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中国への抗議を恐れるアナーキスト

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2001年9月9日
北京 ザ・デイリーテレグラフ

イギリスのアナーキスト(無政府主義者)–(シアトルからゴーテンバーグおよびジェノアにまで及ぶ抗議行動のプロ)—は、中国で来月行われる経済サミットでの抗議行動を拒否している。射殺もしくは投獄されることを恐れているためだ。

過去2年の世界中の経済サミットを大混乱に陥れたこの反グローバル化組織は、10月上海で開催される、ジョージ・ブッシュ米大統領および他のリーダーが参加するアジア太平洋経済協力フォーラムでの抗議行動を見送ることを決定した。

テレグラフ紙によると、ある英国アナーキスト(無政府主義者)の(インターネット)ホームページでは、上海に行かないよう呼びかけているという。「中国政府は、民主主義抗議者を射殺してきた過去がある。あらゆるデモ行動は危険」と警告しているという。

警察を狙う、英国のあるアナーキストはこう語る。〔このアナーキストは過去に、穏健派「Reclaim the Streets」グループおよび、より急進的なグループ「Wombles」(白い保護用オーバーオールを着用するためこう呼ばれている)によってデモに参加したことがある〕「我々は現実的になる必要がある。デモ参加者として中国に公然と入ることは不可能だろう。たとえ入国したとしても、何年も投獄されたり射殺されるリスクに直面することになる」

10月6〜9日にブリスベン(オーストラリア)で行われる連邦政府首脳会議のものものしいデモ対策と、10月17〜20日の上海当局の暴力対策の軽さを比較して、オーストラリア治安当局は無政府主義者グループの偽善を指摘する。

親チベット派グループのように、明確に中国への抗議理由を持ち、対中国抗議行動に経験を積んだグループでさえ、共産主義国家の餌食になることを敬遠している。

ロンドンを拠点にするチベット・インフォメーション・ネットワークのアリソン・レイノルズは、次のように述べた。「私は、人々が中国で抗議行動を起こした場合に起こり得ることを想像するだけで怖気づいてしまっていると思う。その気持ちは十分理解できるが」

レノルズ女史は、舞台裏でのロビー活動によって、ブッシュ大統領に働きかけ、投獄された62歳の僧 チャデル・リンポチェの釈放を実現できないかと期待している。

ブッシュ氏は、来月、就任以来はじめて中国を訪問する。アジアとアメリカの大統領および首相が、1年に一度、一堂に会するApecフォーラムに出席するためだ。大混乱が予想されるブリスベンでの連邦政府首脳会議からは一線を画し、オーストラリアのジョン・ハワードやニュージーランドのヘレン・クラーク、そして他のゲストもぞくぞくと上海に到着する。

ブリスベンでは、1600人もの警官を配置する。警察はブラックホーク・ヘリコプターに護衛され、2万5千人規模のデモに対応する構えだ。このデモの目的は、10月6日に女王によって開会宣言が行われるサミットを中断させることにある。

マレーシアの首相であり、長年にわたる西側の自由民主主義の批判者として知られているマハティール・ムハマド氏は、オーストラリア警察が群集に不必要な暴力をふるうことを声を大にして警告してきた。

彼は、デモ弾圧の可能性があるため、ブリズベンへ行くことを拒否している。しかし、彼はApecの集りには参加する予定だ。「(オーストラリア警察は)デモに参加する人々すべてに無差別に暴力をふるうだろう。オーストラリアの連邦政府首脳会議をみてみればそれがはっきりすると思う」とマハティール博士は言う。「必ずデモがあるだろうし、暴力と警察の残虐行為が行われるだろう」

アナーキスト(無政府主義者)の専門家は、彼らが間違ったサミットをターゲットにしていると語る。上海フォーラムは、アメリカ、中国および環太平洋の産業経済圏国家が一堂に会する。しかしブリスベンに集まる国家は、グローバル経済で勢力を伸ばすことができない後進国ばかりだ。

上海へ向かうアナーキスト(無政府主義者)が対峙する別の問題は、地元住民からの同情をほとんど期待できないということだ。上海の住民は、上海が西洋に開かれて以来、失業と汚職に苦しんできたとはいうものの、反グローバル化への抗議は歓迎しないだろう。

上海は、中国の資本主義普及の記念碑的存在だ。200年前の上海はひなびた地域だった。英国とアメリカのビジネスマンが定住し始め、20世紀初頭、上海は、何百もの高層ビルを誇る東洋一の都市へと変化したのだ。

40年にわたる共産党の孤立主義の後、上海は、1990年代に再び世界に開かれた。それ以来、国際資本の力は、上海を中国でもっとも見事な都市に変えた。

暴徒による襲撃の脅威はないものの、地元警察は、サミット開催地付近に厳しい警戒線をはりめぐらせ、周囲を威圧するつもりらしい。