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チベット人人権に関する中国の実績は乏しい、と米国が表明

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(2006年4月6日 International Campaign for Tibet (ICT)

米国は、チベット人人権に関し、中国は実績に乏しく、チベット人の宗教の自由に対する弾圧は大きい、との見解を発表した。これは、2006年4月5日に米国国務省民主主義・人権・労働局が発表した「人権と民主主義の支援:米国の実績(2005‐2006)」という報告書のチベット部門の中で述べられたものである。

本報告書は、2003年度米国外交授権法の665条、P.L.107−228の中で、議会が国務省に対し、米国政府による人権尊重の支援活動に関する報告書を求めたことに応じる形で国務省が議会に提出した報告書の第四弾であり、主要諸国における民主主義促進と人権保護に関する米国政府の取り組みをまとめたものである。

報告書のチベット部門には「米国政府は、中国国内のチベット人居住地域における人権問題が改善されるよう精力的に主張を続けている。また、中国政府に対し、ダライ・ラマ法王の代理人との会談に応じるよう促した。」と記されている。

近日中に中国の胡錦濤国家主席がワシントンD.C.を訪れることもあり、報告書は「昨年11月北京でブッシュ大統領と胡錦濤国家主席と会談した際に、ブッシュ大統領が中国に対しダライ・ラマ法王との対話を行うよう強く奨励した」ことに触れ、中国側にこの点を再度想起させている。

報告書は、2005年のブッシュ大統領による大統領就任演説の「独裁政治と絶望の中で生きるすべての人々が、米国が彼らの苦痛を無視しないことを知るだろう。そして、彼らに苦痛を与えるものを断じて許さないことを知るだろう。彼らが自由のために立ち上がるとき、我々も共に立ち上がるだろう。」という言葉も引用している。

また報告書は、「中国国内のチベット人居住地域の人権に関する中国の実績は依然として乏しく、あいかわらず宗教の自由に対する強い弾圧が続いている。」「ダライ・ラマ法王に対する嫌疑も相変わらず払拭されていない。」と述べている。

米国国務省はこの報告書を「長年続いてきた米国の人権活動に関する報告書の2005年版を補うものであり、虐待をあばくという段階から、虐待を終わらせるために米国がどのような活動やプログラムを実施するかを公表する、という新たな段階へ踏み出したことを示すものである」と述べた。

民主主義・人権と労働局のバリー・F・ローウェンクロン国務次官補は「人権意識と民主主義の普及により、多様な国や人々が、国民に対して責任ある統治を行うことのできる政府、法を遵守し人権を尊重する政府、を選択することが可能になるだろう。」と報告書の中で述べている。

以下は、「人権と民主主義の支援:米国の実績(2005‐2006)」報告書のチベット部門の全文である。

チベット 人権と民主主義の支援:米国の実績(2005‐2006)」報告書より


中国のチベット地域における政府の人権の実績は依然として乏しく、引き続き宗教の自由に対する強い弾圧が行なわれている。中国政府は、ダライ・ラマ法王に対する懐疑的な見解を変えておらず、チベット仏教の宗教活動を分離独立主義賛同者と結びつけてとらえる傾向がある。

チベット人居住地域における、チベット独自の宗教・文化・言語といった文化遺産の保存・発展、ならびにチベット人の基本的人権の保護は引き続き懸案事項となっている。中国政府が、チベット人居住地域に関する情報や、この地域への出入りを厳重に規制していることから、人権侵害の実態を的確に把握することは難しい。

米国政府は、中国におけるチベット人居住地域の人権の状態を改善に向けて精力的に主張を続けるとともに、中国政府に対し、ダライ・ラマ法王の代理人との会談に応じるよう要求している。中国政府高官とダライ・ラマ法王の特使との会談は2002年に始まり、昨年6月スイスにて4回目の会談が開催された。また、ブッシュ大統領は昨年11月北京で、胡錦濤国家主席と会談を行った際、中国に対し、ダライ・ラマ法王と対話を行うよう強く働きかけた。

2005年、中国の地方役人による人権侵害を提起する機会を得ることを目的に、多くの米国政府高官がチベット人居住地域を訪れた。米国国際宗教自由委員会(USCIRF)の委員ならびにスタッフは、2002年から始まった二国間協議の中で実現を模索し続けてきたチベット自治区への訪問を8月に果たした。この訪問中、米国国際宗教自由委員会(USCIRF)一行は、ラサで、釈放されていた政治犯プンツォック・ニドル尼僧との面会も果たした。これはつまり、大きな委員会の代表団が昨年8月にチベット自治区を視察し、宗教的遺跡を訪問し、人権侵害に関する問題提議をしたということである。

2005年11月には、国連の拷問に関する特別調査委員会がラサを訪れ、政府高官と会い、2つの刑務所を訪れた。米国の資金提供によるプログラムでは、経済と地域社会の発展、チベットの自然環境の保護、チベットの宗教的・文化的遺産の保存に重点が置かれている。