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ダライ・ラマ法王の声明

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<2002年1月24日のダライ・ラマ法王の声明を文章化したものより抜粋>

皆さんとこうして短時間ながらお会いしようと思ったのは、仏教的、宗教的な理由からではありません。この地に私が来てすでに数日がたっており、短時間でも皆さんにお目にかかるのがベストだと思ったからです。なにが起きたか、事の進展と、これから私たちがどうすべきか、かいつまんで皆さんにお話しましょう。
まず、短い祈願文を唱えましょう。
通常私はきわめて壮健です。そのため、役人たちや、アドバイザーたちがもっとリラックスし、休みをとるように勧めてくれても、頑固にその忠告を無視しつづけてきました。
南インドからブッダガヤに向かったとき、私はとても元気でした。一週間前、私はナーランダと霊鷲山に巡礼をしました。チベットでは、巡礼のさい、苦労すればするほど、障害にあえばあうほど大きな功徳がつめるといいます。そこで私は杖一本を頼りに、歩いて霊鷲山に登ったのです。この一年、私は膝に多少の問題をかかえるようになっていました。仏陀の大恩を想起しつつ、私はこの巡礼を行いました。

私はかなり汗をかきました。霊鷲山では長らく祈願しました。私が病気になったのも極端な気温の変化にさらされたせいだと思います。午後私は食事をとり、ナーランダへの巡礼を行い、その後、車でパトナに向かいました。この旅は二時間を要しますが、車に乗って約一時間後、私は胃にひどい痛みを覚えるようになりました。パトナのホテルに着いた時には、痛みはますますひどくなっており、汗がだらだら出ました。これも極端な気温の変化せいだと思います。チベット薬と西洋薬を摂り、おおもとの病気は直ったものの、完全に回復するまでにはしばらくかかりそうです。

37歳のとき、私は黄疸にかかっています。回復までに2,3週間かかりました。今痛みはありませんが、疲労感は残っています。熱が出たり、他の病気にかかることがあっても、これまではすぐさま回復するのが常でした。今回私は回復こそしたものの、いまだ疲労感が抜けきれず、すぐに疲れます。そのため私は前行の教えを行うことができませんでした。
カーラチャクラの説法を行うには、長々と祈祷し、何時間もかけて準備をする必要があります。しかし健康のすぐれない今の状況で、ただでさえ精根尽きるような説法と灌頂をあくまでも行う主張するのは愚かといえましょう。常々人々に頑固であるなとアドバイスしてきた私が片意地はるのは理にあわないうえ、なんの利益ももたらしません。
そんなわけで、私はカーラチャクラの説法を延期することにしました。

最初のうち私はカーラチャクラの説法を、カーラチャクラ堂からではなく、私の自身の部屋から、ワイヤレスをカーラチャクラ堂の音響装置につないで、説法の準備をおこなったり、一緒に祈ったりして、説法をすすめていくことができるのではないかと考えていました。このようにして、いつもとはまったく異なるカーラチャクラの説法をとりおこなうべく準備を始めたのです。
しかしそこで、カーラチャクラの説法自体を延期するのがベストではないかと思ったのです。

シャーンティデーヴァの『入菩提行論』にも、ラマや偉大なる導師の方々の大恩に報いるためには、健康を保ち、長寿であるほうがよい、そうすれば衆生にも仏法にも利することができると記されています。そこで健康第一を重視して、私はカーラチャクラの説法を延期することにしました。
またチベット暦で来年の11月か12月にこのカーラチャクラの説法を行うと決定しました。この問題についてはこのカーラチャクラの説法をお膳立てしてくれた人々と相談する必要があります。

チベット人の入植地、僧院、近隣地帯から来た人々にとってこの決定はさほど問題もなく受け入れられるでしょう。しかし遠路はるばる、はかりしれない献身の気持から、困難をおしてこの地に集った方々には、カーラチャクラの説法が延期されたからといって失望することはないと申し上げておきましょう。あなたがたがここにこうして来られたのも、このような聖地で精神的に利他行をなしたいという偉大な動機をもっていたからです。それゆえ、一歩歩むごとに、あなたがたは多大な功徳を積んでいくはずです。

この玉座に坐って、少し元気になったような気がします。もっと調子がよくなったなら、1月26日、27日に短い説法を、また1月28日には長寿の灌頂を授け、久住の法要〔ダライ・ラマ法王が久しくこの世にとどまることを祈って、民衆が行う〕を受けたいと思います。