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スクープ:ダム抗議で1000人以上のチベット人を逮捕

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大規模なダム計画により、6カ所にある仏教僧院が破壊され、2つの村が移転を余儀なくされるだろう

Kalden Lodoe、テンジン・ペマ。
RFAチベットの記事。
2024年2月22日

2024年2月22日、四川省デルゲ県で行われた、ディチュのダム計画に反対する抗議活動の最中に、中国当局がチベット人僧侶を逮捕した。

中国当局は木曜日、6つの仏教僧院を破壊し、2つの村の移転を強制する大規模なダム計画に反対する抗議活動を鎮圧するため、中国南西部の四川省で1000人以上のチベット人僧侶とチベット人を逮捕したと、3人の情報筋がラジオ・フリー・アジアに語った。

このような果敢な抵抗はまれなことであるが、住民は2月14日からカンゼ・チベットの自治州デルゲ県ウォンポトゥ(དབོན་པོ་སྟོད, 中国語ではWangbuding)の街頭に出て、ディチュで(中国語ではJinsha)に1,110メガワットのウォントク(中国語ではガントゥオ)水力発電所を建設する計画に反対している。水力発電所は、中国の最も重要な水路の一つである長江の上流に建設される予定だ。

情報筋によると、水力発電ダムの建設により、13世紀に描かれた古代の壁画が残るウォント僧院を含む6つの僧院が破壊されることから、住民は特に取り乱しているという。

RFAが独占入手した市民が撮影した動画には、黒服を着た中国政府の役人が僧侶を強制的に拘束する様子が映っており、ダム建設反対を叫ぶ声も聞こえる。

ワシントンの中国大使館のリウ・ペンユー(Liu Pengyu)報道官は、逮捕のことは知らなかったと述べている。同氏はeメールで「中国は法治国家である。中国は法律に従って、中国人の合法的な権利と利益を保護する。」と、声明を出した。

人々の拘束は、チベット人が多く住む四川省のカンゼ・チベット自治州で起きたとされる。情報筋によると、逮捕されたデモ参加者の中には、手荒な扱いを受けて入院が必要な人もいたという。

中国政府がこの地域からの通信を制限しようとしているなか、RFAと話をした現地の情報筋は、デモ参加者を鎮圧するために、警察官が放水銃や催涙スプレー、テーザー銃を使用したと語った。一方で、RFAに送られて来た動画にはそのような手段を用いている様子は映っていない。

高まる反対

抗議活動は2月14日に始まり、少なくとも300人のチベット人が、ダムに抗議するためにデルゲ県の庁舎の外に集まった。中国では公共の集会が厳しく規制され、当局が広範囲にわたって監視を実施しているため、こうした抗議行動、特にチベット人によるものはまれである。

ウォントク(中国語ではガントゥオ)水力発電ダム の建設により、上ウォント村とシパ村、デルゲ県のイェナ僧院、ウォント僧院、ハルド僧院、さらにはチャムド郡区のラブテン僧院とゴンサール僧院、タシ僧院が移転を余儀なくされると、情報筋がRFAに語った。

計画地に最も近いウォント僧院とイェナ僧院には合わせて約300 人の僧侶がおり、それらの僧院は地元住民にとって文化的、宗教的に重要な意味を有している。

ウォント僧院は中国の文化大革命の時代に甚大な被害を被った。しかし、地元住民が古代の壁画を保存し、1983年に僧院の再建に着手した。

破壊が予定されているその他の4カ所の僧院に暮らし、祈祷している僧侶の数は分かっていない。

2つの村にはおよそ2,000人が住んでいるが、ダム計画により移住を余儀なくされるだろうと情報筋がRFAに語った。

中国当局が2024年2月22日、四川省デルゲ県で、ディチュのダム計画に反対する抗議活動の最中に、チベット人僧侶を逮捕した。(市民ジャーナリスト)

ガントゥオ・ダムは、中国国家発展改革委員会が2012年に発表した、ディチュに13段の大規模な水力発電施設を建設する計画の一部であり、四川省カンゼ・チベット自治州の北西にあるデルゲ県のウォントク(中国語ではガントゥオ)に作られる予定である。

計画では、13段の水力発電所の容量は13,920メガワットである。

2月14日の抗議活動を受けて、中国当局はすべての幹線道路を閉鎖し、ウォンポトゥ村や僧院に、デジタル機器へのアクセスを含む厳しい制限を課した。

2月20日に、当局が取り壊しの準備のために、イェナ僧院とウォント僧院を査察した時の様子を撮影したビデオの映像をRFAは入手したが、その中には、訪問した中国当局者の前にひれ伏してダム建設の中止を懇願する僧侶たちの姿が映っていた。

こうした訴えは今日も続いたが、中国当局はうんざりした様子で逮捕に乗り出した。当局はデモ参加者の携帯電話も押収したという。だが、一部の地元住民は逮捕を免れ、弾圧の様子を部分的に記録することができた。

追加報告:ペルバー、ソナム・ラモ

編集:ジム・スナイダー、マルコム・フォスター

中国大使館のコメントを追加し、ガントゥオ・ダムの発電量をメガワットに訂正して更新。

オリジナル記事


 (翻訳:t.m.)