、サムドン・リンポチェはアジアニュースに宛てた書簡の中で語っている。

同じ記念日にチベットのラサや寺院には抗議運動防止のために大規模な厳戒態勢が敷かれている一方で、北京では中国政府が国の経済成長を大々的に祝っている。

それに対しリンポチェは次のように述べている。「中国の経済成長は中国共産党によってもたらされたものではない。それはどちらかといえば世界的な現象だ。この6年間ほどで南アジアのほとんどの国々が西欧諸国と同様に高度な経済成長を経験した。経済成長は中国共産党やその指導部がクリエイトしたものではない。それどころか中国政府統治下における経済発展には労働者からの搾取をはじめさまざまな弊害がある。」

中国の経済発展に伴う弊害についてリンポチェは三点を挙げている。

「第一に、中国の経済成長は、多くの人民が低賃金や賃金の未払いに苦しめられる状況を生み出した。低コストで生産が実現可能なのは、労働に見合わない低賃金で人々を雇っているからだ。彼らの多くが強制収容所さながらの非人間的待遇の中で働かされている。」

「第二に中国が富国のために、チベット地域を中心に膨大な量の天然資源や鉱物資源を見境なく採掘してきたことが挙げられる。金、銀、鉄、銅、アルミニウム、石灰、原油、木材そして最高質のウランといったチベットの天然資源はチベット内の中国当局により奪われ続けている。」

「第三に中国の経済成長が非常に偏ったものだという点。その結果、所得格差は大幅に拡大することになった。経済成長が反映されているのは選ばれたほんの一部の場所に過ぎず、地方を含め多くの地域が今もなお低開発あるいは未開発の状態で、そこに住む多くの人々が赤貧の生活を強いられている。」

「もちろん中国は軍事力という分野では飛躍的進歩を遂げた。それに関しては共産党指導部によるところが大きいと言えるのかもしれない。しかしその他のあらゆる領域 – 宗教の自由、人権、文化、市民/個人の自由と権利、環境といったあらゆる面において状況は悪化している。その悪化の勢いは憂慮すべきものであり、責任は全て政府にある。」

「しかし10月1日のこの記念日に、私たちは感情に流されて自分を見失ってはならない。未来に向かって希望を持とう。一国にとっての60年は大した時間ではない。このような社会体制がいつまで生き延びていけるものか、中国指導部がその抑圧的支配をいつまで続けていけるのか、辛抱強く見守ろうではないか。そして近い将来、希望につながる変化がもたらされることを願おう。」


(翻訳:中村高子)