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チベット、中国が「無効な協約」を占領の正当化に利用と批判

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2001年5月22日
AFP(ニューデリー)

インドにあるチベット亡命政権は22日、中国が、論争の焦点になっているチベット支配の「法的」根拠とする協約(17カ条協定)を中国によるチベット支配50周年を記念して大々的に喧伝していることを批判した。

亡命政府のT.C.テトン情報・国際関係省大臣は、記者会見で、中国−チベット間で交わされた唯一 の文書であるこの「疑わしい法的文書」でさえ、中国は守っていないと語った。
テトン大臣は、この「無効」な「チベット平和解放に関する17カ条協定」が、1951年、中国がヒマラヤ山麓の孤立した国チベットを侵略した際に強制的に署名させた、と述べ、さらにこう続けた。
「その文書に調印した後、チベットの状況は改善されなかったし、今だに改善されていない。中国がいかなる方法でこの悪名高い協定書を誇示しようと、この50年の間にチベット人のよりよい将来を求める闘争はさらに激しくなっているということは紛れもない事実なのだ」

チベット自治区の住民は5月23日の50周年記念式典に参加するように強制されており、参加しないと給料や年金が徴収されるという。
「(中国による)いわゆるチベットの平和解放から50年経った今でも、チベット人は命がけで世界最高峰の山々を越えてまで自由を求めて脱走している。そこから明らかなように、チベット人にとってチベット問題は未解決で、祖国で尊厳と自由を保ちつつ生活し働くことへの苦闘はまだ続いているし、抵抗の精神は広がっている」

チベット仏教の精神的指導者であるダライ・ラマが1959年にチベット人の反乱が失敗に終わった後、亡命してきて以来、インドはかなり大きなチベット人コミュニティの根拠地になっている。インド北部の高地ダラムサラにはチベット亡命政権が樹立された。
時を同じくして、ダライ・ラマは5月23日、ブッシュ米大統領とワシントンで予定されている会談で、中国支配によるチベット人の苦悩を話し合うことになっている。

テトン大臣はこう続けた。
「ダライ・ラマ猊下はブッシュ大統領とはじめとする新政権のメンバーに初めてお目にかかる。今年はアメリカ側からチベット亡命政権に対する支援の約束をいただいている」
「チベット人コミュニティはこの会談が、中国内の「人権侵害」をなくす方向に役立つことを期待している。また、中国政府は、『17カ条協定』を記念して、大々的なプロパガンダ・キャンペーンを展開し、チベットと中国をさらに統合することを目的とした経済政策を推進するだろう」
「亡命政府はチベット自治区における経済振興政策に反対しないが、今のところ恩恵を受けているのはチベット人ではなく中国人だ」
「チベット自治区の辺境地域では生活必需品が不足し、都市部に暮らすのは元からの住民であるチベット人よりも、中国人の方が多い」
「最近発表されたチベット−中国間の鉄道建設計画は中国人の大移動を招き、従属関係をさらに拡大することになる」