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カナダ ダライ・ラマの講演チケットを巡り、暴力事件

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(2004年2月13日 バンクーバー・サン紙)

今年4月にカナダ・バンクーバーで開催されるダライ・ラマの仏教講演。しかし、講演チケットが販売開始後わずか20分で完売、腹を立てた男性がチケット販売員に暴力を振るうという事件が起こった。

この講演の責任者ビクター・チャン氏(以下、チャン氏)によると、チケット完売に激怒した男性は、講演チケット販売の直営元となるチケットマスター事務所に居座りつづけ、販売員を素手で殴るなどの暴力をはたらいたという。暴力や攻撃は、ノーベル平和受賞者のダライ・ラマが主張してきたことと全く正反対の行為だ。
チャン氏は、残念そうに次のように語る。
「暴力を振るった男性は、より意味のある人生を求めていたのだろうが、それにはまだ程遠いようですね」
「何百万もの人々が、ダライ・ラマのメッセージである非暴力、忍耐、慈悲に賛同している。しかし、これらが実践できるようになるには、瞑想やダライ・ラマの教えを日々積み重ねることが必要でしょう」

ブリティッシュ・コロンビア大学内の戦争記念ジムでのニ講演で8,000席であったが、販売開始日当日数分で完売(暴力事件はこの時に起こった)。講演責任者らはついに12日、講演チケットを入手できなかった多くの人々の声に応えて、もっと多くの人々を収容できるようにと講演会場に変更を発表した。こうして、4月18日(日曜)にパシフィック競技場で2回の講演が行われることになった。一講演に8500席分のチケットが追加された。

ダライ・ラマはまた、南アフリカのデズモンド・ツツ英国国教会大主教、ヴァ−ツラフ・ハベル元チェコ大統領、2003年度のノーベル平和賞受賞者でイランの人権活動家シーリーン・エバーディ女史らとバンクーバーで開催されるイベントにも参加する予定。この4氏はまた、ブリティッシュ・コロンビア大学とサイモン・フレーザー大学から名誉学位を贈られることになっている。

世界中から4名の平和を唱える活動家をバンクーバーに招待したチャン氏は、講演を聞く機会を逃したと知人らがぼやき続けていたのを聞いて会場変更に踏み切ったという。
「チケットを入手できなくて嘆いていた人がたくさんいたんです。皆さんはダライ・ラマの普遍的なメッセージに心から感銘を受けています。世界中で、これほどの名声を持つ人はダライ・ラマをおいて他にいないのではないでしょうか」とチャン氏は語る。

ドイツで信用の高い雑誌「ゲオ・ウィッセン」誌で最近行った世論調査によると、ダライ・ラマを崇拝するドイツ人がカトリックの法王、ヨハネ・パウロ二世の2倍と報告されている。チャン氏は、昨年9月のニューヨークのセントラルパークで行われたダライ・ラマの無料講演で10万人もの人々が集まったことがこの調査を裏付けていると語った。バンクーバーで仏教慈済慈善事業基金会の支部長を務めるゲイリ−・フ−氏もまた、チベット仏教と中国仏教は違うけれども、ダライ・ラマが西洋人に「悪、無にして心浄める」といった仏教の教えを伝導することは素晴らしいことだと語っている。ダライ・ラマと30年来の交流を持ち、本を共著しているチャン氏は語る。
「ダライ・ラマに影響を受け、彼の講演を切望する多くの人々がいることは素晴らしいと思います。しかし、仏教の指導者のメッセージを真に理解するには瞑想が不可欠であり、また多くの時間を要するものです」
「仏教の教えを実践するにはオリンピック競技に参加するようなもの。悟りの境地を開くには、きり高い山に登るぐらい過酷なもの」
「人々はダライ・ラマのメッセージを聞いて彼と近い存在になりたいと思っています。でも仏教の教えというのは実に高度なものです。そう容易く変化できるものではなく、時間がかかるものです。たった2時間で教えの真髄をどこまで伝えることができるか、これはダライ・ラマ自身にとって一つの挑戦ではないでしょうか」

ダライ・ラマの単独講演のチケットは、20日開催の円卓会議に比べると比較的容易に入手できるという。円卓会議には、ダライ・ラマの他に、ツツ司教とハベル元チェコ大統領、そしてカナディアン・インディアンの指導者、ジョ−=アン・アーチボールド博士が出席する。司会は聖公会のマイケル・インガム司教。これも、150席収容のウォスク・センターで行われる予定だったが、ブリティッシュ・コロンビア大学内にある1200席収容のチャン・センターに変更になった。