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ラサの変貌

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(2006年8月22日 Tibet.com )

ポタラ宮殿は最も有名なチベット仏教のシンボルである。
しかしこの、ダライ・ラマ法王のかつての冬の宮殿が、チベットの首都ラサに残された唯一の仏教的歴史建造物となる日も近い。

今日のラサでは、数多くの旅行記で語られてきた不朽のシャングリラを髣髴とさせるものは、ほとんど目にすることができない。
現在のラサは、中国国内の他の近代的な中規模都市と似通った姿となってしまった。中国政府による多額の援助で富裕層にまで成長した新しい消費階級の好みを反映し、市街はガラスやクロムめっきであふれている。
ディスコやパブ、ネオンサインがラサの通りいたるところに見られ、銀行やガソリンスタンド、大企業はすべて中国人の管理下におかれ、その勢力は年を追うごとに拡大している。

観光客誘致

ラサは今日、チベットの精神的中心地というよりは観光の中心地となっている。
少なくとも50万人の漢民族、日本人、韓国人、そして西洋人がラサを訪れ、経済を促進している。青蔵鉄道の開通に伴い、今後さらに多くの観光客がラサを訪れると予測されている。
地方からやってくる多くの貧しいチベット人は、今でも巡礼のためにジョカン寺などの寺院に押し寄せているが、これも間もなく、好奇心に満ちた観光客の方が数で勝ることになるだろう。

中国人ビジネスマンは、チベットでの新しいビジネスチャンスを探している。
ラサでは、来るべき観光ブームを見越して、毎日のように新しいホテルやレストランがオープンしている。
しかし経済が上向いたところで、地元のチベット人が恩恵を受けることはほとんどない。
新しい企業のほとんどは、チベット以外の省から流入してきた中国人の商人が経営している。チベット人は単純労働に従事するしかないのである。
ラサで高級レストランを経営するWa Ming 氏は4,000キロも離れた中国北東部からやって来た。彼女は6人以上のチベット人を雇っている。
チベットの雑貨などが売られていることで有名なバルコル通りでは、チベット音楽よりも中国語のロックやポップアルバムのほうがよく売れている。

しかし、チベット自治区を支配する中国人の役人は、恐れることは何もないと言う。
「我々はチベットの文化と宗教を保全・保護するためにいくつもの段階を踏んできている。寺院は国家の援助を受けており、経典の保護には特別な努力が払われ、チベット人には仏教を実践するのに十分な自由がある。チベットを開放すると、チベット文化が[中国文化に]埋没してしまうなどと考えるべきではない。」と、チベット自治区副委員長のHao Pengは語った。

しかしHao Peng副委員長が何と言おうと、チベット人が自身の首都で社会の発展から疎外されているのは、疑いようもない事実である。

チベット人の中には経済的利益を得ている者もいるが、かつて、他に類を見ない文化を誇っていたラサは、今やありふれた現代都市へと変容してしまったのである。