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チベット主席大臣、国会議事堂で演説

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2017年2月15日
東京

チベットの政治的指導者であるロブサン・センゲ氏が15日、東京の国会議事堂で日本人議員らに向けて演説を行い大喝采を受けた。行政官庁及び外務委員会のアドバイザーを含む議員らが国会議事堂でセンゲ氏を歓迎した。

元文部科学大臣で日本チベット国会議員連盟代表の下村博文氏はその挨拶の中で、世界中に広まりつつあるチベット仏教文化は世界各地の紛争問題に取り組むうえで有用であると述べ、その保護への支援の必要性を強調した。

ジャーナリストとして長いキャリアを持ち、シンクタンク『国家基本問題研究所』理事長を務める櫻井よしこ氏は、人権・民主主義・道徳を重んずる国、日本が、チベット民族の支援活動を再び盛り上げていかなければ、と呼びかけた。さらに同氏は、ダライ・ラマ法王や政治的指導者であるロブサン・センゲ氏が来日する際には国会議員自らが主体となって彼らを歓迎するように訴え、「それが国際社会に重要なメッセージを送ることになる」と述べた。

続いてセンゲ氏が国会議員を前に、チベットと自由について演説を行った。

センゲ氏は、議会内支援団体としては世界最大の87議員からなる日本チベット国会議員連盟の発足を称え、チベット内部で抑圧に耐えているチベット人の大きな希望と励みとなっていると述べた。

さらに同氏は、ドナルド・トランプ米大統領との日米首脳会談を成功させた安倍首相を祝し、首相の発言通り、日本はアメリカと緊密に連携して国際社会において主導的役割を果たしていくだろうと述べた。さらに安倍首相に対して、チベット民族のための真の自治の実現を目指す中央チベット政権の中道政策への支持を要請した。

「チベットは歴史的に独立国であり、かつては中国や中央および南アジアを治める大帝国であった。それが現在は中国の支配下にあり、政治的抑圧、経済的疎外や社会的差別を受け、環境破壊と文化的同化にあえいでいる。」

「中国の憲法は信教の自由を認めており、チベットにも宗教の自由があると中国政府は言うが、ラルン・ガルをはじめとする仏教僧院の破壊を見れば現実がそうでないことは明らかだ」と同氏は続けた。

亡命チベット人はダライ・ラマ法王の指導のもと、チベットで破壊された主要な寺院全てを一つ一つ再建し、仏教を再びチベットによみがえらせた。「それがチベット民族の精神だ。いくら打ちのめされても私たちは何度でも立ち上がる」とセンゲ氏は言った。

さらに同氏は、中国共産主義政府には次のダライ・ラマを認定する正当性や信頼性がないことを繰り返し訴えた。「彼らのこれまでの行いを振り返ってみよう。98%の僧院、尼僧院を破壊し、99.99%の僧侶と尼僧を寺院から強制退去させた。そしてこれまでずっとダライ・ラマ法王を批判し続けてきた。そんな彼らによるダライ・ラマ法王の化身の認定のどこに信頼性があるというのだ。フィデル・カストロがローマ教皇を選出し、それをキリスト教徒に受け入れてもらおうとするようなものだ。決してありえない。」

「インドをはじめアジアの近隣諸国や尖閣諸島で進められている中国の領土拡張が、チベットでは50年以上も前に起きてしまった。人工衛星の画像は領有権問題のある島々に建設された中国の飛行場の施設を写し出しているが、彼らはもう既にチベットに飛行場を5つも持っているのだ。もしあの時近隣諸国が中国のチベット侵略を阻止していれば、領土拡張も起こらなかったはずだ。」

中国はアジアの給水塔としてのチベットもコントロールしているとセンゲ氏は続けた。チベットを源泉にする河川はその下流にあるインド、中国、バングラデシュを含むアジアの近隣諸国そして東南アジア諸国に住む数十億の人々のライフラインだ。「かつて人々は土地のために争い、昨今では石油のために戦い、将来は水を求めて争うことになる、と専門家や科学者は言っている。この50年間にチベットにある氷河の50%は溶けて消失してしまった。2100年までには残りも溶けて無くなるだろう。そうなればアジア大陸のチベットに深刻な危機が訪れる。」

「チベットは、チベットと関わりのある国々の道徳基準や人権への期待値を測る試金石だ。チベット問題に取り組むことは、チベット仏教文明を分かち合い、水源をチベットに頼る全てのアジアの国々の集団的責任だ」

ロブサン・センゲ主席大臣は、日本とチベットの国旗を背に国会に向けての演説を行った。


(翻訳:Barker Takako)