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ラサの鉄道敷設 チベット人亡命者にとって最大の悪夢

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2001年1月15日
ザ・テレグラフ

(ニューデリー)中国は、極寒のチベット高原の未開墾地域に、世界で最も標高の高い鉄道を建設する予定である。これに対し、チベット人は、自国の文化や宗教の破壊がさらに進むことを懸念している。

これまで前人未到のチベット高原に鉄道を敷設するという計画が実現すれば、工学技術的にかなりの偉業となることは間違いない。というのは、ラサ高原へと続くぞっとするような下り勾配の路線を作る前に、氷に閉ざされた険しい崑崙山中からのトンネルを通して、標高4,860メートルの地点に線路を二つ建設する必要があるからである。中国人定住者と中国部隊が結果的にチベットの主権を握ると同時に、採鉱と樹木の伐採搬出がさらに進み、チベットの自然環境が壊滅されるとの考えから、チベット亡命政権とチベット活動家らは、以前からこの計画に抗議している。

’50年に東チベットを侵攻した直後から、中国は、高峰に囲まれた標高三千六百メートルのチベットの首都ラサに鉄道を敷設することを大望していた。

昨年九月、北京において、鉄道敷設に関する話し合いが行われたが、この会議に出席した鉄道省の事務官らは、青海省経由ルート建設で合意したと言われている。

「2010年迄に完了」予定のこの計画の主な目的は防衛戦略であることが、北京の記事によって明らかになった。青海日報によれば、中国政府は、国境線の守備を強化する意味で、鉄道敷設を「政治的最優先事項」に掲げており、とりわけ、インドが核実験を実施してからは強固なものとなった。そのほかに、チベット内の「ダライ・ラマ派」が引き起こす社会不安を鎮圧する手段の一つとしても挙げているとのことだ。

また、中国政府は、チベットの未開発地域の広大な天然資源を利用するのに熱心なため、人口過剰都市からのチベット移住を進めて、チベットを「母国中国に同化」させる勢いを強めている。ダラムサラにあるチベット亡命政権のスポークスマン、トゥプテン・ツァンペル氏は次のように述べた。

「この計画は、我々にとって、最大の悪夢といえる。中国人労働者の人口は劇的に増加し、鉄道を敷設することで、結果、チベット人にとっては何の利益をもたらすことなく、チベットの自然環境を抜本的に変えてしまうことになる」