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中国 チベットのウェブサイト訪問者を挑発

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2001年1月15日
ザ・ガーディアン

中国は、チベットに関する英語のウェブサイトを公開することで、中国にとって不都合な海外の世評に対して反撃を強めた。220メガバイトのこのサイトでは、地域・文化・観光・商業に関する情報が提供されているが、このほかに、「チベットが中国の一部であることに賛同する」項目がある。このため、チベット仏教僧らは、このサイトが亡命者であるチベット仏教の精神的指導者ダライ・ラマとは関係がないことを明らかにした。しかし、(中国の言う)「愛国心の強いラマ僧」の1人であるニマ・セリンは、「ダライ・ラマは、中国の政策を全て甘受しようと努めており、江沢民主席の思想も認めている」と述べた。

「民間運営」のサイトであるとのことだが、人間味あふれる表現を使ってはいるものの、北京当局の思想を忠実に追随している。今週のオープニングメニューは、次の文章ではじまっている。

「15人のチベット人少女達にとって、1月1日は忘れがたい日となるだろう。スチュワーデスとなって空を飛ぶという長年暖めてきた夢が実現できた日なのだから」

彼女達が歓迎されている理由は、要するに、40年以上も前からラサに飛んでいる中華航空の初めてのチベット人客室乗務員となったからである。同様に、インターネットの世界にチベットが参加したということも歓迎されている。例えば、「ラサの通りを散歩すると…」という文章で始まる別の項目では、以下のように続く。

「インターネットバーが多く目につく。つまり、いち早く情報を得ることができ、いち早く外部と接触しているのは、ネットファンだ」

「中国チベット情報センター」がこのサイトを運営しているのだが、不思議なことに、このサイト名 チベットインフォ・ドットコム”tibetinfor.com”は、ロンドン拠点の中国の政策にかなり批判的な団体「チベット情報ネットワーク」のサイト名 チベットインフォ・ドットネット”tibetinfo.net”とそっくりである。そのことについて、「チベット情報ネットワーク」の会長リチャード・オッペンハイマー氏は、こう述べた。

「とても光栄なことだ。彼ら(中国人)は、何を決定するにもとても慎重なのが常だが、このサイトにはこれまでにない斬新な内容が盛り込まれているのは確かだから」

中国のこのサイトに、「政治」の項目は載っていないものの、「観光」項目の中にあるラサ旅行代理店の広告に、意外にも、彼らの政治的見解が露見している。その旅行代理店の注意書きに、「当社の関与し得ない外部状況下での旅行代金の払い戻しはしない」と書かれている。関与し得ない外部状況とは、雪国に共通する「自然災害」だけでなく「政治的な混乱」も含むということである。

また、このサイトは、選び出した数人の「海外の友人」の発言を引用して、海外の評論家達の主張を反論している。例えば、インド人ジャーナリストのN・ラン氏が書いた長文の記事が転載されている。その記事は、昔のチベットの歌に彼が文章をあてはめた次のポエムから始まっている。

「空は碧く、太陽は金色に輝いている。ダライ・ラマはポタラ宮を離れ、西洋でやっかいをおこしている。それゆえチベットに平穏は訪れない」

これに対し、「チベット情報ネットワーク」のウェブサイトの見解はかなり異なる。

「ラサは腐敗と頑固な商業主義が共存しており、以前は宗教的な巡礼地として知られていたが、現在は売春が盛んで、住民はパソコンやワイドスクリーンのテレビを持っているかもしれないが、トイレや水場が必ずあるとはいえない」