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マナリのチベット人居住区、暴徒に襲われる

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1999年7月4日
ダラムサラ・チベット亡命政権からの緊急書簡より編集

インドのヒマチャルプラデッシュ州にある風光明媚のリゾート地マナリ。1960年代にチベット難民が労働者としてマナリの道路建設等に従事し、マナリの観光地としての発展に大きく寄与した。現在は2,000人近くのチベット人が住み衣料や化粧品等を観光客に売って生計を立てていた。

今年7月4日夜、その平和小都市に事件は2人のチベット人の若者−タシ・トゥンドゥップとクンガの喧嘩から始まった。以前クンガからさんざん殴られていたタシだが、その夜もクンガやその仲間たちから罵倒される。タシはクンガの母のところに赴き忠告するが、好意ある対応が得られなかった。そこでタシは、今度は命が危ないと自己防衛のためナイフを携帯して自宅へ向かう。その途中、クンガとその仲間がまたもタシを襲撃、自己防衛のためタシはナイフを出し … 惨劇が始まる。クンガの仲間の1人がタシに刺されて死亡したのである。そしてこの死んだ若者がインドの地元の高校の元生徒だったということで、事件は思わぬ展開を迎える。

生徒たちが先導した地元のインド人集団がマナリのチベット人マーケットセンターに放火、襲撃、略奪に走ったのである。暴徒と化したインド人の若者は、チベット人の経営するレストラン、商店等を次々と襲い、マナリに住むチベット人の9割が被害に遭い、被害総額はその後の調査で18,167,049ルピー(約5,400万円)にのぼった。インドのレートを考えるとこれは大変な金額である。

この悲劇でマナリの亡命チベット人たちは、大きなショックを受け狼狽している。彼らの受けた精神的外傷は図り知れない。チベット亡命政権から、マナリのチベット人社会の生活を再建するため、世界に応援を呼びかけている。