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ダライ・ラマ法王 スコットランドで熱い歓迎を受ける

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(2004年6月2日 チベット・オフィス(チベット亡命政権ロンドン代表部事務所))

(エジンバラ)スコットランドのエジンバラでの法王の滞在は、2日午後、スコットランド議会における歴史的な演説と、花・スカーフ・色とりどりのチベット国旗等を振って出迎える沿道の人々や生徒たちによる暖かな歓迎によって記念すべきものとなった。

チベット人でノーベル平和賞受賞者である法王は、チベット亡命政権ロンドン代表部事務所表のケサン・タクラ代表の同伴で、エジンバラ市長から伝統的なスコットランドのスカーフをプレゼントされるなどの歓迎をうけた。法王はエジンバラ市長に、チベットでは歓迎の挨拶を意味する白い絹のスカーフ(カタ)を贈った。

スコットランド議会で議員らが一斉に起立して大歓迎を受けた法王は、演説の中で、「知恵・正義・同情心及び正直さといった再考すべきテーマのために時間を確保することは、民主主義制度にとって非常に重要な要素です。また、スコットランド議会による自治のあり方は、チベット人にとって何らかの示唆を得ることの出来るひとつのモデルです」と述べた。このときの演説の模様は、世界中の視聴者に向けてスコットランド議会のウェブサイト(http://www.scottishparliamentlive.com/) 上で公開された(→「Time for Reflection」の項を参照)スコットランド新聞(Scotsman Newspaper)は、「かつて一体誰が議会の生中継において、今日のダライ・ラマ法王の演説ほど聴衆を興奮させるなどと予想したであろうか」と伝えた。

法王はまた、議長のジョージ・リード氏主宰による昼食会にも出席した。この昼食会には、議長代理やジャック・マッコーネル大臣他、様々な政党の代表者や宗教的指導者が参加した。その場にいた人たちは、法王の議会訪問がいかに一般的な人々とスコットランド議会議員に対して肯定的なインパクトと普遍的な雰囲気を与え、聴衆がこの滞在にどれほど興奮したたかについて述べている。
「議会には、ダライ・ラマ法王へのとても大きな関心で充ちあふれていました。それらの関心は真に純粋なものでした。通常、外国人高官が議会を訪問する場合、私たち職員は、聴衆席を埋めるのに非常に苦労します。しかし、ダライ・ラマ法王の場合は、チケットを求めるたくさんの問い合わせを受けました。これは非常に画期的なできごとです」と、スコットランド議会の秘書官補佐であるマーガレット・二—ルは、満面の笑顔とともに我々にエピソードを語った。

法王は、タウンホール外側の沿道を横切りながら、彼を歓迎するために行列を作っている多くの人々のもとにいった。同時に、「中国は一つ」というスローガンを掲げた小規模な中国人グループの姿も沿道の聴衆に認められた。法王はとりわけこの中国人グループの存在に驚き、車を降りて彼らと握手し、チベットと中国の問題を解決するため、法王自身が中道政策を押し進めていくことを保証した。法王は文字通り、慈悲心の発露と笑顔によって、この中国人の抗議者たちを武装解除させたのだった。

法王は、タウンホールでの議員と外国人領事・宗教指導者やメディアを含む招待客に向けた演説の中で、生涯における3つの課題—「人権擁護」、「宗教的な調和の実現」、「チベット問題の解決」、を繰り返した。チベット問題そのものからの引退は、法王と亡命政府のチベットへの帰還と自由の保障がなされたときに実現するのに対して、人権擁護と宗教的な調和の実現については、法王が全生涯を通じて訴えかけていく課題である。議員からの質問に答えながら、法王は、「大きな見地から見れば、私はチベットの将来について楽観視しています。その理由は、多くの中国人、特に、ビジネスマン、知識階級や学生といった人々が、チベット仏教に対する関心を高めているのみならず、中道政策を、チベット問題解決に向けた現実的な解決策として支持しつつあるからです」と述べた。

また、後に議長によって紹介された、様々に出身学校の異なる学生や先生のグループに対して、法王は、「現代の教育が、単にアカデミックな活動のみを強調し、人格や心のあり方を尊重しないことは間違いです。あたたかな心は非常に優れた特質であり、これを身に付けることは本人のみならず、周囲の人間にとっても意義深く、賢明で幸福な人生を送ることを可能にすることが出来るのです」と述べた。

法王の自動車行列と、法王の滞在先であるホテルや沿道は、終日、武装した警官により厳重に警備された。

法王は、エジンバラ市芸術センターで開催されているチベットの砂マンダラの製作過程や遊牧民のテントと共に、過去・現在・未来のチベットのビジョンを描く写真展に見学、スコットランドの宗教的なコミュニティーの指導者と市長によって再び迎え入れられた。エジンバラ市芸術センター屋上でチベットの国旗がはためく間、地元の新聞カメラマンやテレビ局員が、法王撮影にとって最良の場所を確保し、それぞれの紙面や番組の締め切りに間に合わせようと取材する中、法王らは辛抱強くチベットの展覧会に見入っていた。

また、法王は、チベットのためのスコットランド赤十字グループやチベットサポートグループ代表の事務職員、アムネスティーインターナショナルのようなNGO団体等との合同謁見を行った。法王はチベットの為に行われている援助が、多様な人権活動グループだけでなく、すべての政党によって支えられていること知り、見るからに嬉しそうな様子だった。

「エジンバラインターフェイスアソシエーション」の招待による今回のダライ・ラマ法王の訪問は、ダンファームラインへと続く。ダンファームラインで法王は、数百人の子供達と相互に平和について語り、チベットとダライ・ラマ自身についての質問に答える予定である。エジンバラのアッシャー・ホールでの講演と、市長による演説で締めくくられるこの日のプログラムのチケットは既に完売した。

法王の訪問に対する大衆とメディアの熱狂ぶりは、法王の各滞在先での予想外の人出によって明らかとなった。観衆は拍手喝采し、報道写真家は、手を振ったり子供達と握手したりする法王のいかなる自発的な動きも見逃さずにカメラに収めようとした。

ロンドンにあるチベット・オフィスと共に、今回の法王滞在準備を進めてきた「エジンバラインターフェイスアソシエーション」のヴィクター・スペンス氏は、「本日、私は予想をはるかに上回る多くの人々が、法王に会うために沿道やシティーセンターを訪れたことを非常に嬉しく思います。また、チベットの国旗が、沿道につらなる個人の家の窓際に掲げられているのを目にするのも大きな喜びです。法王がこの都市にもたらしてくれた心地よい経験が、いつまでも続くことを望みます」と締めくくった。