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ダライ・ラマの後継者は中国ではなくチベットに依存

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寄稿者:ヤン・ジャンリ、リンチャオ・ハン

多くの85歳の人にはできないことがたくさんあります。走ったり、山に登ったり、一日中起きていることなどです。誰もそのことを羨ましがりません。逆に、彼らが上手にすることがあります。健全なアドバイスの提供、孫の世話などです。そういったことに関しては誰もが感謝しています。 しかし、世界で2番目に大きい経済を周回することは、多くの85歳の人々が行うことではありません。例外は、14世ダライ・ラマとして知られるテンジン・ギャツォです。 そして、中国以外の誰もが彼を尊敬しています。

毛沢東から習近平までのすべての中国共産党(CCP)の指導者と取引したダライ・ラマは、中国の指導者の心の複雑さを深く理解するだけでなく、北京とダラムサラの間の地政学的なチェスゲームにおいて少なくとも2歩先を維持するという特殊な立場にあります。

そして彼はここ数年でゲームをさらに強化しただけなのです。中国が独自の方法で「現在のダライ・ラマ14世の生まれ変わりであるダライ・ラマ15世を特定する」準備していることに関して、この素朴な僧侶は混乱を意味する一連の声明を表明しましたが、北京はその影響から動揺しているようです。

中国は非常に自信を持って、古くからある金瓶掣籤(抽選)を使って、次のダライ・ラマを特定することを計画しています。中国最大の支持者を持つ宗教の頭を選ぶのは宝くじ的な問題なのです。真剣、且つ尊敬を受けている著者によって、この方法を弱体化させる十分な証拠が公開されています。一番最近のものだと、マックス・オイドマンによる「Forging the Golden Urn(金瓶の偽造)」というタイトルの本です。

しかし、最も指摘されているのは、ダライ・ラマ自身によるこの方法に対する非難です。彼は、チベット仏教のたった一つの宗派の頭を特定するために、かなりの労力と資源を費やしている無神論体制の皮肉を何度も指摘しています。彼は、まずは始めに毛沢東と鄧小平の生まれ変わりを見つけることを試みるようにとCCPに助言しました。

2011年の時点で既に、ダライ・ラマは彼の生まれ変わりの選出には金瓶掣籤は適用されず、署名を含む手紙を残すという従来の方法に従うと指摘しました。

しかし、これは中国人を混乱させることになりました。ダライ・ラマは、メディアや一般の信者との交流において、「この制度は彼の代で終わるかもしれない(これは無神論者の中国が反対しています)」、または「女性のダライ・ラマが生まれる可能性があり、輪廻転生は封建制度である」とさえ言っています。

北京は、宗教を公式認可する機関である中国仏教協会(BAC)からの情報に従って、中国全土のチベット仏教の古文書に潜り込んで、輪廻転生制度に関連する文書を収集するように求めています。

中国共産党はこの問題の重要性を考え、BACの研究者はチベット自治区やチベット人が居住する他の州において扇動して文書を探すようになりました。そして、チベットは常に中国の一部であったという中国の論点を支持するための情報を収集すること依頼されたのです。

問題:これらの問題に関する最重要文書は、赤い中国(東アジアで広大な領土を占める共産主義国)にはまったくありません。これらの文書は今日、台湾の国立公文書館や図書館に保管されているのです。これらは、中国国民党が中国本土から亡命し台湾を拠点にしたときに一緒に持ち去られたからです。学者たちはこれらの文書を研究し、チベットの地位の問題と転生の問題の両方について、中国の議論の弱点を明らかにしてきました。例えば、これらの研究は、ダライ・ラマ14世自身が中華民国の中央政府によって選ばれたという中国の主張が間違いであることを繰り返し示しています。

1月28日、米国下院では、とりわけダライ・ラマの後継者を妨害した中国当局者を制裁することを目的とした「チベット政策と支援法」(TPSA)の決議に重要な動きがありました。ダライ・ラマ機関は600年以上にわたって存在し、その間に変化がありました。宗教レベルでは、米国はチベット仏教の指導者および国民に完全に依存するダライ・ラマの後継者に関する決定を妨げる権利を有しておらず、またチベット仏教徒ではない中国人もそうではありません。それは絶対的にダライ・ラマにあります。しかし、人権レベルでは、私たち全員が、政府の専制君主による言いようのない虐待から宗教グループと人々を守る義務があります。

今のところ、ダライ・ラマは肉体的にも精神的にも健康であり、昨年末、インドのガンデン僧院ジャンツェ学堂での長寿奉仕の儀式で、長寿祈願法要で113歳まで生きることを宣言しました。その間には何世代もの中国共産党指導者の世代交代があるでしょう。科学的根拠はさておき、今後の22年間の彼の生涯の宣言は、彼が中国共産主義体制を生き抜くという彼の信念を表す巧妙な表現方法だったのかもしれません。

ヤン・ジャンリは、中国の Citizen Power Initiatives for China(公民力量)の創立者兼社長であり、天安門大虐殺の生存者、中国の元政治囚です。

リンチャオ・ハンは、Citizen Power Initiatives for China(公民力量)の副社長です。 1989年の天安門広場の虐殺の後、彼はIndependent Federation of Chinese Students and Scholars (IFCSS) の創設者の一人でした。彼は、3人の上院議員の立法顧問および政策ディレクターとして、12年間米国上院で勤務しました。


(翻訳:ガン・キー)