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ダライ・ラマの医師とメン・ツィー・カン

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2002年4月2日
チャンディガル(インディア・タイムズ)

ダライ・ラマの専任医師、ペマ・ドルジェ氏は、ダラムサラのマクロードガンジにあるチベット医学・暦法研究所の事務次官も務めている。昨日、代替医療法に関する講議を行うため町中に滞在していたペマ医師はタイムズニュースの記者に対し、最古の伝統医療法といわれるメン・ツィー・カンについて語った。

・メン・ツィー・カンの起源について教えてください。

メン・ツィー・カンのメンは医学、ツィーは占星術、カンは診療所−つまり、医学と占星術を扱った診療所を意味します。その起源はインドのブッダにあり、ナーガールジュナ(アーユールヴェーダの第一人者としてよく知られる)を通じて7世紀のチベット国王ティソンの医師として名をはしたユトク・ユンテン・ゴンポに伝わったといわれます。その後、ダライ・ラマ12世によって1916年、ラサにこの伝統医学診療所が再建され、14世がチベット亡命後の1961年に、インドのダラムサラにて復建が行われました。

・あなたはダライ・ラマ専任医師ですが、彼がとても健康な理由は何ですか?

己の精神状態を幸福にしていれば、通常はオージャス(心臓の右部分)の隆起が顕著になり、それによって良好な健康状態や労働意欲が維持されます。しかしダライ・ラマの精神状態はチベットの現状から幸福ではありませんが、彼のオージャスは問題ありません。それは、毎朝のヨガと日中の瞑想をかかさず、保安上の問題から長時間の散歩はできないものの、自宅の敷地を散歩しているからです。また、35歳で患った黄疸が回復してからは、チベット独自の医療法に対する不動の信念をさらに深められました。

・ダライ・ラマが先ごろ患った病気は何が原因だったのですか?

彼には胃にいくつか問題がありましたが、これが引き金となって腸の下部と肝臓に痛みがはしり、耐え難い激痛となったため、先日のカーラチャクラをキャンセルせざるを得なくなりました。ブッダガヤに向かうまで体調は万全だったので、後に我々が討議したところ、旅先の食べ物と水が彼の健康状態を大きく変えた原因であることが判りました。おそらく水や食事の含まれていた香辛料が彼の体にあわなかったのでしょう。

・メン・ツィー・カンの効能はあるのですか?

そう考えます。このため、世界中で広く普及しているのです。関節炎、喘息、脊椎炎や糖尿病などの慢性病に即効性のある治療法です。我々の考えでは、全ての病気の80パーセントは元々胃の病気から生じており、これらをメン・ツィー・カンで完治することができます。また、これは公言していない事ですが、我々の癌患者やエイズ患者の中で徐々に回復兆候を示している者もいます。アロパシー(逆症療法)も効果的な治療法ですが、用いる薬剤のほとんどは、ヒマラヤ山麓のシッキム州、アルナチャルプラデシュ州やネパールなどが原産の希少な薬草を抽出したものです。しかし幸いなことに、チベットでは家の周りに生えているような薬草を使うことができるのです!

・メン・ツィー・カンの普及にこの30年貢献されてきたわけですが、
インドにおけるメン・ツィー・カンの活動についてどうお考えですか?

マクロードガンジにチベット医学大学を設立し、メン・ツィー・カンの他にも、チベットの伝統的薬物療法も教授しています。医学生にはまる5年間の学位課程が設けられているほかに、外国人留学生やヒマラヤ地方出身の学生の在籍も確保しています。また、西洋にもいくつかの関連センターを開いています。インドにおけるメン・ツィー・カンの未来は明るいといえるでしょう。