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ブッシュ米大統領、中国に対しダライ・ラマとの会見を要求

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(2007年10月17日 Voice of America )

チベットの精神的指導者であるダライ・ラマは、ブッシュ大統領同席のもと、米国会議事堂にて行われた式典で、米議会名誉黄金勲章の栄誉を受けた。今回のダライ・ラマの受賞は、米大統領がこのような注目を集める公の場でチベットの指導者と同席する初めての機会となった。ブッシュ大統領は議会員らとともに中国に対し、亡命中のダライ・ラマと直接的対話を持つよう求めた。以下は議会特派員ダン・ロビンソンからのレポートである。

72歳になるチベット仏教徒の精神的指導者であり、半世紀にわたりチベット人の自治への希望の象徴となってきたダライ・ラマの今回の受賞は、前例のないものである。

大統領および議会幹部らは、ダライ・ラマに対し議会が民間人に与えうる最高の栄誉を贈ることで、チベット人の何十年にもわたる中国との闘争を解決し、北京政府とダライ・ラマの直接対話を実現させたいという姿勢を示した。

ブッシュ大統領は次のように語った。「ダライ・ラマはその活動を続けているが、成果はいまだ不確かなものだ。議会がこの栄誉を贈ったことで、アメリカは声を大にして信教の自由と基本的人権の尊重を呼びかけることになる。」

民主党ナンシー・ペロシ下院議長と共和党リーダーのミッチ・マコーネル上院議員は次のように語った。

ペロシ下院議長:「今回の黄金勲章授与で、我々はダライ・ラマ法王とアメリカの特別な関係をはっきりさせました。」

マコーネル上院議員:「我々は連帯してダライ・ラマとチベットの人々に手を差し伸べた。中国政府は我々がこの姿勢を貫くことを認識すべきである。アメリカ政府はチベットを支持する。」

ダライ・ラマは1959年、中国支配に対する蜂起が失敗に終わった後、チベットからインドへ亡命した。彼は独立を求めているわけではなく、600万人のチベット人のために、信教と文化のより高度な自由を求めているのであると主張し続けてきた。

1989年度ノーベル平和賞受賞者であるダライ・ラマは、発言の機会をとらえ、チベットの意義ある自治について中国指導者層と対話する用意があることをあらためて表明した。

「この機会に、もう一度中国の指導者に言わせていただきたい。チベットの深刻な問題と、チベット内のチベット人たちの真の不満と深い怒りを知り、和解の心でこの問題を現実的に解決する勇気と知恵を持ってほしいのです。」

式典に先立ち、ブッシュ大統領はホワイトハウスでの記者会見で、ダライ・ラマの受賞に対する中国からの非難についてたずねられ、次のように答えた。
「私は中国に対し一貫して、信教の自由を認めることが国益になると言ってきた。ダライ・ラマと会談を行ったほうがよいとも伝えている。」

過去の受賞者の一人、ノーベル賞受賞者エリ・ヴィーゼル氏は、ダライ・ラマをチベット人のために身を捧げた深い信念の人であるとした。
「ダライ・ラマは、チベットの人々も他の全ての人々と同様、独立した宗教的・文化的生活を送る権利があると信じている。これは、誰からも奪ってはならない権利である。」

米国会議員の中には、式典の場でさらにはっきりと意見を述べる者もあった。
民主党のトム・ラントス下院外務委員長と共和党幹部イリーナ・ロス-レーチネン下院議員は出席者の一員であった。

ラントス下院議員:「北京オリンピックを確実に良い雰囲気の中で行いたければ、中国は平和の人であるダライ・ラマ法王を北京に招待し、真剣な議論を交わし、両者間の論争に最終的な解決をもたらすのが一番である。」

レーチネン下院議員:「中国共産主義政権の圧政のもとで苦しみ続けている600万人のチベット人の代表としてのダライ・ラマの努力は英雄的です。中国政府はチベットの国民的、文化的アイデンティティを破壊するため、組織的攻撃を続けています。」

ダライ・ラマを讃える発言をする中で、米国会議員らはビルマ(現ミャンマー)における人権問題にも触れた。ビルマでは、軍事政権による反政府民主主義者弾圧のもと、もう一人のノーベル賞受賞者であるアウン・サン・スー・チー氏が現在も身柄を拘束されている。

ダライ・ラマは式典の後、アメリカ各地から米国会議事堂の周囲に集まったグループの演じるチベット音楽やダンスを楽しんだ。

議会黄金賞を手にするダライ・ラマ法王。(左から)ローラ大統領夫人、ダライ・ラマ法王、ナンシー・ペロシ議長、バード上院議員、ブッシュ大統領。(写真:ロイター)
連邦議会の外に集まった群集に手を振るダライ・ラマ法王(写真:ロイター)